どうやら、間違いなく彼女の乳がんは抗がん剤の必要のない状態のようです。

前々回のブログで仮に計算した再発率3.5%減という数字よりも、実際ははるかに低くなるようです。ネットや本で調べれば調べるほど、そうなります。

そして彼女がかかっていたがん専門の大病院では、あやふやに抗がん剤をすすめてきたことは事実です。

医師から言葉で「勧める」とも「やった方がいい」とも言われませんでした。

ですが、診察が終わってみれば、彼女は抗がん剤をやらなければならないような気持ちにされていましたし、医師からもらった治療方針を書いた用紙には抗がん剤治療に〇がついていました。

この状態ならば、医者を疑わない多くの患者が、必要のない抗がん剤治療を受けてしまうと思われます。

このようなことになってしまったことは、とても残念です。ですが、悲しんだり怒ったりしていても何も始まりません。

どうしてこうなってしまったのかを僕なりに分析して、彼女と僕がこれから乳がん治療をしていく上での注意点として行きたいです。

また、これを読んで下さっている人の中で、彼女と同じような立場に置かれた人がいたら、参考にしてもらえればうれしいです。

 

僕は彼女がこの病院に転院する時から、検査、入院、手術、病理検査が出るまで、ほぼ付き合っていて、病院側の対応を見ています。

そして、今回の病理検査結果の説明で納得のいかない事態になったのです。ですが、実は病理検査結果以外にも、2つの病院側の対応として微妙だと思われることがありました。

それらを考え合わせて、僕は一つの結論を出しました。

がん専門(もしくはがんに力を入れている)大病院ほど、治療が過剰になりやすい、ということです。

 

そう思うにはいくつも理由があります。

まず、一番大きな理由として、大病院ほど、自分達の病院や医師を防衛しなければならない、ということです。

僕は病理検査結果の説明以外にも病院側の対応として微妙だと思うことがあったのですが、その一つは手術前の同意書の量です。

とても患者が多い大病院の忙しい先生が、数十分もかけてひたすら同意書の内容を説明して、彼女にサインを書かせました。

昔と違い最近は医療ミスなどがあった場合は、もみ消されずに裁判も起こすことができますし、報道もされるかもしれないです。

また、医療ミスとまでいかなくても、患者が納得のいかない治療を病院側がしてしまった場合、インターネットやSNSでその事実が拡散されるかもしれません。

そういう事情があるのでしょうか、彼女のかかったがん専門の大病院は、ちょっと考えられないくらいの量の同意書を彼女に書かせました。

もしかしたら、今はそれがどこの病院でも当たり前なのかもしれません。しかし、ちょっと気持ちの悪くなるくらいの量の同意書請求だったことは事実です。

このことから、病院や医師が患者から起こされる訴訟などから身を守ろうとしていることがうかがえます。

 

もう一つ病理検査の結果以外で病院の対応として微妙だと思ったことがあったのですが、それは手術の方法を温存にするか全摘にするかを決める時の医師の説明です。

手術方法を決めた時の診察では、主治医は自分から「どちらの方がいい」とか「どちらをお勧めする」「一般的にはどちらをやる」などのアドバイスは全くなかったです。

ただひたすら、「そう決めてもらった場合はこういうことをします」というような説明を受けました。

当時僕と彼女は、温存か全摘かは乳がんの状態などを見て医師が決めるものだと思っていたので、かなり困惑しました。

決めてもらえないどころか、お勧めすらしてもらえなかったわけです。(この時のことは温存か全摘か2に少しだけ書いています)

今になってよく考えると、抗がん剤治療の説明と同じですね・・・

当時僕は「お勧めしないのは患者の希望を尊重するからだ」と良い取り方をしていましたが、今考えるとこれは責任を逃れることによる自衛の手段です。

温存か全摘か、どちらの手術の方法にも良いところと悪いところがあり、どちらの方法であっても、手術後に患者が不満を持つ可能性があります。

患者を上手く誘導して、とにかく手術方法を決めたのは患者自身だと、ということにしたいのでしょう。そう強く印象付けようとしています。

 

手術方法を患者自身が決めるのは当たり前です。ですが、その手術方法を選択する時に説明するのは医師です。

その手術方法の説明で「良い手術です」と説明すれば、患者はその手術を選択する可能性が高くなりますし、「危険な手術です」とか「効果が低い手術です」などと説明すれば、患者はその手術を選択したくなくなるはずです。

どんなことでも専門的な知識を持った人の方が、正しい判断ができる可能性が高いので、多くの人は自分より詳しい人の言うことは無条件に信じてしまいます。

 

医者が「良い手術です」と説明して、その手術が統計上安全で効果の高い良い手術だったとしても、実際の手術では失敗したり、効果が出なかったりする場合もあります。

それは仕方のないことです。

その時に医者は患者に「先生がお勧めした手術をしたのに、結果が悪かったじゃないですか!」と責められるかもしれません。

理性的な患者ならば、そういう言い方はしないかもしれません。そういう言い方をする患者がいたとしても、自分の健康や命がかかっていることで患者が取り乱しているのですから、医者はそれに対して寛容になるべきです。

医者は口で文句を言われるくらいは我慢するべきです。患者の心中を察するべきです。

 

ただ、今のご時世だと医者は「口で文句を言われる」だけでは済まない場合があるわけです。

訴えられたりネットで拡散されたりする可能性があるわけです。なので、現在の医者は自分を守る必要があるのです。

そして、僕にはこの医者が自分を守る現象が行き過ぎているように見えました。

そのままの意味で過剰防衛です。

防衛の名のもとに患者を攻撃しています。

 

最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します




にほんブログ村

病理検査の結果が出てからここ数日、何か怒りを覚えたり悲しい気持ちになったり、そういう風な気持ちにしかなっていなかったような気がします。

そのような精神状態を長く続けるのは良くないですよね。彼女にもよくない影響を与えてしまうと思います。

僕が沈んだ精神状態ならば、この文章を読んで下さる人も嫌な気持ちにさせてしまうかもしれないです。

気持ちを切り替えて行こうと思います。僕はどちらかというと、物事を悲観的にみてしまうタイプの人間なので、意図的にでも前向きに彼女の乳がん治療に向き合って行こうと思います。

 

彼女を見習って、うちのワンちゃんでもモフモフして元気にさせてもらいましょう。

彼は丸っこく見えて、意外と中身が少ないんですよ。毛ばっかりです。

顔に立派なひげが生えてますが、濡れるとキツネのような顔になります・・・

トリミング後は完全に別犬です。

 

最近、彼女が自分の健康に気を使ってくれるようになってきました。よく仕事帰りに一駅分歩いています。

その奇跡を神に感謝したいところですが、そういうのは止めておいて、普通に彼女を褒めることにします。

一駅分は大体2キロくらいです。これを毎日とは言わなくても、週に3~4回歩くだけで、今まで出不精だった彼女にとっては、劇的な運動不足解消になると思います。

散歩は面倒くさいものではなくて、気持ちがいいものです。始める瞬間、家を出る瞬間だけ少し面倒くさく感じますが、歩いているとどんどん気分が良くなってきます。

なので、散歩はする習慣さえついてしまえば、家から出る面倒くささよりも散歩をする快感が上回るようになって、散歩=楽しみになります。

どんなことでもそうなのですが、最初に習慣をつけることは苦労しますが、一度習慣化すると、それは楽しみに変わります。

彼女が散歩を習慣化できたことは彼女の成長です。

彼女が成長を良く覚えておいて、自分が習慣化すべきものを見つけた時に思い出したいと思います。

 

最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します




にほんブログ村

前回のブログで、主治医に「抗がん剤で20%~30%くらい再発を減らすことができると言われています」と説明されたと書きました。

この数字は完全におかしいです。意図的におかしい説明をして、抗がん剤治療を患者自らの意思でやらせようとしています。

どういうことか解説します。

(乳がんで「再発」というと、温存した乳房の中にまたがんができる局所再発と、肝臓や肺などの他の臓器に転移して再発する転移再発があります。その二つは再発する理由も違いますし、危険性も違います。話を分かりやすくするために、今回のブログで「再発」と書いた場合、それはすべて転移再発を指すことにします)

 

まず、明確に数字としての結論を出します。(僕はこれをしなかった医師に対して腹を立てているのですから)

彼女の乳がんの場合、10年間の無治療での再発率が20%~25%だと説明を受けました。そしてホルモン療法をすれば40%再発率が減り、抗がん剤治療をすれば20%~30%再発率が減る(と言われている)と説明を受けました。これをもとに彼女が抗がん剤治療をした場合に減らすことのできる再発率を計算します。

再発率20%~25%を分かりやすく22.5%、抗がん剤治療をした場合再発率が減る(と言われている)20%~30%を分かりやすく25%とします。

 

①抗がん剤治療をしなかった場合(ホルモン療法のみ)の再発率→(22.5%)×0.6=(13.5%)

②抗がん剤治療をした場合の再発率→(13.5)×0.75=(10.125%)

彼女が抗がん剤を使った時に減らせる再発率=①-②=3.375%

です。彼女にとっての抗がん剤の効果は約3.5%です。

この3.5%という数字とて、はっきり言って怪しいです。おそらくもっと低いです。彼女の主治医の出した数字を最大限に尊重して数値を計算した場合でも、彼女にとっての抗がん剤の効果は3.5%なのです。

それを20%~30%も効果があるかのように説明されたのです。

そして、実際に彼女は完全にミスリードされていました。彼女は全体の数字的な説明はしっかりと理解をしていないのに、20%~30%という数字だけははっきりと覚えていて、抗がん剤はよく効くものだからやった方がいい、とだけ感じていました。

 

ここまでの僕の説明がよく分からなかった人も多いと思います。それが普通です。分かりにくい話なのです。そもそも医者が(意図的に?)患者に分かりにくく説明しているのです。

最初から抗がん剤の効果は3.5%と言えばいいのです。それを20%~30%と言い換えているのです。

僕は学生時代、数学は得意でした。今でも数字的な計算や議論は好きです。(偉そうに言わせてもらって)その僕でも、上記の計算は家に帰ってからやってみて、初めて理解しました。説明されている間は、けむに巻かれているような感じでした。

 

数字での説明だけでは分かりにくいので、数字のトリックを言葉で説明していこうと思います。

言葉として結論を言うと、抗がん剤の効果を測るならば、まず全体から無治療でも再発しない人の人数を引き、次にホルモン療法を行った場合に再発しない人の人数を引き、さらに残った人たちの中で、抗がん剤治療によって助かる人の人数を計算しなければならない、ということです。

それがされていませんでした。されないどころか、逆に勘違いが起こるような説明が(意図的に?)されていました。

彼女が説明された、抗がん剤の効果としての20%~30%というのは割合です。無治療で助かる人、ホルモン療法で助かる人を引いて、残った中の20%~30%です。

なので、無治療やホルモン療法のみで助かる可能性の高い場合は、抗がん剤の効く割合が例え20%~30%であっても、ごくわずかな20%~30%になるのです。

それが3.5%なのです。

同じ20%~30%でも、その前提で大きく変わるのです。

これは彼女の乳がんが初期なのでもともと無治療での再発率が低いこと、そしてルミナール型の乳がんなのでホルモン療法の効果が高いことからの結果です。

逆に、乳がんの型がトリプルネガティブの場合は、残念ながら同じステージで比べると再発率はルミナール型より多少高いです。そしてホルモン療法は効果がないのでやりません。

よって、トリプルネガティブの場合、抗がん剤を使って20%~30%の効果が出るならば、非常に大きな20%~30%になるのです

このことは、乳がんの標準治療では本当に基本的なことです。標準治療ではルミナールAは抗がん剤は使いませんし、トリプルネガティブには抗がん剤を基本的に使用します。

抗がん剤を使う意義が大きい時には使い、意義が小さい時には使わないだけです。

 

抗がん剤の効果が20%~30%と言っても、その前提で20%~30%の持つ意味合いと意義が大きく変わるのです。

その意味合いや意義をほとんど説明せずに、彼女の主治医は抗がん剤の効果が20%~30%だと説明したのです。ご丁寧に「と言われている」を付け足して。

 

そしてさらに説明が悪質なのは、無治療再発率の20%~25%、ホルモン療法の効果40%、抗がん剤の効果20%~30%という数字を、ほぼ一気に言ったことです。

これらの数字は似たような大きさになっていますが、意味合いも前提も完全に違うので絶対に比べたりしてはいけない数字なのです。

詳しい前提の説明をせずに、この三つの数字を一気に言われると、まるで抗がん剤の効果がホルモン療法の効果の3/4~1/2くらいあるように聞こえます。40%と20%~30%を比べてです。

しかし、それは絶対に間違っています。

ルミナール型の乳がんの場合、ホルモン療法を単独でやることはあっても、抗がん剤治療を単独ではることはあり得ないからです。

ルミナール型の乳がんの人が抗がん剤治療をするならば、必ずホルモン療法もやります。なので、ルミナール型の乳がんで抗がん剤治療の効果を測るならば、まずはホルモン療法単独での効果を引かなければならないのです。

具体的に書くと、もしホルモン療法の効果が40%と説明するならば、抗がん剤の効果は20%~30%(×0.6)で12%~18%と説明すべきです。

そして、患者に無治の療再発率と、ホルモン療法の効果と、抗がん剤治療の効果を並べて誠実に(正しく)説明するならば

100人中、無治療でも再発しない人が約78人、ホルモン療法によって再発をまぬがれる人は9人、抗がん剤治療によって再発をまぬがれる人は約3.4人

としなければならないのです。

これはあくまで彼女の主治医が示してきた数値のソースを正しいと仮定した時の話です。

抗がん剤の効果としての20%~30%という数字が、ルミナール型の乳がんだけの統計をとった話でなければ、3.4という数値はもっと小さくなる可能性があります。

 

気が進みませんが、その辺りを次の彼女の診察の時に主治医に聞いてみようかと思います。はっきり言って、このような不誠実な説明をする医師が、大本のデータのソースをしっかりさせているとは思えませんが・・・

 

最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します




にほんブログ村

PAGE TOP