彼女の乳がんの針生検の結果で、ki(キー)67が高いとなっていたことを、このブログで何度か書いています。

ki67とは簡単に言うと、そのがん細胞の分裂速度=増える速さを表すらしいです。

それだけ聞くと、とてつもなく重要な指標に聞こえますよね。もはや、ki67の数値=がんの危険度、とすら考えたくなる響きです。

ただ、単純にそういうわけではないらしいです。

なぜ単純に、ki67=がんの危険度、とならないかというと、それはそもそも人間の体の中で起こっている現象が、ある一つの数値では表すことができないからでしょう。

偉そうに言わせてもらうと、生物というのはそういうものです。

生物の体内でなんらかの理由である物質Aが増えたとします。

そうすると、その生物の体内ではAを減らそうとして物質Bが増えたり、Aと競合する物質Cの活動が制限されたために別の物質Dが増えたりします。そしてBと競合するEが減って、Dを制限するFが増えたりします。

また、一連の物質の量の過度の変化を抑制する物質Gが分泌されたり、その生物体の調子が悪くなって活動量が減ったためにHという物質が分泌されたり、Iという物質が抑制されたり・・・

わ、わけが分からなくなってしまいましたが、何が言いたいかというと、人間の体の中の現象は一つの説明だけでは成り立たない、ということです。

人間の体の中では、ある現象が起こると、それにともなって同時に別の現象が連鎖的に起きる。そして、その一連のすべての現象の影響の大きさによって、結果が変わってくるのです。

例えば、免疫系が正常に働いていれば、人間の体内に入ってくる異物を排除できますが、免疫系の働きが強すぎれば、自己免疫疾患になってしまいます。

つまり免疫力が高ければ高いほど健康だ、とは言い切れないのです。免疫の強さは健康に関係していることは間違いないのですが、必ずしも高い方がいい、というわけではない。

がんの原因とされる遺伝子の損傷にしても、適度に損傷を受けて適度に修復されていた方がいい、などとも言われています。つまり、必ずしも人間が受ける放射線量に比例してがんになりやすくなる、とはならないのです。

話が長くなってしまいましたが、ki67の話に戻ろうと思います。僕の言いたいことはこういうことです。

ki67の数値はがん細胞の増殖する速さを表していて、がんの進行や治療後の再発などに関係していることは間違いない。けどれ、だからと言ってその数値がそのまま危険度になるわけではない、ということです。

人間にとって乳がんは良くないものなので、乳がん患者にとってki67は低い方がありがたいし高い方が嫌であることは間違いないです。

ですが、じゃあ、ki67が10%の乳がんの人と80%の人を比べて、8倍進行速度の速い乳がんなのか?と言うと違います。8倍再発しやすいのか?と言われても違います。

(医学専門家ではまったくない僕が主観的に強引な結論を出しますが)どんなに大きくても、せいぜい1.1倍~1.2倍の進行速度の差でしょうし、そのくらいの進行や再発の危険性の差でしょう。おそらくはもっと全然低い。明らかに高い人と、明らかに低い人を比べてです。

ある一つの指標だけで、がんの進行や再発の度合いを測ることはできないんです。がんの進行や再発には、生物的に多くの作用が関わっていて、ki67で測れる増殖の速度はその作用の中の一つに過ぎないんです。

(逆にある一つの指標で1.2倍ものがんに対する危険性が測れたならば、その指標に対しての研究によってがんの治療技術が格段に進歩するはずです。それにもし「あなたは~の数値が高いので、乳がんが再発する可能性が20%上がります」と言われたら、それは相当なことだと思われます。)

 

彼女のお世話になっている病院はがん専門の大病院です。その病院は手術の方法や薬による治療方法を病院全体の方針としてある程度定めてあり、それを細かく冊子に書いて、患者一人ひとりに配っています。

その中の説明には、抗がん剤を使う基準としていろいろな要因が書いてあるのですが、ki67という言葉は出てきません。ki67はおそらく「その他の危険要因」に含まれるのだと思います。

抗がん剤を使う基準として、リンパ節転移の数やHer2タンパク質の状態、腫瘍の大きさなどがメインのようです。

 

このように、多くの乳がんの患者さんは、ki67という指標の数値を知ったからといって、治療方針が変わることは現在の乳がん治療の技術ではないようです。

ですが、僕の彼女の場合はギリギリのところで、ki67によって治療方針が変わる可能性があるんですよね・・・ki67の値によっては抗がん剤が検討されます。

と、いうか・・・

彼女の乳がんのような状態が、ki67の試金石だと思います。ki67という情報の真価が問われるような状態だと思います。

抗がん剤を使うか使わないかは、もちろん最終的には彼女自身が決めます。ですが、医師の説明が「ki67が高いですけど、他の状態がいいので、抗がん剤治療は不要です」のように言い切ったりしたら、本当に現在の乳がん治療事情ではki67の数値に重きが置かれてないことになります。

おまけ扱いですね・・・

ただ、ki67という指標を測ってデータを集め出されたのは、10~15年前くらいかかるらしいです。なのでデータとしてまだ信頼性が低いということなのかもしれません。

 

(追記・ブログ本文ではki67の値を乳がん患者自身はそこまで気にする必要がないという結論になりました。それはいいと思うですが、現在ルミナールタイプの乳がんをAとB分類する場合、このki67の数値のみを参照して決められています。ルミナールAとルミナールBは、術後の治療の抗がん剤治療の有無が決まる大きな分類方法です。なので、医師の側から見た場合や、治療方針を決定する場合は、このki67の数値が大きな意味を持ってきます。しかし、その治療方針として大きな意味を持つ基準のki67の測定基準と評価基準(どこからAとBを分けるか)がまだ医師の間で明確な合意がないことも事実なのです。医師が恣意的に抗がん剤治療を決定してしまう可能性が残ってしまうような実態なのです。)

 

 

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現在、僕は彼女の乳がんの手術後の再発予防に関して、彼女が受ける可能性のある治療法について調べています。

その中でもホルモン療法については調べることを後回しにしていました。

なぜかというと、僕は彼女にはホルモン療法が絶対に必要であり、医師もそう言うだろうと確信していたからです。

実際に行う治療法も当然重要なのですが、今は彼女に必要かどうか微妙なラインの治療法について調べて、その治療法をやるかやらないかを決める時の参考にしようと思っています。

ただ、もしかしたら、ホルモン療法も絶対にやる、という決めつけはよくないのかもしれないですね。

やるかやらないかは、最終的には彼女の判断です。どんなに効果が期待できる乳がんの再発予防の方法であったとしても、その治療法の副作用などに納得できないのなら、やらない選択肢もあります。

ですが、あまりわがままも言ってられない・・・

彼女がどんな選択肢をとろうとも、できればそれに僕も納得したいです。

彼女がよく、「乳がんにおびえて、やりたいことを制限してしまいたくない」と言っています。

僕もその通りだと思います。でも多くの人は、彼女のように思ったとしても、実際には乳がんにおびえてしまうのだと思います。僕もおびえた一人です。

おそらく彼女は本当におびえていません。ただの鈍感とは違う、本質的な強さを彼女はもっています。

もし、彼女が乳がんの術後の再発予防の治療を一切せずに、数年後に転移再発したとしても、彼女はそれを深く悔やむことはないと思います。それで仕方なし、とできる人です。

それを僕は認めたいと思います。それは彼女の美点です。

まあ、僕は彼女が無治療で転移再発したら、悔やみ続けて発狂するかもしれませんが・・・

 

彼女のそういう男以上に男前のところは良いのです。否定するつもりはありませんし、むしろ好きなところです。

ただ、できればもう少しだけ健康意識をもってほしい。

彼女が「乳がんにおびえて、やりたいことを制限してしまいたくない」と言っている「やりたこと」の中に「健康になりたい」を入れてやってほしいのです。

治療をやりたくない、という気持ちは分かるのです。ですが、治療しなくてもいいが治療した方が再発の可能性を下げられて嬉しい、と前向きのとらえ方をしてほしいのです。

僕は男ですから乳がんにはほぼなりませんが、もし似たような状態の別のがんになったとしたら、僕はそのように考えると確信しています。

ある意味で、がんになった自分がスタートの状態で、「これからどうがんを治してやろうか!」とプラスアルファで考えると思うのです。

 

僕は今まで大病は患ったことはありませんが、日ごろから不健康な人生を歩んできました。それと対照的に、彼女は40代になるまでは、本当に健康だったらしいです。それは彼女の家族や友人からよく聞いていることなので間違いないようです。

僕にとっては、健康とは手に入れたら嬉しいもので、彼女にとって健康とはあって当たり前のことなのです。

この辺りの健康に対するとらえ方の違いから、彼女の乳がんに対する向き合い方に僕が納得できないところがあるのだと思います。

彼女が今まで健康であれたのは、間違いなく持って生まれた(親にもらった)天性のものです。

ですが、歳をとってから健康でいられるかどうかは、生まれながらにどれだけ健康な体かよりも、いかに自分の体をケアできるかどうかだと思います。

歳をとればとるほど、健康意識=実際の健康、となっていくのではないでしょうか。

 

彼女の今まで持っていた生まれながらの健康に対するプライドを崩さずに、僕の健康に対するプラスアルファ的な見方も理解してもらえるように、少しずつ話し合って行きたいと思います。

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突然ですが、このブログの見た目を変えてみました。なるべく読んで下さる人が見やすいようには作ろうと思っているのですが、なかなか難しいです。

文字の大きさひとつとっても、小さければ見にくくて読みにくいですが、大きければ横一列に表示できる文字数が減るので、それはそれで読みにくいことになります。

今はスマホでネットをする人が大半なので、なるべくスマホで見た時に見やすいように作ろうとは思っています。

まあそれでも、スマホのそれぞれの機種によって画面の大きさが違ったりするはずなので、どう合わせるかは難しいところです。

このブログを始めた理由は、彼女の治療記録を残そうと思ったからです。でも、それと同時に、こうやってWEBサイトとしてブログを作る練習をしたかったからでもあります。

いろいろ試したり調整したりして、少しずつスキルを上げて行こうと思っています。

その過程でブログがおかしな見た目になってしまったり、エラーになってしまうかもしれません。ご容赦下されば幸いです。

それと、ついでににほんブログ村と人気ブログランキングのバナーを作ってみました。よろしければ応援クリックをお願いします。

ブログの一番下に表示させるようにしたのですが(パソコンだと右)、この大きさのやつを毎回の文章の下に貼るのは少し大き過ぎますね・・・調整します。

バナーのモデルはうちの犬です。彼女はうちにくるたびに犬と戯れて、とても癒されているようです。

彼女の仕事のストレスが少しでも和らげば良いんですけどね。

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