局所再発と転移の裏事情
「局所再発しても余命には関係がない」と、あらゆる乳がんの解説に書いてあります。
主治医にも直接確認しました。これは乳がん治療において医学的にほぼ完全に合意に至っていることのようです。
何かおかしくないでしょうか?
乳房内でがん細胞がいくら大きくなろうと、直接命を脅かすことはないです。乳がんが命に係わる場合は、他の臓器に転移して、そこで増殖してその臓器の機能が低くなった場合です。
つまり「局所再発しても余命には関係がない」というのは、「局所再発しても、他の臓器に転移する可能性は変わらない」と言い換えられます。
そして、さらにもう少しよく考えてみて下さい。「局所再発しても余命には関係がない」と言い切れることは、「局所再発して、再発した乳がんが初発の乳がんより大きくなっても、他の臓器に転移する可能性は変わらない」と言い換えられるはずです。
なぜならば、もし局所再発の乳がんが初発の乳がんより大きくなった場合に、初発の乳がんより他の臓器に転移する率が高くなってしまうのであれば、「局所再発しても余命には関係がない」などとは、決して言い切れないからです。
局所再発の乳がんが、初発の乳がんより大きくなる前に必ず発見されるとは言い切れません。局所再発乳がんの発見が遅れる可能性がわずかにでもある限り、「局所再発しても余命には関係がない」などとは決して言い切れないはずです。
やはり何かおかしくないでしょうか。
僕の結論を書きます。おかしい理由は大人の事情です。
大人の事情なので、あまり強く突っ込んだり批判したりはできません。柔らかく、さらっと、書きたいです。
僕の性格上、さらっと書くのは非常につらいのですが・・・
それに、僕も大人の事情の全てを理解しているわけではないです。
医学関係者が分かっていても口にしないようなことを、本来僕のような人間が知り得ることはできないのです。ですが、そこに矛盾があることは僕にも分かります。
温存手術後に局所再発の可能性が残ります。そして、例え局所再発しても、余命には関係ない=他の臓器転移する可能性は高まりません。
局所再発の乳がんが、初発乳がんより大きくなったとしても、他の臓器に転移する可能性は高まりません。
つまり、局所再発の発見ための定期健診はする必要がないですね・・・
一般的に温存手術は放射線治療とセットでします。放射線治療を一度したら、二度することはできない。なので、温存手術+放射線治療を受けた後に局所再発したら全摘します。
もう一度温存手術を受けることができるのであれば、少しでも小さい内に局所再発乳がんを見つけたいところです。
ですが、二度目の手術で全摘しかできないのであれば、事情は逆になります。どんなに小さくても全摘手術するならば、むしろある程度大きくなってから手術するべきなのです。
乳房内には無数の良性腫瘍があります。小さい内から良性腫瘍と悪性腫瘍を判断しようと生検を何度も行うことは、乳房と患者の健康全体に悪い影響を与えます。悪性腫瘍の確定診断を出すためには、麻酔を使った生検が必要なのですから。確定診断がないのに、それががん細胞だと決めつけて乳房を全摘するなどありえないでしょう。
再発乳がんを小さい内に見つけるメリットは、どうやらリンパ節転移にあるようです。「あるようです」と言っているのは、僕にはそれくらいしか調べがつかなかったからです。
彼女の主治医も、局所再発したらリンパ節転移する可能性があることを強調していました。
その場合も、「だとて」です。
全ての局所再発の前提は、他の臓器の転移とは関係ない、ということなのです。
局所再発して、それがリンパ節に転移したとしても、それでも、そのことと他の臓器への転移とは関係ないのです。
やはり何かがおかしくないでしょうか。
僕の説明のどこかが間違っているのでしょうか?
僕の説明が間違っていたとしても、途中の説明が変わるだけで、結論は変わらないはずです。
要するに、局所再発と余命(他臓器への転移)が関係ないのであれば、局所再発を見つけるための検査はしてもあまり意味がない。
むしろ、腫瘍を発見した後もある程度大きくなってから生検をしなければならない。そうしないと、患者のメリットよりデメリットの方が大きくなってしまう。
(一応、リンパ節転移して、そこで腫瘍が大きくなってしまったら手術で摘出しなければならないはずです。ただ、しつこいですが、その場合でも他の臓器への転移はないのですから、本当に邪魔になるくらいに大きくなって初めて手術で取ればいい、ということになるはずです。ある程度放置して、大きくなるかどうかを見極めてから取るか放置するかを決めるレベルのはずです。)
このような局所再発と転移の説明は、それなりに重要なことのはずですが、取り立てて医療関係者から説明されない場合が多いようです。
わざわざ質問すれば「まあ、そうなりますね・・」のような回答が返ってくるはずです。
というか、僕と彼女は、そもそも局所再発しても余命には関係がないという事実すら主治医から取り立てては説明を受けませんでした。こちらから聞くまでは教えなかった。
そして、そういった事実を知らずに、局所再発=乳房内再発を必要以上に恐れて、希望しない全摘手術をしてしまう可能性もあります。
この大人の事情は、もっと大きい可能性があります。
今の説明は乳がんの局所再発に限った話ですが、どうも局所再発に限らずがん治療全体にこういった大人の事情があるようなのです・・・
どうやら、早期発見早期治療が絶対的なものではないようです。「局所再発は無理に早期に発見しようとしなくていい」という法則が、もしかすると、あらゆるがん治療に当てはまってしまうかもしれない。
なぜなら、がん細胞の腫瘍の大きさと転移との間には直接の関係はないようだからです。多分、関係ないことはないけれど、直結はしない。
そうすると、少しでも小さい段階でがん細胞の腫瘍をみつけようとする行為は、絶対的に重要なものではなくなる。少なくとも、(生検や被ばくの体への負担などの)リスクとの兼ね合いを慎重に検討しなければならない。
一つひとつの現象は医学的に正しいと認められていることです。それらをあわせて「じゃあこんなことしなくていいんじゃないか?」というと、そんなことはない、と言われ、なぜそんなことがないのかの説明もあまりされない。
こんなことを書いているといろいろな意味で恐くなってくるので、この辺りで終わりにしときます。
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ディスカッション
コメント一覧
突然失礼いたします。
生存率に変わりがないのは、「自覚症状や検診での異常が出てからすぐ再発治療した場合」であって、再発を放置すれば当然初発と同様ステージが進み、生存率は下がるのでは?
ですから手術後や治療中も検診は必須になっているのだと理解しています。
書き込みありがとうございます。
確かに普通に考えるとそうなります。僕も最初はそう考えました。
ですが、ここで少し矛盾が発生します。
最近は検査機器の発達もあって5mm程度の乳がんも見つかることがあります。
ただ、これは5mmで「見つかることもある」だけであって、必ず5mmで見つかるわけではないのです。
乳がんが一般的に見つけられる大きさは、おおむね1cmくらいからです。
エコーにしろMRIにしろ、いろいろなものが映ります。良性腫瘍も映りますし、腫瘍でないものもいろいろ白く映っていました。
現在、がん細胞だけを映す機器は存在しません。
なので、5mm程度の乳がんが発見される場合は、運の要素が必ず含まれています。
つまり、5mm程度で見つかって温存手術で取り出した場合に、局所再発をまた5mmの段階で見つけられるとは限りません。
むしろ5mmで見つかるのは稀でしょう。そうなると、小さい時に見つけた乳がん程、局所再発した場合は、初発の手術時より進行して見つかることになります。
つまり、小さい時に見つけた乳がん程、局所再発した時にリスクが高まってしまう、ということになります。
これでは温存手術は成り立ちません。
やはり、僕はどこかで大人の事情により、説明がねじ曲がっていると考えます。
miya様、とても重要なご指摘ありがとうございます。
次回のブログでこれに関してふれてみたいと思います。