すみません。やはりどうあっても具体的な説明と補足が必要な気がしてきました。

書きっぱなしは書く側の精神的にキツいです・・・

乳がんの治療法の確率的な錯覚の具体例をあげます

 

患者二人に、それぞれ、「あなたは無治療だと90%再発しない」、「あなたは無治療だと80%再発しない」と説明されたとします。

どちらも再発する可能性がかなり低く感じると思います。さほど変わらないように感じます。再発しない可能性の違いは90÷80=1.125倍しかないのですから。

ですが、これをそれぞれ、「あなたは無治療だと10%再発します」、「あなたは無治療だと20%再発します」と説明されたとします。

そうすると、後の人は前の人に比べて、2倍も再発率がある。つまり、再発率が高く感じてしまいませんか?

最初の説明で「無再発率80%」と説明されれば、なかなか再発しないように感じますし、「再発率20%」と言われると、また違った印象を感じるはずです。

まして、「無再発率90%」=「再発率10%」の人と比べてしまうと、なおさら印象が変わるかもしれません。

同じ数字なのに、説明の仕方を変えると印象が変わる。印象が変われば選択する治療法も変わる可能性があります。これが錯覚です。

 

と、ここまでの説明を読んで「お前はいったい何を言っとるんだ?当たり前だろ」と感じた方は、このレベルの確率では錯覚されない賢明な人です。

 

しかし、この説明を高度に(悪質に?)発展させたものが、僕の彼女が主治医から受けた説明なのです。彼女が受けた説明を聞いて、「この場合の抗がん剤の効果は低いな」とすぐに理解できる人は少ないと思います。錯覚により「抗がん剤の効果がすごく高い」と誤解するはずです。

 

十回に2回当たるという現象と、十回に8回外れるという現象を、イメージとして同等に感じることは意外と難しいのです。

本来は「~%再発率を減らす」という言い方は、錯覚による誤解が起きやすいから止めた方がいいはずなのです。

専門的なデータでは無再発率で統一していることが多いようですし、専門的な言い方だと「再発率を減らす」と言わずに「無再発率を上乗せする」と言うようです。

要するに、専門家にとっても「~%再発率を減らす」という言い方は確率的な錯覚が起こりやすく、避けられている言い回しだと僕は解釈しました。

 

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前回のブログ「乳がん治療はギャンブル」を自分で読み返してみて、正直、かなり苦しい説明だなと自ら思ってしまいました・・・

なので、今回は前回のブログの伝わりにくいであろう部分を補足したり、説明が足りない部分の付け足しをしたりしようと思ったのですが・・・

それらは止めておくことにしました。

分かりにくい説明にさらに付け足したら、もっと分かりにくいものになるんじゃないかと思い直しました。

むしろ逆に、大元の考え方など説明せずにどんどん結論だけを言った方が、僕の考えが読んで下さる人に伝わるかもしれませんし、その方が文章としても面白いような気がします。

もしかしたら、僕は彼女とのいろいろな話し合いにおいても、ごちゃごちゃ理屈をつけない方が二人の間の理解を深められたのかもしれませんね・・・

まあ、それは置いておいて・・・

 

結論から言います。

乳がん治療はほぼ予防です。なので、すべては確率の問題です。確率の問題とは実は患者の心の問題に直結しています。

僕は確率の問題をギャンブルにたとえました。なぜかといういうと、これが分かりやすいと思ったからです。

ギャンブルはやればやるほど負けます。お金を失います。何回負けても、なおせっせとパチンコ屋に行ったり、馬券を買ったりする人も多いのです。

負けると分かっていると言いながらギャンブルを続けているのです。なぜか?

心の問題だからです。

人には「確率」を正確に感じられる能力は備わっていません。人は基本的に確率というものを錯覚しているのです。

確率を錯覚しているから、確率現象であるギャンブルを負けると分かっているのに?止められないのです。まあ、それはつまり、負けると分かっていない、とも言えるのですが。

 

これ以上具体的に「確率」の説明をしようとすると前回のブログのようになってしまうのでここまでにします。

要するにギャンブルは確率的な錯覚を利用して、客からお金を取ってしまっているわけです。逆に客は確率的な錯覚を前にすると、負けると分かっているのに、お金を差し出してしまうのです。

確率的な錯覚は非常に怖い。

そして乳がん治療においても、乳がん治療がすべて確率の話である限り、確率的な錯覚に陥る可能性があるのです。

 

わずかにでも乳がんの再発をおさえる可能性のある治療法はすべてやる、という選択肢もありますし、何もしなくても乳がんが再発しない可能性があるから、副作用を被るような治療は一切しない、という選択肢もあります。

医者に聞いたり自分で調べたりして、効果と副作用のバランスの良い治療法を選択する方法もあります。

僕は本人が望むならばどの治療方針でもいいと思います。

ギャンブルだって、適度に楽しむ分にはいいと思います。

確率は心の問題です。自分の心のどうすべきか、つまり自分がどういう確率を選ぶかは自分で決めるべきことです。

ただ、ギャンブルは気を付けてないと依存症と呼ばれるレベルにまでハマってしまう可能性があります。

こうなるとギャンブルを「楽しむ」というレベルではなくなります。本人も止めたいと思っているのに、止められないというレベルになります。

錯覚が極端に振れた状態です。あまりにもバランスの悪い状態です。

この状態になったならば、周りの人が介入して助けてあげるべきです。

 

僕はこの状態は乳がんの治療方針を決める時にも起きる可能性があると思います。その場合は周りの人間が止めるべきです。

周りの人間は、患者本人でないからこそ、冷静に客観的に治療法の効果と副作用のバランスが見えるはずです。そして、患者に近しい人ならば、患者の心情や希望する治療方法も理解できるはずです。

患者の気持ちと確率的な治療効果のバランスを取るのが、患者をサポートすることだと思います。

 

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