彼女はホルモン療法をタモキシフェン単独で始めました。

LH-RHアゴニスト製剤についても医師から勧められましたが、止めておきました。

ルミナール型乳がんでのLH-RHアゴニストの使用は、同型乳がんでの抗がん剤使用のように、医師間によって意見の分かれるところのようです。

(LH-RHアゴニスト製剤とは、商品名リュープリンやゾラデックスで知られている、視床下部から出るホルモン(LH-RH)に介入して、卵巣機能を制限する薬です。タモキシフェンのような抗エストロゲン剤とは作用機序が異なりますが、最終的にはエストロゲンが乳がんの細胞と結合することを防ぐ意味では同じ効果です。なので、どちらもホルモン療法としてのくくりになります。ホルモン療法はエストロゲン受容体陽性の乳がん(ルミナールタイプ)にしか行われません。)

 

抗がん剤についてもLH-RHアゴニストについても、ルミナール型乳がんで使う場合は限定されています。

抗がん剤については、前回のブログで書いたように、ki67の高いルミナールBと分類されるルミナール型乳がんに使われます。

LH-RHアゴニストについては、まず35歳以下の場合と、抗がん剤で一時閉経状態になってそれが回復した場合に、処方されるとなっています。

どちらも限定された場合で、これらの場合はしっかりとしたエビデンスがあるようです。

そして、これらの限定的な条件以外の場合だと、抗がん剤もLH-RHアゴニストも、大規模な臨床実験などの信頼できるエビデンスがない(?)ようなのです。

 

原理的には、LH-RHアゴニストを使えば血中のエストロゲンは確実に減るので、エストロゲンが原因のルミナール型乳がんには効果がありそうに思えます。

ですが、タモキシフェンですでに十分エストロゲンが阻害されていて、それ以上やる必要のない状態なのかもしれないのです。(通常、LH-RHアゴニストを使う場合にはタモキシフェンにプラスして使います。LH-RHアゴニストをタモキシフェンの代わりに使うようなことはしないようです。)

それ以上やると副作用のみを被ってしまう状態になってしまうかもしれません。

日本乳癌学会のガイドラインにも、二つの限定的な状態以外のLH-RHアゴニストの使い方で推奨されるものはありません。

 

ただ、実際にはルミナールタイプの乳がんの中で、ステージⅡ以上でかつある程度リスクがある場合には、タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤に上乗せする形でLH-RHアゴニストは処方されているようです。(そして、それを推奨する記述が海外の関係機関から出ていたはずです。すみません、これについては忘れました。)

原理的にはタモキシフェンの効果を高めることは間違いない、ということで処方されるのでしょうか。しかし、エビデンスがない以上、効果と副作用のバランスは不明になってしまいます。なので、リスクが高い場合のみに使うということが合理的だと思われます。

 

話をまとめると、ルミナールタイプの乳がんの場合、抗がん剤とLH-RHアゴニストはまず特定の場合に必ず使います。抗がん剤はki67が(かなり)高い場合、LH-RHアゴニストは35歳以下の場合と抗がん剤を使った一時的な閉経が再開した場合です。

そして、それとは別にリスクが高いと判断された場合に、上の条件に当てはまらなくても、抗がん剤もLH-RHアゴニストも、医師によって処方される場合があります。

この「リスクが高い」ということに注意が必要だと思います。ここで医者の意見が分かれるのです。

「乳がんの治療で医者に頼れないこと」の回のブログで書いたことなのですが、乳がんのリスクが高いか低いか、その治療法の効果が高いか低いかというのは数字の問題であり、相対的な問題であって、最終的には主観的な問題です。

エビデンスが乏しい治療法をするかしないかなどは、まさに主観の問題です。

タモキシフェンはしっかりとしたエビデンスがあり、ルミナールタイプの乳がんの再発率を確実に下げます。だから医者は必ずやるべきだ、と強く勧めるべきです。

逆に、ルミナールタイプでの抗がん剤やLH-RHアゴニストの使用は特定の場合を除いては確実に効果があるとは言い切れないので、使うかどうかは患者の意思で決めるべきです。

 

その線引きをしっかりすべきはずなのですが、なかなか線引きが出来ていないのが現状のようです。

このブログで過去に書いていることなのですが、僕の彼女は抗がん剤もLH-RHアゴニストも、どちらも適用される条件には当てはまらなかったのに、医師は強く勧めてきました。

まあ、僕の彼女の場合は極端な例として例外扱いでいいと思うのですが、他の場合でも線引きがあいまいになって行く場合はあるようです。

例えば、ki67が高い場合にルミナールタイプの乳がんでも抗がん剤を使うのですが、その「高い」が医師によって違うのです。医師によって違うどころか、同じ医師でも、他のがんの悪性度などを考慮して、抗がん剤を使うki67の値のボーダーラインを上下させる場合もあります。(それ自体は悪いことではないはずですが曖昧にはなります。)

また、35歳以下で適用されるLH-RHアゴニストですが、40歳以下でも適用される場合があるようです。そして、医師によっては、41~42歳でも・・となっていうような書き込みも見ました。

 

患者本人が乳がんを心配してわずかにでも再発率を下げる治療を受けたいと希望する場合は、抗がん剤を使うki67のボーダーラインを下げたり、LH-RHアゴニストを使う年齢のボーダーラインを上げるようなことは必要だと思います。

ただ、そういう場合は患者の希望によって自己責任で治療をしていることははっきりさせるべきです。

効果があるかないか分からない治療法を医者が曖昧に勧めたり、そうとは知らずに患者が治療を受けることはあってはならないと思います。

ルミナールタイプの乳がんで抗がん剤治療とLH-RHアゴニスト製剤を使う場合は、こういった注意が必要です。

 

(前回と今回のブログも含め、僕が書いているブログの内容はすべて転移再発を防ぐ手術後の治療の話になっています。転移が見つかってからの治療法とは全て異なります。その説明をせずに毎回ブログを書かせてもらっています。申し訳ありません。)

 

 

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