乳がんの放射線治療での短期照射(寡分割照射)
彼女のお母さんは、乳がんの手術をする直前に足首を骨折してしまい、術後の放射線治療を入院で行いたいと病院側にかけあっていました。
その結果、なんとか病院側から許可が出たようで、近々放射線治療のために入院することが決まりました。
このブログのコメントでいただいた通りすがりさんのアドバイスによって、このような運びになりました。感謝いたします。
放射線治療のために入院する病院は、手術をした病院ではない、彼女のお母さんの家(彼女の実家)により近い大学病院になりました。
お母さんが手術をうけたがんセンターの方が、放射線治療を行う設備が新しいものでしたし、お母さんの乳がんの治療全体をみてくれているがんセンターの主治医の監視下で放射線治療を受けた方が安心でした。
ですが、病院間(医師間)で話し合った結果、お母さんは大学病院の方で入院することになりました。
まあ、がんセンターで入院して放射線治療を受ける場合も、大学病院でそうする場合も、どちらにもメリットとデメリットがありましたし、それぞれの病院にもベットの空きなどの都合があったはずです。
こちらの希望はすべて両病院の医師に伝わっていて、考慮してもらえたはずですから、これで良しとするつもりです。
ただ、彼女がもう一つ気になることを言っていました。お母さんは今回の乳がんの放射線治療で、いわゆる「短期照射(寡分割照射)」を受けるようです。
短期照射とは、1回で(1日で)受ける放射線の量を多くして、その分放射線治療を受ける日数を減らすものです。
普通に考えれば、標準の照射よりも短期照射の方が急性の副作用が強く出てしまうような気もしますが・・・
調べてみると、短期照射は、乳がん自体に対する治療効果は変わらないことには、確かなエビデンスがあるようです。
日本乳癌学会のガイドランでは
全乳房照射において通常分割照射と同等の治療として寡分割照射は勧められるか
が、推奨グレードBとなっています。推奨グレードBだと「ほぼ確実」とのことです。
なので、乳がん自体に対する効果は問題ないと思うのですが、副作用の方はどうなるのか調べてみると・・・
なんと、強い線量で短期に照射した方が、副作用はむしろ少ないということが、最近の研究で言われているようなのです。倦怠感などが少なくなると報告されているようです。
特に早期乳がんの場合や、抗がん剤による全身治療をしていない場合に、短期照射は勧められるようです。(抗がん剤治療のありなしで、副作用が変わってくるということでしょうか。)
彼女のお母さんはこれらの条件に完全に該当するので、標準の照射よりも、むしろ短期照射の方が適していることになります。
また、高齢のお母さんにとっては、一般的な40代~50代の乳がんの患者よりも、通院や入院の苦労が大きくなります。足を骨折しているので、なおさらです。
なので、放射線治療が少しでも短くなってくれることは、とてもありがたいことです。
どうやら、お母さんが放射線治療を受ける場合は、短期照射以外には考えられないくらい、最適な方法のようです。
一般的に、高齢であればあるほど、人の放射線の感受性は下がります。
2011年の原発事故の際に、放射能の影響を受けてしまうのは、主に子供だと言われていたのはこのためです。
病院で行われるCT検査などによる医療被曝も、必ず年齢が考慮されます。若い人間に対しては、医療被曝を伴う検査は慎重に行うかどうかを決めます。
なので、非常に大雑把に言えば、高齢であればあるほど、放射線治療の効果も副作用も小さくなるのでは?と思ってしまうところです。
ですが、おそらく、これはそんな単純な話にはならないはずです。
がん細胞が増殖するかしないかは、放射線の影響のみを受けているわけではありません。免疫力の強さなども関係します。
また副作用にしても、治る速度が速ければ、副作用が出ているようにも見えないかもしれません。
要するに、人間が放射線を受けた時にどうなるか、ということは、一概には言えない部分が大きいのです。
高齢のお母さんが、標準より大きい放射線量を一度にかける短期照射(寡分割照射)をしたら、副作用も大きくなってしまうのでは?と思い、心配になりました。
ですが、そういうことは、理屈で一概に分かることではなく、実際の臨床や統計的な研究でしか分からないことです。
医者が下す判断は、主にそういった臨床的にどれだけ患者に効果があったかの統計をもとにしているので、感覚的には錯覚が起こってしまうような場合もあるようです。
彼女のお母さんの乳がんの場合は、一度にかける(1日の)放射線量を増やした方が、体に優しいようです。
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ディスカッション
コメント一覧
入院きまってよかったですね。
短期照射に関しては
是非がわからないですが
医師がそうすすめるのなら
ふさわしいのかもしれません。
入院しての治療なら
短期照射が合わない場合
(皮膚のハレがひどいとか)
看護師さんにすぐに相談できる
ので、安心だと思います。
いつも書き込みありがとうございます。
おかげ様で、何とか入院しての放射線治療に漕ぎ着けました。
大学病院の放射線の設備は、がんセンターよりは設備が古いものではありますが、一応は標準的なリニアックというやつです。
がんセンターの主治医にはすべて話が通っていますので、後は大学病院の医師に全てを任せることになります。
いくつもアドバイスしていただいて、本当にお世話になりました。ありがとうございます。
まさに今、寡分割照射中です。今日で15回のうちの5回目です。 61歳、ルミナールAタイプ。部分切除9月14日、アリミデックスを飲んで14日目です。 寡分割照射について、知識はありましたが、自分の病院で実施しているとは考えませんでした。 病気に対する一番の気がかりは仕事をしているので、同僚に迷惑をかけるということでした。 そんな話も医者とした覚えはありますが、5週間はしょうがないと思っていました。医者からの提案で、3週間に踏み切りました。 躊躇はありませんでした。 幸い全くというほど問題は起こっていません。少し硬くなっているのと、ひりひり感じる時があるくらいです。 朝9時に病院に行き放射線を受け、仕事は遅番と夜勤で乗り切っています。
書き込みありがとうございます。
通常の平日5週間の放射線治療の通院は大変ですが、仕事をされているとさらにその事情も絡んでしまいますよね。
僕の彼女は温存手術をして、断端陰性の結果局所再発の可能性が低いと予想されたので、放射線治療は受けませんでした。
局所再発の可能性が低いことが1番の放射線治療をしない理由でしたが、同時に彼女が仕事を休めないことも、放射線治療をしなかったことの理由です。
まあ、探せば、仕事が終わった後の時間から放射線治療のみを受けられる病院があったかもしれませんが。
ダンテのおかーさん様は、今のところ強い副作用が出ていらっしゃらないということで、何よりです。
乳がん放射線治療の短期照射(寡分割照射)は、どうやら2015年に発表された論文が主なエビデンスになっているようなので、これからもっと広まる治療法かもしれません。
私も、今、短期照射中です。16回のうちの6回が終わりました。私は2度目の乳がんで、前回(右)も温存手術、断端陽性もあり、30回の照射。今回(左)は、断端陰性で、短期照射16回となりました。
前回は、疲労感もひどく、照射後は家でしばらく横になってから家事をやるという状態でした。火傷もひどく、チューブの塗り薬を2本使い切りました。今回は、疲労感もなく、照射したところがチクチク痛むくらいです。
回数が短いのは、いいですね。私の場合は前回のほぼ半分。あと〇回と数えなくても、あっという間だと思えます。気持ちも楽です。
今回は、放射線をしなくてもいいくらいだったのですが、2度目というのが引っかかり、一応放射線だけはやって、薬はありません。仕事も、前回の疲労感のこともあるので、休みを取りました。
まだ途中ですが、今回の方が、体調の大きな変化もなく進んでいるよう感じています。現在55歳、もうすぐ56歳になります。短期照射の条件は、クリアしています。彼女のお母様もひどい副作用なく、治療が進みますことを祈っております。
書き込みありがとうございます。また、彼女のお母さんの心配もしていただき、痛み入ります。
ekuboさんは一度標準の放射線治療を受けたことがあり、そして現在短期照射を受けているわけですね。
標準の放射線照射の副作用は、とても大変だったことをお察しいたします。
前回はブーストもあったようですが、ブーストを除いた分で計算して、同じだけの放射線量を受けた段階で副作用を比べてみれば、今回の短期照射の有用性が分かることになりますね。
放射線の副作用は人によって強かったり弱かったりします。ですが、同じ方の治療ならば、標準と短期の放射線治療の副作用を確実に比べることができます。
16回の照射が終わりましたら、標準照射の25回目終了時点での副作用の感覚と比べた感想を、是非ネット上のどこかに書き残してはいかがでしょうか。
これから放射線治療を受ける方が、標準で受けるか短期で受けるかの参考になるかと思います。
もちろん、このブログのコメントに書いて下さることも大歓迎です。
書き込みありがとうございました。