久しぶりに受けた某がん専門の大病院の診察で、主治医に

「放射線治療を受けないと、温存手術でせかっく残した乳房を失うことになるかもしれない。それでもいいんですか?」と脅されました。

この先生は、僕と彼女がまだ温存手術と全摘手術の違いを完全に理解していない時に、

両者のメリットとデメリットを僕たちに説明せずに、「温存手術と全摘手術のどっちにしますか?患者であるあなた達が決めて下さい」と言ってきた先生と同一人物です。

ちょっと信じられません。診察を受けた後、あまりの酷さに半笑いになりました。

抗がん剤を不自然な数字のトリックで勧めてきたのもこの医師です。

最終的に過剰気味の治療を勧められるのは、それが病院やその医師の方針ならば仕方がないと思います。

あくまでお勧めされているだけであって、それに従うかどうかは患者側が決めることです。1%でも再発率が下がるのであれば、どんな副作用のある治療法でも受け入れる、という人もいるのですから。

しかし、卑怯な説明の方法で患者に正確な判断をさせず、実態のない恐怖のイメージのみ患者に与え、なんとしても治療させようとする医師のやり口には狂気すら感じました。

 

イメージだけの問題です。ただのイメージの問題ですが、がん専門の大病院の乳がんの専門医が、患者の乳房が危険な状態だというイメージを不当に与えようとしてきたのです。その行為が現実的に持つ効力は計り知れないはずです。

実際に、今回の診察が終わった直後に、彼女が放射線治療に対してどういうイメージを持ったかを聞いてみたところ、「放射線治療を受けないと、せっかく温存治療をして残した乳房が、いずれ全摘しなければならなくなってしまう」と、言われたような気になったと言っていました。

そんなことをこの医師は一言も言っていないのです。実際に語尾で「こうなる」とか「~~だ」とか、何かを言い切ることはほとんどありませんでした。

そういう、自分では確実に言い切るようなことは一切しない構えの中で、この医師は「最悪な場合こうなるかも。」という、悪い可能性をひたすら説明し続けました。

放射線治療のメリットとデメリットを客観的に説明する気がまったくなかった。どんな病気のどんな治療法にも効果と副作用があって、そのバランス次第でその治療法を受けるかどうかを決めるはずです。

がんの治療のような、全てが確率でしか測れないような病気の治療(予防)ならば、なおさらメリットとデメリットのバランスを客観的に慎重に考慮しなければならないはずです。

あの医師は、客観的でなかったというレベルで収まらず、あらゆる印象操作によって、放射線治療を彼女に受けさせようとしてきました。

(乳がんの温存手術を受けたのならば、放射線照射はセットで必ず行うのでは?と思われる方も多いはずです。ですが、「手術断端陰性の場合に放射線照射を省略する場合がある」といううたい文句を掲げているのは、何を隠そう、この病院の方なのです。病院のホームページに書いてあります。彼女と僕は最小限の治療の望んでいました。だからこそ、この病院に転院までして手術をしてもらったのです。)

 

全ては確率、可能性の話です。再発「予防」の話なのですから。その可能性の彼女の場合の確率的な数字は、すでに病理検査の結果より全て判明しているのです。

なのになぜ、それらの数値をもとに説明しないのかが不可解であり、不審でした。

まったく同様の不可解さ、不審さが、抗がん剤の使用を勧められた時にもありました。

 

彼女の乳がんの場合は、手術の結果で断端が陰性だったこともあり、局所再発の可能性は9%です。これはこの医師自身が以前に言ったことです。

そして、局所再発予防の放射線治療をすると、この9%が三分の一の3%になる。なので、放射線治療をした場合に恩恵を受ける人は、(9%-3%)で、6%、つまり100人の内6人になります。

そして、この6人の受ける恩恵は、余命(命の危険)とは関係ないです。局所再発は患者の余命と関係しないことは、現在は全ての乳腺科医の認めるところです。乳房だけの問題です。

これが温存手術後の放射線治療の彼女の正確なメリットになります。

 

「放射線治療を行わなかった場合に、行わなかったがゆえに(命の危険とは関係のない)局所再発してしまう人は、100人中6人です。」

そう、患者に伝えるべきですし、それ以外の(むやみに危険性だけを強調する)伝え方は客観性を欠いています。

そして、その事実に加えて、放射線治療にかかるいろいろなコストとデメリットを説明して、最後に放射線治療を受けるかどうかを患者に選ばせるべきです。

 

繰り返しになりますが、彼女に診察が終わった直後にどう思ったか聞いてみたところ、「今、放射線治療をしなければ、いずれ全摘しなければならなくなってしまう」と言う意味合いの説明をされたと感じていました。

そして、その医師の説明の全体のイメージで言えば、僕も完全に彼女に同意します。本当に重要な実際の数値などを説明では一切出さずに、ひたすら「再発」「リンパ転移」「全摘」という単語を繰り返し、恐くなるイメージだけを彼女に与えた説明でした。

ステージⅠ(リンパ転移なし)、ルミナールA、断端陰性だった彼女に対して「局所再発してリンパ転移して全摘の可能性がある」との繰り返しです。

そして聞いてもいないのに「放射線照射を受けないからといって、術後の検査の回数を増やすわけにはいきません。放射線照射を受けないことはご自身が決めることなのですから。」と、話の最後に付け加えてきました。

後から局所再発が恐くなっても診てやらないぞ!ということなのでしょう・・・希望しても保険診療ではやってくれないということなのでしょう・・・聞いてもいないのに・・・

 

がん専門の大病院には絶望しました。

もちろん、1%でも再発率を下げることができるのならば、どんな副作用のある治療法でも受け入れようという気持ちの乳がん患者さんも少なくないと思います。

ただ、彼女と僕はそうではありません。

患者の希望と異なった提案を、医師や病院側がすることも問題ないと思います。

しかし、彼女の主治医は「提案」はしてくれませんでした。恐怖を煽る言葉によって脅されました。

客観的な医師としての説明は皆無でした。

このような診察や治療が、彼女がかかったがん専門の大病院の病院全体の方針として行われていないことを願うばかりです。

 

 

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すみません。以前僕は彼女が手術を受けたがん専門の大病院について思うところがあって、「大病院のデメリット」と題して2回ブログを書きました。

そして3回目を書いてこの題材についてはシメようかと思っていたのですが、ちょっと彼女と喧嘩をしてしまって予定が狂ってしまって・・・

「大病院のデメリット3」として文章はほぼ出来上がっていたのですが、投稿する機会を逃していました。

唐突に投稿しますが、読んでいただければ幸いです。

 

以前の投稿は以下です。

大病院のデメリット
http://karenyuu.net/information/major-hospital/

大病院のデメリット2
http://karenyuu.net/information/major-hospital2/

 

大病院のデメリット3

病院の規模が大きければ大きいほど、その病院は防衛的になり、その結果として治療が過剰になる可能性がある、というのが前回までの僕の主張です。

それとは別に、もう一つ、治療が過剰になる大きな理由が大病院にはあると思います。

それは、わざわざ大病院を選んで治療を受けにくる場合は、そもそも患者自身の治療意欲が高い場合が多いのではないか、ということです。

大病院では、そもそも患者側の要望として、多くの治療がなされる可能性があります。

その結果、病院全体としての流れで大病院ではどの医師も治療が過剰になるのかもしれません。

彼女が入院したがん専門の大病院には、他県や他地方から来た人も居たようです。

わざわざ良い噂を聞きつけて遠くから来て入院する患者さんは、効果のある治療を少しでも多くしてもらおうと希望する可能性が高いと思われます。がん専門病院ならなおさらのはずです。

ただ、治療意欲が高いことは素晴らしいことですが、効果と副作用のバランスをしっかりと見据えて、不必要な治療は受けない勇気が必要だと僕は思います。

 

それと病院も客商売なので、経営的な意味で、過剰な治療になる可能性もあると思います。ですが、そういったことが大病院だと小さい病院に比べて強くなるのかは僕には確実には推測できません。

 

以上、大病院が過剰な治療をする可能性があると批判ばかりしてきましたが、大病院にももちろんメリットは少なからずあります。

 

まずメリットとして一番に考えられるのは、検査や治療に使う機材が最新のものであったり、高価で感度の良いものであったりする可能性が高いことです。確率的な推測ですが、基本的にこれは間違いないことです。

それに彼女が入院したがん専門の大病院では常時二人の乳腺エコー技師がいたらしく、エコーでの乳房の腫瘍の検出力がすさまじかったです。彼女の両乳房に、小さな良性の腫瘍がポコポコ見つかりました・・・それはそれで嫌でしたが・・・

 

それと、患者数が多いので、医師が手術をたくさんこなしていて、上手である可能性も高いです。彼女が手術をしてもらった医師も、一年間に非常に多くの手術をこなす医師でした。

 

また、これは手術が終わった直後のブログに書いたことですが、彼女の入院の感想として、大病院のメリットがありました。

彼女が入院した病室には、彼女と乳がんの状態の近い患者さんが、次々に入院してきました。その方たちと乳がんについての情報や心情を共有できたことが、彼女にとってとてもありがたいものでした。

近い病状の患者さん同士の意見や情報の交換から生まれる共感は、彼女にとって他では得られない貴重なものだったようです。

 

結局のところ、大病院やがん専門病院にはメリットもデメリットもあると考えるべきだと思います。

「大病院だから、がん専門病院だから、最高の医療が受けられるだろう。全て任せよう。」という考えは、乳がん治療に関しては危険だと思います。

乳がんの治療はやればやるほど良い、というものではないからです。

大病院だから、がん専門病院だからこそ、自分で良く考えて上手く立ち回る必要があるのではないでしょうか。

 

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前回のブログでは、大病院のデメリットとして、医療行為が過剰になりやすくなるのではないか、と僕の推測を書こうと思っていました。

ですが、文章が長くなりすぎて、取りあえず途中で区切って終わる形になってしまいました。

文章を書くことは、なかなか上手くはいかないものですね・・

なるべく話をまとめることを念頭に置きつつ、前回の続きを書いていきます。

 

前回僕が書いたことを簡単にまとめると「最近の医者や病院は、訴訟やネットの悪い噂から、自分達を守ろうとする傾向が強い」ということです。

これは特に変わった見方ではないはずです。一昔前に比べて、多くの人が簡単に医者や病院についての情報が手に入るようになったのですから、当然のことかもしれません。

そして、僕はこの医者や病院の自衛傾向は、大病院ほど強いのではないかと推測します。

 

嫌なことを書いてしまいますが、病院側からみると、病院の自衛はつまるところ苦情対策なのです。

僕の今までの経験上、苦情対策のような類のものは、大きい組織ほどしっかりしていると思います。

大きい組織ほど、単に苦情対策にお金や人員を割くことができる、ということもあります。

それもありますが、そもそも、大きい組織の方が苦情自体が多いのです。そして、一番強い苦情を比べた場合、小さい組織より大きい組織の方が強い可能性が高いのです。

 

苦情を対策する場合に、どのレベルの苦情を基準に対策をするのでしょうか。

強い苦情の方が、件数的には少ないはずです。簡単な苦情の方が件数的には多いはずです。

過去にあった一番強い苦情は、それ自体相当稀な苦情のはずです。稀だからこそ一番のはずです。

強い苦情が稀だからと言って「例外」として、無視や軽視をしてよいということにはならないのではないでしょうか。

むしろ逆に、苦情対策を考える場合、一番強い苦情を基準にどう対策を立てようかを考えてしまうのではないでしょうか。

企業や商店などは特にこの法則に当てはまると思います。

組織が大きければ大きいほど、訴訟や悪い噂によるイメージダウンの結果による被害が大きいのですから。

 

そういった訳で、組織が大きいほど自衛の傾向が強くなると思われます。そしてこれは病院組織にも当てはまると思います。病院もある意味客商売ですから。

 

そして、何と言うか、非常によろしくないことなのですが、病院の自衛傾向が強くなれば、治療が過剰になると思われます。

患者に悪い結末が訪れた場合、病院として治療を多くやっていた場合と、慎重に様子を見てあまり治療していなかった場合と、どちらが病院の責任が小さくなるのでしょうか。

当然、多く治療をしていた方が、病院の責任が軽くなります。いや、軽くなるように見えるだけなのですが。

「病院としては手を尽くした」と言えばいいだけなのです。

副作用の多い薬をたくさん使って、むしろそのせいで患者の容体が悪くなってしまったとしても、医師や病院は、それを製薬会社のせいにしたり、それを認可したお役所のせいにできるのです。

手術にしても同じことです。手術をせずに様子をみていたら容体が悪くなった場合に「手術をしなかったから、病気が進行してしまったではないか!」と言われると、医師や病院はなかなか返しづらいです。

逆にあまり必要のない手術をして患者の容体が悪くなっても、やはり「病院としては手を尽くした」と言えばいいだけです。

 

たくさん薬を投与して、たくさん手術などの外科処置をすれば、それで病院としては、患者の容体悪化について言い訳できるのです。

病院の自衛傾向が強くなればなるほど、医療行為が過剰気味になっていく可能性が高いのです。

そして大病院はその傾向に強く当てはまると思います。

 

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