タモキシフェンを飲みたがらない彼女にならば・・
乳がんになっても、その乳がんを恐れる度合いは人それぞれです。
僕の彼女は、相当に恐れない方の女性だと思います。もし僕と付き合っていなかったり、僕が何も口を出さなかったとしたら、彼女は手術以外は無治療を選んだ可能性があります。
病気の治療は患者の意思が尊重されてしかるべきだと僕は思っているので、乳がんについていろいろ調べましたが、最終的には彼女の意思で治療法を決定してもらおうと思っています。
ただ、彼女の選択を客観的にみて、あまりにも効率が悪かったり、無治療ならばあまりにも危険になってしまう場合は、彼女を説得して治療方針に介入しようと思っていました。
そして、彼女が受ける可能性のある乳がんの治療法を一つひとつ検討して行きました。
乳がんの治療法には抗がん剤治療のような副作用の強いものも多いです。なので、標準治療の範囲内でも、軽い乳がんには抗がん剤治療を適用しないです。要するに、効果と副作用のバランスを考えて、乳がんは治療方針を立てるのです。
効果と副作用のバランスを考えて治療法を決定する時に、彼女の意思(なるべく治療しない)もそのバランスの中に含めればいいのではないか。そういう結論になりました。
多少、治療をしない側に選択肢を寄せて、その中の選択肢でしっかりと考えればいいと思いました。
まず、彼女の乳がんはルミナールAだと判明したので、抗がん剤治療は一切考えないことにしました。サブタイプがルミナールAの場合、抗がん剤の効果は非常に低いと言われています。
なので、これは彼女の意思を抜きにしても、普通の選択肢です。
次に局所再発予防の放射線治療をやるかやらなかを話し合いました。これはちょうど「彼女の意思を含めたバランス」で考えると、やらないということになりました。
彼女は病理検査の結果で断端陰性となり、他の不安要素も特にないので、予想される局所再発率は9%になりました。放射線治療は局所再発率を約1/3にすることが認められているので、放射線治療の効果は9×2/3=6%の局所再発率を減らすことです。
「局所再発と転移の裏事情」でも書いたのですが、この6%は命の危険には全く関係のない6%です。
このくらいならば、彼女の「治療はなるべくやりたくない」という意思を尊重して、放射線治療をやらないという選択肢は十分にあり得ると思いました。なので、選択は彼女にまかせました。
(もちろん局所再発率を6%減らせることは大きいです。僕はこのくらいの数字で放射線治療をしないことを勧めるつもりはありません。ネット上で多くの乳がん患者の質問に誠実に答えている某医師も、温存手術後の放射線治療はたとえ断端陰性だったとしても省略すべきでない、とおっしゃっています。僕が放射線治療をやらなくても問題ないと判断するのは、彼女の意思を尊重した結果です。)
こういった具合に、抗がん剤と放射線治療は彼女の意思を尊重することができました。ただ、ホルモン療法(タモキシフェン)に関しては、いかんともし難いです。
ルミナール型乳がんはホルモン療法が良く効きます。特にルミナールAに関しては、他のサブタイプと比べて、タモキシフェンの効果が一番大きい乳がんのサブタイプです。
ルミナールAの乳がん患者の彼女がタモキシフェンを飲まないことは、もったいないとすら言えるレベルなのです。
ですが、そこで前回のブログで書いた「タモキシフェンを転移してから飲み始める」という選択肢が出てきたわけです。
前回のブログで僕はタモキシフェンを転移してから飲み始めることは、「選択肢の一つになる可能性がある」と書いたのですが、現時点ではまず人には勧められない選択肢です。原理的にはあり得ることですが、エビデンスがありません。
ただ、もし彼女がたとえルミナールAでタモキシフェンを飲まないことがもったいないとすら言えることを理解して、なお飲むことを拒否するのならば、僕は「ならば・・・」と転移後のタモキシフェン服用を勧めることもできるのです。
タモキシフェンをあえて転移を確認してから飲むことのメリットは、初めから転移再発しない場合(微細転移が存在していない場合)に、タモキシフェンの副作用の被り損をしないことです。
彼女の無治療再発率は約25%なので、75%は再発しません。75%はタモキシフェンの副作用の被り損になってしまうということです。
タモキシフェンをあえて転移を確認してから飲むことのデメリットは、すでに転移していた場合に、進行が早まってしまうことです。
「タモキシフェンを飲まなかったから再発した」というのは、おそらく原理的に間違っています。術後にタモキシフェンを飲むか飲まないかを悩んでいる段階で、既に微細転移があるかないかが決まっています。
ただ、術後すぐにタモキシフェンを飲むことによって、微細転移が一切成長せずに、一生微細転移のままである可能性は出てきます。これは現実的にタモキシフェンが転移を抑えたことと同義です。
こういった事情をよく二人で話し合った上で、今は彼女はタモキシフェンによるホルモン療法はやる方向で考えています。
でも、僕はタモキシフェンを飲みたがらない彼女に対して、「それならば、転移再発してからタモキシフェンを飲もう」とアドバイスするかどうか、真剣に悩んでいた時期がありました。
最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します
にほんブログ村
ディスカッション
コメント一覧
もう、好きにやってください、という感じです。
あなたのブログは、あまりにも暴走的ですので、
時間があれば、しっかり検証しながら読んで、
これは。という部分には異論や、疑問を投じることもできるますから
私個人としてはそうしたい気持ちがありますが、
時間的に無理です。
読まれる個人個人が好きに読めばいいのだと思います。
ただ、あなたは本当に乳がんの彼女を心配する彼氏なのでしょうか。
あなたのブログは、危険性を孕んでいます。
何を発信しても特段規制のないのがブログであり、
インターネットの情報全般です。
あなたは某クリニック乳腺外科医のことを
「誠実に」「患者の質問に答える」医師と言われますが、
どうして会ったこともない一外科医の先生を「誠実」と判断できるのでしょうか。
文面です、と言われるかもしれませんが、
そこがインターネットの怖いところでもあると思います。
クリニックの命運がかかっている訳ですし、
都市の数ある医療機関の中で
選択してもらう為には、患者の質問にも一生懸命答える姿勢は
重要な問題と認識されての応答だろうと容易に推測できます。
何もその医師が誠実でないと言っている訳ではありません。
名医かもしれません。
でも逆に判断材料に乏しく、その外科医ドクターの応答が
必ずしも正しくなくても誰がわざわざ反論するのでしょうか。
誠実とかそんなことは、実際に会って何年も付き合って見ないと言えないことです。
今の時点でそういうことをブログ記事で書かれること自体
バイアスがかかっている(偏り思い込みがある)ということなのです。
また、このクリニックに限ったことではありませんが、
インターネットとは、情報操作も可能です。
極端な話、成りすましとか、自作自演とかも理論的には可能です。
こういう風に、本でも何でも情報に対しては
疑いながら読むように、とは高校の時に教師から教えられた事です。
情報社会化は私の高校時代から想像できないくらい進んでおり、
個人個人が正しい情報理解力を持つことが大切な時代です。
乳がんについて、様々な勉強会、講習も受けてきて、資格も所持していますが、
情報の正確さについて、発行元を必ず確認する重要性、
どこが公正な情報があるか。必ず学びます。
(例えば、国立がん研究センターのがん情報サービス、日本乳癌学会等)
センセーショナルな情報ほど注意することもなども学びました。
自分が決めることですが、その選択過程で偏りがあってはならないのです。
また、理論と現実の差はあると仮定しても
それは医師の経験則であったり、より多くの実際のケースを
経験若しくは見聞きして初めて言えることです。
事実は小説より奇なり。というのは実際あります。
レアケースもあります。
結局何を拠り所にするのか、
本当にしっかりと自分の力で考え抜かなければなりません。
数多くコメントをいただいている通りすがりさんに、このようなお怒りのコメントをさせてしまうような事態になり、本当に申し訳なく思います。
現在僕が書いている内容は、いわゆる医療否定本に書かれている内容の一部です。僕としても、そういう本の内容の受け売りにならないようにしているつもりです。
また、以前書いたことですが、そういう医療否定本のさらに否定本なども読み、そういう医療否定本の問題点も考慮した上で、慎重に論旨を決めているつもりです。
医師が誠実であるかどうかと、医師の診断や処置が正しいこととは話が別です。また、前線で正しい治療を行える医師と、医学界の権力の毒に対して反骨精神を持てる医師は別です。僕はそれぞれの医師の良いと思うところを書き、良くないと思うところを書いていません。
反論のような形になってしまうことをお許し下さい。
また、お答えしなければならないことが多くありますので、少しずつ時間を置いての問答になってしまうことも併せてお許しいただきたいです。
僕が「インターネット上で多くの患者の質問に答えている医師」を「誠実」と発言した理由についてお答えします。
確かに、何も説明せずに「誠実」とだけ言うと、単に自分に都合の良いことを言う医師を「誠実」と評価しているだけのようです。言葉が足りませんでした。
全ては主観の問題になってしまうことではありますが、理由を挙げてみます。
○非常に多くの患者の質問に答えていること。このまま行けば4桁の質問になるかもしれません。
これのデータを作成するのが勤務時間だったとしても、病院の宣伝のためだけにやる量ではありません。この医師の意思の強さを感じる量だと思います。
○他の医師の診断に対して、「具体的」なダメ出しをしていること。いくらでも濁せる他の医師の診断に対して、あくまで患者の治療のメリットから批判しています。これをやることによって、この医師は「大人の事情」として多大な損をしていると思われます。
○自分の診断に常に変更を加えようとしていること。自分が間違っていると思われる部分を認めて直すことは誠実だと言えます。
○標準治療を重んじ遵守していること。僕はブログ本文から分かるように現在の乳がんの標準治療に一定の疑問をもっています。また、患者の意思次第では標準治療をある程度外れることは許されると思っています。ですが、この医師はそういうこは基本的に肯定しません。どんなに効果が微妙であろうと、「標準治療内では適用される」と繰り返しています。僕の考え方とは真逆ですが、こういったことは誠実な人の特徴だと思います。
標準治療の範囲内でも、軽い乳がんには抗がん剤治療を適用しないです。
と、おっしゃってますがサブタイプで決まるのでは?
pT1aやpT1bなら考慮する範囲になる可能性もあります。
軽い乳がんというのはその事を指してるのでしょうか?
タモキシフェンをあえて転移を確認してから飲むことのメリットは、初めから転移再発しない場合(微細転移が存在していない場合)に、タモキシフェンの副作用の被り損をしないことです。
微細転移が存在しない場合とありますが、どう調べられるのでしょうか?
これは誰にも分からない事だとおもっていました。断面陰性=微細転移がない、ではないですよね?
ソースを提示して頂きたいです。
抗がん剤治療を適用しないです、タモキシフェンの副作用の被り損をしないことですとか言い切っておられるのが
問題なんだと思いますよ。
どこの誰が言ってるのか、どの書籍に書いてあったのか、大事な事だと思います。
乳癌ブログを書いている多くの方は、きちんと気を使っておられます。
そして、余計な一言ですが。
ネットQandAで有名な医師ですが、誠実です。そして、標準治療をご自身の経験値を含め
しっかり守っておられます。ですが、患者の意思は尊重してくれますよ。
医師の立場から、当然やるべき治療をお話されますがやりたくない事をごり押しなんてしません。
私の主治医なので、間違いありません。
普通ならば必ず適用になる抗がん剤治療が「考慮する」となるということは、それは「やらない場合もある」という意味と解釈できるはずです。
トリプルネガティブならば、抗がん剤を適用しない条件は非常に厳しくなるでしょうが、存在しないわけではないようです。逆にルミナールAならば、基本的には抗がん剤治療は適用されませんが、ステージⅢなどでは場合によって適用される。そういうことを押しなべて「軽い乳がんには抗がん剤治療を適用しないです」と書きました。
微細転移が存在しているかいないかは分かりません。この回の一つ前の回で書いています。
それを前提に書いています。
この書き方だと分かりにくいかもしれませんが、例えば実際に僕の彼女の転移再発率は無治療で25%とすると、無治療でも75%は再発しないのです。タモキシフェンを飲んだ場合、75%は飲んでも意味がない人たちだと言うことになります。ですが、僕の彼女が25%に入るのか75%に入るのかは、今の段階では確認できません。「再発する」ということ「微細転移がある」と言い換えています。これが言い換えらるのではないか?言い換えることが重要なのではないか?ということが、僕の論旨になります。
ソースは放置療法で有名な某医師です。ですが、これはソースの問題ではなく、原理の問題です。ソースが必要な場合は、現実にその原理がどの程度人間の体の中で起こっているかを測る場合です。原理的に正しいことでも、臨床的には起こらないことは多くあります。原理においてこのことを否定する医師は現在ほぼいないはずです。
なるほどです。
どうやら、読解力の無い私が問題なようです。
失礼致しました。
こんばんは。
お久しぶりです。
以前、たくさんコメントした
「通りすがり」です。
前出のコメントは
私ではありません。
「通りすがり=匿名希望」
ですので、どなたでも使える
名称なのです。
ですので、私は
「元・通りすがり」
と名乗ることにします(笑)
彼女さん、タモキシフェンの
服用を検討しはじめたのですね。
重大な決断だと思いますが
飲む前から考え込みすぎて
試してみないのは損だと思います。
副作用がないかも知れないのだから。
副作用を和らげる漢方もあるし。
つらければ、すぐにやめても
良いのです。
彼氏さんがついているのだから
きっと大丈夫です。
す、すみません・・・
大変な勘違いをしてしまいました・・・
本当にお恥ずかしいです。
よくよく考えれば通りすがりさんのはずはないですね・・・
こちらかは見えるメールアドレスが似ていたもので、それも勘違いの一因になりました。
ほんとすみません。
おかげ様で、彼女はタモキシフェンを取りあえず副作用を確認するまでは飲むことを決めました。
なので、これからこのブログはタモキシフェンの情報を中心に書いて行こうと思っています。
わざわざ勘違いを指摘していただいて、ありがとうございます。
彼女共々、通りすがりさんに怒られてしまったと勘違いして、ショックを受けていたところでした。
こ、これからは気を付けます。