前回のブログ「大病院のデメリット6」では、タイトルとは逆に大病院の良いところをいくつか書いてみました。

大病院についての文句は、これまでのブログでさんざん書いてきたので、これで多少でも帳尻が合うといいのですが・・・

大病院には良いところも悪いところもあります。どちらも「患者数が多い」ところから始まることです。

患者自身の立ち回り次第で、大病院の良い部分の恩恵を受けることができますし、悪い部分の弊害を回避できるかも知れません。

 

僕が大病院の患者数が多いことで起こる一番の弊害だと思うことは、医師が患者に対して流れ作業的になり、あまり患者の意向に耳を傾けなくなるところだと思います。

とにかく、大病院の医師は忙しいものらしいです。

大病院に勤務する医師は、その忙しさゆえに、流れ作業的に次々に患者を診察してしまうようになりがちです。

看護師のSさんもそう教えてくれました。前回のブログでふれた本にも同様なことが書いてありました。また、このブログのコメントやネット上の書き込みにもうかがえる意見です。

乳がんの診断を受けてショックを受けている患者が、その後に自分の希望をあまり聞かれずに治療方針を機械的に決められて押し付けられたならば、二重のショックを受けることになります。

残念ながら、現在の乳がんの治療は確率的に再発率などを下げるもので、確実に根治できると言い切れるものはないです。

確率的に行うしかない現在の治療法なのですが、その確率の解釈が医師と患者でズレる可能性があります。

患者が「1%でも再発率を下げる治療は考え得る限り全てやって欲しい」と希望しても、医師が「その治療法は効果が低く副作用が大きいので止めましょう」と拒否されるかもしれません。

その逆に、患者が「抗がん剤や放射線の治療は心理的に抵抗があってやりたくないです」のように希望しても「標準治療ではこの治療を必ずやります」と押し付けられるかもしれません。

これらのやり取りは普通に起こり得ることで、それが機械的に流れ作業的に行われた時の患者の失望感は計り知れないと思います。

 

彼女と僕はこれに当てはまりました。彼女と僕は失望するより怒りを覚えましたが・・・

大病院や大学病院には患者の利益にはならない大人の事情が渦巻いています。他の科の医師や先輩医師に「気を使ったり」するのです。気を使うべき対象は、本来患者であるべきなのですが・・・

総じて、そういった「気を使う」行為は、患者のためにならないばかりか、患者の弊害になることがほとんどのはずです。

 

こういった事情により、僕は彼女の主治医が本当に不誠実な医師に見えました。

彼女が希望していないのに、不自然な説明方法で抗がん剤治療を勧めてきたように見えました。乳がんのタイプがルミナールAの彼女には抗がん剤の効果はかなり低いはずなのにです。

というか、不誠実な医師だと、当時は決めつけていました。

ですが、「医師を信頼するために」の回のブログで紹介したSさんの話を聞いて、これを改めようと思いました。

Sさんが言うには、「多くの医師は患者のことを第一に考えている。自分の利益を優先させて、患者のことを考えない医師は本当にごく一部。でも大病院などの忙しい状況に置かれると、どんな医師でも診察が流れ作業的になってしまう。患者の方からしっかりと医師にアプローチをすれば、これが解消される場合も多い。」ということでした。

そして、僕としては驚くことに、前回のブログの内容の元になった乳がん関係の本に、このSさんが言っていたことと、ほぼ同じ趣旨のことが書いてありました。

医師を目指す人は、その世間的な地位や高い収入を求める前に、まず第一に人を助けたいという心がある、ということなのだと思います。

基本的に医師には悪い人間はいない、と思っておくことが正解のようです。

 

しかし、彼女と僕は乳がんの治療で主治医と信頼関係が築けずに、非常に不利益を被ったことは事実です。そして、同様のことは、ネット上の書き込みでも散見されます。

そこで、こういった大病院で起こり得る医師とのトラブルを回避するための方法を、僕なりにまとめてみました。

 

乳がんの治療法を決めるのは医師と患者の話し合いです。二人で決めるのです。しかし、できるならば患者主導で治療法を決めるべきです。

まずは、なるべく早い段階で、自分が治療に対して思うことを全て医師に告げましょう。

何度も挙げている例ですが

「再発率を1%でも下げられる治療法を全部やりたい」や

「抗がん剤治療や放射線治療など(特定の治療法)はやりたくない」などです。

もっと主観的なことを告げてもいいと思います。大病院では、時間の許す限り、主治医となるべくどんな話でも話をした方がいいようです。

ただ、なるべく粘って時間をかけろ、ということではないです。決められた時間内で、自分の意向や希望をはっきり伝えるべきです。

乳がん自体のことや乳がんの治療法などの話を主治医とするためには、やはり自分で乳がんの勉強をすることが必要です。そこで得た知識によって、自分がどういう治療法を望んでいるのかがはっきりするかもしれません。

ですが、これは人によってはとても苦しい作業になってしまうかもしれません。

その場合は、ソーシャルワーカーなどが行っている、無料相談のようなものを積極的に使うべきでしょう。

乳がんの治療は全て確率的に行われます。そしてその確率の捉え方は人それぞれです。どんな治療法も基本的には全てが間違いではないです。

医師の勧める治療法と自分の希望する治療法が一致しない場合は、時間が許す限り話し合うべきです。

他に選択肢はもうないのかを確認すべきです。医師の勧める治療法と患者の希望する治療法の、それぞれの確率としての治療成績のような数字がないのかを聞くべきです。あるなら、その数字を聞いて、それについてはやり話し合うべきです。

医師とよく話し合えるためにも、基本的なことは自分で調べるか無料相談などで聞いておくべきです。そういうところで得た知識を元に、自分の希望する治療法を医師に提案するのが理想的だと思います。そしてその治療法が無理だとしても、自分の希望に沿った次善策を医師に求めるべきです。

 

これらのことは、大病院で流れ作業的に乳がんを治療されてしまいそうになった場合の話です。

誰がどこから見ても、この医師を信頼していれば問題はない、と思える医師に運よく当たる場合もあります。そういった医師を人づてに紹介してもらえる場合もあるかも知れません。僕も何人もそう思える医師を見たことがあります。

それならば、もちろんその医師に全てを任せていいと思います。

ただ、大病院では設備やスタッフが充実している分、患者数が多くなり、患者一人ひとりにそそがれる医師の熱意が少なくなるようなのです。

その場合には、患者の熱意が必要になります。

 

 

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