小林麻央さんの乳がん治療歴について2
僕がネット上で知りえた小林麻央さんの乳がん治療の情報は多くはありません。
ですがその中の一つとして、麻央さんがガンマ線を用いた四次元ピンポイント照射というものを受けていたことは、かなり確度の高い情報だとネット上ではされているようです。
僕にはこの四次元ピンポイント照射という技術を批評するような知識はありません。なので、この治療法にどうのこうの言うつもりはありません。
ただ、これを行うクリニックのホームページにある、同クリニックの紹介文章を読んでみると、どうやら乳がんの標準治療を受け入れたくない患者のための治療法という位置づけにしているようです。
僕はこの話を聞いて、僕の彼女の乳がん治療を通して感じた問題点が、そのまま麻央さんの治療歴にも当てはまっているような気になりました。転移に対する誤解だな、と思いました。
僕の彼女は転院したことや同一医院内で何人かの医師の診察を受けたことで、トータルでは5人の乳腺科の医師に乳がんの説明を聞いたことになります。
その誰一人として、乳がんの転移について詳しく説明をしてくれませんでした。
がん治療の中で転移はその中心です。ステージⅢを含みそれより前の乳がんならば、その後に遠隔(他の臓器への)転移しなければ、命に係わることはありません。
なので、乳がんの治療はステージⅢより前ならば、治療のすべては、遠隔転移を阻止するための治療だと言えます。ステージⅣでも転移巣をそれ以上増やさないこと(それ以上の転移の阻止)が治療の目的の大きな部分です。
つまり、乳がんの治療は、遠隔転移を阻止するための治療だ、と言い換えられます。
なのに、彼女が診察を受けた乳がん医師の誰一人として、遠隔転移について詳しく説明してくれる人はいませんでした。乳がん治療で一番大切なことを、医師の誰一人としてまともに説明してくれなかったのです。
ネット上で実際の乳がん患者の書き込みを見てみると、これは彼女が診察や治療を受けた医師達に限ったことではないようです。
日本で乳がんの標準治療を受ける限り、遠隔転移の原理を詳しく説明してくれる医者の方が、むしろ珍しい存在のようです。
遠隔転移とリンパ節転移は意味合いがまったく違います。命に対する危険度も大きく違います。ですが、実際の乳がん患者で、主治医からこの違いを詳しく説明してもらって、自信をもって他人に二つの違いを説明できる人は少ないはずです。
また、転移再発と局所再発の二つについても、意味合いや命の危険度も全然違います。この二つについても、実際の乳がん患者であったとしても、違いを詳しく説明できる人の方が少ないはずです。
「転移すると危険」「再発したら恐い」くらいの認識の方も多いはずです。少なくても、自分で乳がんについての勉強を積極的にしなかったのならばそうです。
日本の乳がん専門医は、なぜか、これらのことをあまり説明しないのです。
とても大切なことのはずです。これらの違いをしっかり理解することで、乳がんの治療方針を決めることができるはずです。
逆に言うと、これらのことをしっかり理解していないと、患者自らに治療法の選択の余地など生まれず、ただただ医師の言うままの治療法を受け入れるしかなくなるのです。
もし、仮に乳がんを発見しても、乳房にメスを入れたくないと思う方もいるかもしれません。抗がん剤治療を受けるのに抵抗がある方もいることでしょう。
そして、そういう人達を受け入れる目的で、冒頭の四次元ピンポイント照射で乳がんを治療するクリニックがあるようです。
そこで先進の医療であるガンマ線を使った四次元ピンポイント照射を受けたならば、もしかすると、乳房に対する通常の外科手術と同等か、それ以上の治療がメスを入れずにできるのかもしれません。(どの程度体に負担がなく、どの程度がん細胞の取り残しがなく治療できるのかは、僕には分かりません。)
ただ、それは乳房に対する局所の治療であって、全身に対する遠隔転移のための治療ではないです。どんなに上手く行ってもです。
その治療だけで終わった場合は、全身にする遠隔転移のための治療は一切やっていません。無治療です。乳がん治療で一番大切な遠隔転移を阻止するためには、何一つ対策を講じなかったことになるのです。
全身に対する遠隔転移阻止のための治療は、今のところ抗がん剤治療をするかホルモン療法をするか、分子標的薬を使うしかありません。
僕の彼女は、このことについて誤解をしていました。そしてその上、乳がんの治療自体にあまり積極的ではありませんでした。
彼女は無治療を望んでいたのですが、乳がんが発覚してから手術はしました。「手術したのだから、もういいでしょ」と思っていたフシがあります。
乳がんの手術は乳房にあるがん細胞を取り出すためのものです。乳がんは乳房から別の臓器に転移しなければ、命の危険はありません。
ですが、手術をした時点で、現在の検査機器では発見できないくらい小さいレベルで、すでに転移しているのかもしれないのです。
そのために、乳がんの手術後は全身に対する治療をします。抗がん剤治療やホルモン療法や分子標的治療です。
乳がんで転移を阻止する(=命の危険を回避する)ための治療は、手術が終わってからも続きます。むしろ、転移を阻止する(=命の危険を回避する)ための治療は、手術が終わってから本格的に行われる、と言えるかもしれません。
なので僕は、無治療を望む彼女に対して、何とかホルモン療法をやってもらうように説得をしました。転移に対する誤解を解く説明を続けました。
現在彼女はホルモン療法を始めています。
僕が自分で言うのもなんですが、もし僕が彼女の転移と再発に対する誤解を解かなかったならば、彼女は手術後に無治療を選んでいた可能性が高いと思います。
そのくらい、どの医師からも転移について説明を受けませんでした。
そして彼女の主治医は自分の思う治療法を彼女の意思に反して押し付けようとしてきたので、気の強い彼女は、反発心からも全ての治療を拒否していた可能性も現実的にあったと思います。
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ディスカッション
コメント一覧
私の主治医は、説明しましたよ。
乳癌の治療は
①局所再発防止
②遠隔転移防止
の2本立てである、って。
だから、初期治療が大切なのだとも。
そして、主治医だけでなく、担当看護師からも詳しい説明がありましたよ。
私から見ると、よっぽど説明をしない方針の病院に通われてしまったのですね。
転院してよかったですね。
コメントありがとうございます。
看護師さんからも詳しい説明があったというのは、羨ましい限りです。
彼女の病院の看護師さんは、とても親切でしたが、乳がん自体に対する説明などは一切ありませんでした。
主治医もほとんど説明しなかったので、当然ではありますが。
それと、残念ながら彼女が転院した先が、その説明の少ない病院でした。
彼女の主治医の個人的な方針が大きかったのかもしれません。