医者は嘘をつくのか?
結論から言うと、医者は患者に対して嘘をつきません。嘘をつく必要がありません。
医者はわざわざ嘘をつかなくても、医学的な説明の仕方を自在に操ることによって、患者の考えを変えることができます。
以前にこのブログで書いたことなのですが、確率というものを正確に理解するのは非常に難しいです。そして乳がんの治療は基本的に確率でしか効果を測れません。
何もしなければ、20%の確率で再発するとして、ある治療法(予防法)でその再発率が10%に下げられる統計があるとします。
医師がこの治療法を患者にやらせようと思った場合、医師はこう説明すればいいのです。
「この治療法を行えば再発率は10%に抑えられます。治療をしなかった場合は20%も再発してしまします。治療しなかった場合の再発率は治療した場合に比べて2倍になってしまいます。」と。
治療をしない場合は、再発する可能性がとても高く聞こえる説明です。
逆に、医師がこの治療法を患者にやらせたくない場合は、医師はこう説明すればいいのです。
「この治療を行わなくても、あなたの場合は80%は再発しません。この治療を行った場合に再発しない可能性が10%上がって90%になります。80%で満足できない場合はこの治療をすることになりますが、副作用のことも考慮してこの治療を行うかどうか決める必要があります。」と。
この説明だと、そこまで効果の高い治療法には聞こえません。
これらの2つの説明はどちらも同じことを言っています。
どちらの説明をするかによって、医師は患者の治療に対する意思をコントロールすることができるはずです。
これを書いた当時は、「こうやって医師は患者をコントロールしちゃう可能性があるかもね」くらいの気持ちで書いていました。僕と彼女は主治医を疑ってはいましたが、患者をコントロールしようとしている確信はなかったです。
しかし、その後も同じような診察と説明があって、彼女と僕は主治医がとにかく治療を多くやらせようとしていると確信しました。
彼女がなるべく少ない治療を望んでいるにも関わらずです。
嘘は相手を騙すことが目的であり、なぜ騙すかというと、自分の都合の良いように相手を操るためです。
医者は嘘をつかなても、患者の治療に対する考え方をコントロールできる立場なのです。なので、嘘は基本的につきません。
自分で言うのもなんですが、こういった考えは危険です。
なぜなら、医者が嘘をつかずとも患者の治療に対する考え方を変えることができると仮定するならば、逆に考えると、医師が患者の治療に対する考え方を変えようとした場合、それは医師が嘘をついていることと同等のことをしている、となってしまう可能性があるからです。
しかし、医師が患者の治療に対する考え方に影響を与えることは、本来の医師としての仕事でもあります。
患者の病気に対しての認識が甘い場合に、それを客観的に指摘できるのは、患者本人よりその病気に対する知識と経験のある医師しかいません。
そう考えると、患者は医師の言うことを素直に聞き、自分の希望よりも医師の勧める治療法を選択すべきです。
難しい問題だと思います。主治医を信じられなければ、患者は治療を任せられません。
医師は専門家であるが故に、病気について患者より詳しい。自分より詳しい人にすべてを任せることは、有効な方法の一つです。
しかし、乳がんの治療の目的はがん細胞の将来の増殖を確率的に抑えることで、その目指す確率が医師と患者で違う場合がある。
医師と患者の意見が違うと、医師が強引に患者を押さえ込もうとすることが起きる。
それを僕は前回のブログで、医師の悪意と表現しました。
そして、それは嘘をつく必要のない医師という立場からすると、患者の考えを無理やり押さえ込むことは嘘にも等しく感じられてしまいます。
僕と彼女は主治医に詐欺にあっているような気分でした。
先に挙げたように、確率的な数字の説明方法を自由に操り、こちらの希望を無視して、とにかく多く治療をさせようとしてきました。
そんなに彼女のことが心配ならば、「あなたを心配してるからこの治療法を勧めるのだ」と、遠まわしにでもいいか言ってみろと言いたかったです。
この医師からは、転移再発した場合にどうなるのかの説明は一切なく、全摘と温存のメリットデメリットの説明も大してせずその場で決めさせ、抗がん剤の副作用の説明もなくルミナールAの彼女に抗がん剤治療を勧めてきました。
そんな人間が患者である彼女の心配などしているわけがなく、心配していないのに、ひたすら考えられる治療法はすべてやれと言ってきたのです。
話を戻します。
医師が患者の望む治療法を否定してきた場合、当たり前ですが、医師が患者のためを思って言っているのか、自分の都合で言っているのか、どちらかです。
その二つは完全に正反対なのですが、素人である患者から見ると、簡単には見分けが付かないことなのです。
患者は心から主治医を信頼して治療を任せるためにも、なんとかこれを見分けなければならない。
前回のブログで書いたように、患者の精神的なことを安易に否定する医師は、良くない方に見分けられる医師だと思われます。
それに追加して、今回のブログで言いたいことは「患者には難解な確率的な説明方法で患者の希望を否定する医師」も、悪い方に見分けられる医師です。
患者の希望する治療法を、患者のことを思って医師が否定する場合も、もちろんあります。
ですが、患者のことを第一に考える医師ならば、患者が理解できない難しい説明方法で、医師側の考える治療法を押し通すようなことは絶対にしないはずです。
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ディスカッション
コメント一覧
文面からは主治医を全く信用していないように読み取れました
主治医さんがとても可哀想に思えます
納得できる治療や説明をしてくれるお医者様を探したほうがいいのではないですか?
ブログという形で発信してるということは誰でもみることができる、つまり誰かに影響を与えてしまう可能性があるということをもう少し考えてみてください
あなたの文章も医者なんか信用してはいけないというように印象操作される仕上がりになっています
コメントありがとうございます。
僕と彼女は今の主治医を信頼していません。次回の診察を受けた後に転院しようと考えています。
彼女の乳がん治療を通して、僕は医者を信頼できないようになりました。
母と彼女のがんの関係でみてもらった医師は10人以上になります。その中でお任せしようと思えた医師は3人です。
今の主治医にかかっているのは、病院を選んだ結果です。
僕は、もしどなたかに乳がんの治療方針の相談を受けたら、説明してもらった内容に納得できる医師を見つけるまで治療しないことをお勧めするつもりです。
そんなに医者が信じられないのなら
自分で医者にでもなって彼女を気のすむように治療したらいい。
さぞかし、ご立派な医者になれるのでは?
度々すみません。コメントはこれで最後に致します。
まず、主治医が一人で治療法を決定するわけではないことを知って頂きたいです。
病院では患者の治療について、必ずカンファレンスが行われます。
それはご存知ですか?
患者の病状・環境を合わせて、どの治療を行うのが良いか会議があります。
その上で主治医が治療法を提案するのですよ。
提案には二択があったり、三択があったりしますが
それは患者が納得したものでという、あくまでも提案です。
その中でも医師として最良と思える方法を提示しているだけです。
現場は常に真剣です。
わかりますか?一人の患者のためにカンファレンスがある
その意味、時間、各科の人数。
主治医が一人で何もかも判断するわけがないじゃないですか。
人によって言い方(説明の仕方)や態度に差はあるかもしれません。
けれど、あまりに主治医を攻撃する言葉はいただけませんね。
もしかしたら・・・と思い、敢えて言いますが
治療についてカンファレンスがあることを知らなかったのでしょうか?
コメントありがとうございます。
「カンファレンス」という言葉は知りませんでしたが、そういうものがあることは知っていました。
知っていたというか、そういうことを重視している病院だというのが売りだったことが、今の病院に転院した理由の一つでした。
今の病院に転院したのは、父が以前お世話になっていたからです。母も同じ理由で肺がんの検査をこの病院でしました。
父の説明では、大学病院のようなところだと、教授や医長、科長の意見に皆が従ってしまうような環境だが、この病院は皆で良く話し合って決めるからそういうことはない、ということでした。
本来、そういう話し合いは治療法選択を慎重に行う目的のはずです。
ですが、彼女の主治医はそういう意味で話し合いの結果を使っていませんでした。そう、彼女と僕の目には見えました。
具体的に書きます。
この医師は抗がん剤治療を彼女に勧める時に、「自分は勧める」「自分はした方がいいと思う」のように、自分の意思として彼女に抗がん剤を勧めるとは一切言いませんでした。この医師が何が言いたいのか分からないような抗がん剤治療の説明が延々と続きました。
そして、最後の方で「他の医師とも話った中で、抗がん剤治療もするという意見も出ました」のように言ってきたのです。
おそらく、これが「カンファレンス」というもののことを言っていたのだと思います。
「カンファレンス」を本来とは違う使い方をしているようにしか見えませんでした。
このことは以前のブログに書きました。
僕が主治医がおかしいと言い切る部分は、主治医の説明方法です。診断や治療方法などの提案自体には、素人の僕には口のはさめないところだと理解しています。
しかし、明らかに誘導し、脅迫するような説明方法を取っていることは素人の僕にも分かります。
もちろん、その医師の個人的な問題なのかしれません。
ですが、同じような状況を少なくともネット上の書き込みからは読み取れます。
そのような状況に疑問を投げかけているつもりです。
to-koさんの言う通り、複数の医師のいる病院でカンファレンスを受けて治療方針を提案される。
たまたま担当がその医師ということだけで、患者の情報がほかの医師も共有しているはず。
カンファレンス後の提案はいろいろな意見の中の結果ということで、前向きに検討できる。
逆にひとりの医師だけの意見しかない個人病院での決定には不安が募るけど。
こんにちは。いくつかのエントリーをまとめて読みました。
他の方の書き込みとも被りますが、これだけの内容を
考えてしまう時点で私もoomura様(彼女さん)と主治医の
先生とは合わないのだと思います。脅迫という言い方をされて
いますが、感じておられる違和感は、相手方のDr.も何らかの
形で抱えているかもしれませんし、今後もずっとこのままの
可能性が高いと思います(あくかで可能性ですが)。もちろん
主治医を変えた方が良いと簡単には言えませんが、不信感を
増長させて不特定多数に発信する現状は、読者側にとっても
マイナスかもしれませんね。
お久しぶりです。コメントありがとうとざいます。
転院は具体的に考えています。いずれ転院する予定です。
虎太郎様のコメントは客観的であり、僕の考え方が僕自身の間違いに目を向けるきっかけになります。感謝いたします。
いろいろ考えてみました。僕がブログで書いた内容自体は、今でも間違っているとは思いません。ですが、ブログで情報を発信する立場を考えると、それは不適切だったのかもしれません。
ブログでは長々といろいろ書きましたが、結局のところ、言いたいことは以下のことです。
1・乳がんの治療法は患者が主体で決めるべき
2・医師が治療法を押し付けてくる可能性がある
3・僕の彼女は実際に治療法を主治医に押し付けられそうになった
1や2は単独で書く分には、患者の意見として間違っていないと思っています。
ただ、3と1や2を同時に書いてしまったことによって、ご批判を受ける状態になったような気がします。
それとも2を書くこと自体に問題があるのでしょうか。その辺りは微妙なところだと思っています。
いろいろと考えてはみましたが、やはり、あらゆる病気の治療では患者の主体性が最重要であると思うことは変わりません。
そこに医師が介入し操作するような状態は避けるべきです。
コメントは最後にすると言っておきながら、思うことがあり
再度のコメントお許し下さい。
医師も真剣なんですよ。
乳がんは転移さえなければ、切って(手術)叩いて(抗がん剤や放射線)
管理(ホルモン療法)、定期的な検査。
年齢やリスクや再発を踏まえて、通常の治療です。
少しムッとされるでしょうが。
その中で、敢えて抗がん剤も放射線もホルモン治療も納得がいかないのであれば
医師としては他に何も言いようがありません。
あなた様方が脅迫と捉えてしまう言葉も
最大限リスクを踏まえた上で提示されている治療法であり
ごく一般的かと思われます。
言葉の使い方の問題は、相性もあるのはわかります。
仕事をする上でもありますよね。
同じ事を言っているのに、言い方で伝わり方が違うこと。
それも人それぞれです。
ここで、少しだけ考えて頂きたいと思いました。
女性にとって乳房を失うことは、まして若い方なら
当然心を痛め、悩むでしょう。
けれど、あなた方は悲劇の主人公ではないんです。
医療は進歩しているし、内臓を切るわけでもなく
手足を切断するわけでもない。
病気というものに対して、もう少しだけ視野を広げることをお勧めしたいです。
「脅迫」という部分でもブログを読ませて頂きましたが
私にはそのようには感じられませんでした。
確かに、物の言い方が不躾な医師もいるのは承知の上です。
コメントありがとうございます。
僕と彼女がお世話になった病院はとても有名病院で、患者が多く、いつも混んでいます。
そして、僕と彼女は、医師の説明方法に疑問を持ったわけです。
to-koの書きこんで下さったをこと読み、僕たちと主治医のように時間の少ないなかで、話がかみ合わなかったゆえに分かり合えないことが
起こり得ても仕方がないように感じられてきました。
医師としても多くは時間が取れない中で、話を少しでも早く済まそうとして、僕と彼女に決断を迫るように「脅迫」してきたと僕と彼女は感じてしまったのかもしれませんね。