前回のブログでは、大病院のデメリットとして、医療行為が過剰になりやすくなるのではないか、と僕の推測を書こうと思っていました。

ですが、文章が長くなりすぎて、取りあえず途中で区切って終わる形になってしまいました。

文章を書くことは、なかなか上手くはいかないものですね・・

なるべく話をまとめることを念頭に置きつつ、前回の続きを書いていきます。

 

前回僕が書いたことを簡単にまとめると「最近の医者や病院は、訴訟やネットの悪い噂から、自分達を守ろうとする傾向が強い」ということです。

これは特に変わった見方ではないはずです。一昔前に比べて、多くの人が簡単に医者や病院についての情報が手に入るようになったのですから、当然のことかもしれません。

そして、僕はこの医者や病院の自衛傾向は、大病院ほど強いのではないかと推測します。

 

嫌なことを書いてしまいますが、病院側からみると、病院の自衛はつまるところ苦情対策なのです。

僕の今までの経験上、苦情対策のような類のものは、大きい組織ほどしっかりしていると思います。

大きい組織ほど、単に苦情対策にお金や人員を割くことができる、ということもあります。

それもありますが、そもそも、大きい組織の方が苦情自体が多いのです。そして、一番強い苦情を比べた場合、小さい組織より大きい組織の方が強い可能性が高いのです。

 

苦情を対策する場合に、どのレベルの苦情を基準に対策をするのでしょうか。

強い苦情の方が、件数的には少ないはずです。簡単な苦情の方が件数的には多いはずです。

過去にあった一番強い苦情は、それ自体相当稀な苦情のはずです。稀だからこそ一番のはずです。

強い苦情が稀だからと言って「例外」として、無視や軽視をしてよいということにはならないのではないでしょうか。

むしろ逆に、苦情対策を考える場合、一番強い苦情を基準にどう対策を立てようかを考えてしまうのではないでしょうか。

企業や商店などは特にこの法則に当てはまると思います。

組織が大きければ大きいほど、訴訟や悪い噂によるイメージダウンの結果による被害が大きいのですから。

 

そういった訳で、組織が大きいほど自衛の傾向が強くなると思われます。そしてこれは病院組織にも当てはまると思います。病院もある意味客商売ですから。

 

そして、何と言うか、非常によろしくないことなのですが、病院の自衛傾向が強くなれば、治療が過剰になると思われます。

患者に悪い結末が訪れた場合、病院として治療を多くやっていた場合と、慎重に様子を見てあまり治療していなかった場合と、どちらが病院の責任が小さくなるのでしょうか。

当然、多く治療をしていた方が、病院の責任が軽くなります。いや、軽くなるように見えるだけなのですが。

「病院としては手を尽くした」と言えばいいだけなのです。

副作用の多い薬をたくさん使って、むしろそのせいで患者の容体が悪くなってしまったとしても、医師や病院は、それを製薬会社のせいにしたり、それを認可したお役所のせいにできるのです。

手術にしても同じことです。手術をせずに様子をみていたら容体が悪くなった場合に「手術をしなかったから、病気が進行してしまったではないか!」と言われると、医師や病院はなかなか返しづらいです。

逆にあまり必要のない手術をして患者の容体が悪くなっても、やはり「病院としては手を尽くした」と言えばいいだけです。

 

たくさん薬を投与して、たくさん手術などの外科処置をすれば、それで病院としては、患者の容体悪化について言い訳できるのです。

病院の自衛傾向が強くなればなるほど、医療行為が過剰気味になっていく可能性が高いのです。

そして大病院はその傾向に強く当てはまると思います。

 

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どうやら、間違いなく彼女の乳がんは抗がん剤の必要のない状態のようです。

前々回のブログで仮に計算した再発率3.5%減という数字よりも、実際ははるかに低くなるようです。ネットや本で調べれば調べるほど、そうなります。

そして彼女がかかっていたがん専門の大病院では、あやふやに抗がん剤をすすめてきたことは事実です。

医師から言葉で「勧める」とも「やった方がいい」とも言われませんでした。

ですが、診察が終わってみれば、彼女は抗がん剤をやらなければならないような気持ちにされていましたし、医師からもらった治療方針を書いた用紙には抗がん剤治療に〇がついていました。

この状態ならば、医者を疑わない多くの患者が、必要のない抗がん剤治療を受けてしまうと思われます。

このようなことになってしまったことは、とても残念です。ですが、悲しんだり怒ったりしていても何も始まりません。

どうしてこうなってしまったのかを僕なりに分析して、彼女と僕がこれから乳がん治療をしていく上での注意点として行きたいです。

また、これを読んで下さっている人の中で、彼女と同じような立場に置かれた人がいたら、参考にしてもらえればうれしいです。

 

僕は彼女がこの病院に転院する時から、検査、入院、手術、病理検査が出るまで、ほぼ付き合っていて、病院側の対応を見ています。

そして、今回の病理検査結果の説明で納得のいかない事態になったのです。ですが、実は病理検査結果以外にも、2つの病院側の対応として微妙だと思われることがありました。

それらを考え合わせて、僕は一つの結論を出しました。

がん専門(もしくはがんに力を入れている)大病院ほど、治療が過剰になりやすい、ということです。

 

そう思うにはいくつも理由があります。

まず、一番大きな理由として、大病院ほど、自分達の病院や医師を防衛しなければならない、ということです。

僕は病理検査結果の説明以外にも病院側の対応として微妙だと思うことがあったのですが、その一つは手術前の同意書の量です。

とても患者が多い大病院の忙しい先生が、数十分もかけてひたすら同意書の内容を説明して、彼女にサインを書かせました。

昔と違い最近は医療ミスなどがあった場合は、もみ消されずに裁判も起こすことができますし、報道もされるかもしれないです。

また、医療ミスとまでいかなくても、患者が納得のいかない治療を病院側がしてしまった場合、インターネットやSNSでその事実が拡散されるかもしれません。

そういう事情があるのでしょうか、彼女のかかったがん専門の大病院は、ちょっと考えられないくらいの量の同意書を彼女に書かせました。

もしかしたら、今はそれがどこの病院でも当たり前なのかもしれません。しかし、ちょっと気持ちの悪くなるくらいの量の同意書請求だったことは事実です。

このことから、病院や医師が患者から起こされる訴訟などから身を守ろうとしていることがうかがえます。

 

もう一つ病理検査の結果以外で病院の対応として微妙だと思ったことがあったのですが、それは手術の方法を温存にするか全摘にするかを決める時の医師の説明です。

手術方法を決めた時の診察では、主治医は自分から「どちらの方がいい」とか「どちらをお勧めする」「一般的にはどちらをやる」などのアドバイスは全くなかったです。

ただひたすら、「そう決めてもらった場合はこういうことをします」というような説明を受けました。

当時僕と彼女は、温存か全摘かは乳がんの状態などを見て医師が決めるものだと思っていたので、かなり困惑しました。

決めてもらえないどころか、お勧めすらしてもらえなかったわけです。(この時のことは温存か全摘か2に少しだけ書いています)

今になってよく考えると、抗がん剤治療の説明と同じですね・・・

当時僕は「お勧めしないのは患者の希望を尊重するからだ」と良い取り方をしていましたが、今考えるとこれは責任を逃れることによる自衛の手段です。

温存か全摘か、どちらの手術の方法にも良いところと悪いところがあり、どちらの方法であっても、手術後に患者が不満を持つ可能性があります。

患者を上手く誘導して、とにかく手術方法を決めたのは患者自身だと、ということにしたいのでしょう。そう強く印象付けようとしています。

 

手術方法を患者自身が決めるのは当たり前です。ですが、その手術方法を選択する時に説明するのは医師です。

その手術方法の説明で「良い手術です」と説明すれば、患者はその手術を選択する可能性が高くなりますし、「危険な手術です」とか「効果が低い手術です」などと説明すれば、患者はその手術を選択したくなくなるはずです。

どんなことでも専門的な知識を持った人の方が、正しい判断ができる可能性が高いので、多くの人は自分より詳しい人の言うことは無条件に信じてしまいます。

 

医者が「良い手術です」と説明して、その手術が統計上安全で効果の高い良い手術だったとしても、実際の手術では失敗したり、効果が出なかったりする場合もあります。

それは仕方のないことです。

その時に医者は患者に「先生がお勧めした手術をしたのに、結果が悪かったじゃないですか!」と責められるかもしれません。

理性的な患者ならば、そういう言い方はしないかもしれません。そういう言い方をする患者がいたとしても、自分の健康や命がかかっていることで患者が取り乱しているのですから、医者はそれに対して寛容になるべきです。

医者は口で文句を言われるくらいは我慢するべきです。患者の心中を察するべきです。

 

ただ、今のご時世だと医者は「口で文句を言われる」だけでは済まない場合があるわけです。

訴えられたりネットで拡散されたりする可能性があるわけです。なので、現在の医者は自分を守る必要があるのです。

そして、僕にはこの医者が自分を守る現象が行き過ぎているように見えました。

そのままの意味で過剰防衛です。

防衛の名のもとに患者を攻撃しています。

 

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昨日は僕にとって重大な日でした。そして、忙しさもあって、昨日と今日はブログを書き殴ってしまっている感があります。

紅茶でも飲みながら、補足する文章を書いて行こうと思います。今日はコーヒーはもういいです・・・

 

前回のブログで、僕が「納得がいかない」を連呼していた理由は、病院の治療方針の説明の方法がおかしかったからです。

あくまでも、説明の方法に納得いかなかっただけで、病院の勧める治療方針自体には怒りを覚えるようなことはないです。

彼女の乳がんは初期のルミナール型で、果たして抗がん剤をやる必要があるのか?と病院の治療方針には疑問を持ちましたが、それは疑問という程度です。

病院の方針に対して、彼女(と僕)の考え方が違っただけです。

違うだけならば、主治医と話し合ってもいいですし、セカンドオピニオンを受けてもいいです。それだけです。

 

僕が納得できなかったことは、医師が病院の方針に彼女と僕が同意するように、上手く丸め込もうとしてきたことです。非常に巧妙でした。

また「丸め込む」という言い方を、別の角度から表現すると、「責任をのがれながら、病院の方針に従わせよう」としてきたとも言えます。

この「責任のがれ」感を強く感じて、納得できなかったのです。

はっきりと「どちらの治療法を取るのかは微妙なところなので判断不能です」と言って、「最終的な治療の選択はあなたがして下さい」と言って欲しかったです。

医師が治療方法の選択の主体を曖昧にし、曖昧にしたまま、病院が意図する治療方法に言葉巧みに誘導しようとしてきました。

 

具体的にこうなりました。

 

〇病院は抗がん剤治療をする方針だった。

〇でも、彼女の乳がんは初期で、抗がん剤を使うには微妙なレベルだった。(僕が集めた情報からすると、ほぼ必要のないレベルだった。)

〇微妙なレベル(もしくはほぼ必要のないレベル)で「病院としては抗がん剤治療をお勧めします」とは、はっきりと言いたくなかった。

〇さりとて、「抗がん剤は必要ない」とも病院としては言いたくなかった。

〇その結果、病院・医師としては抗がん剤治療を勧めるとは口が裂けても言わないのに、抗がん剤治療の有効性を示唆する説明が延々と続いた。

 

こんな感じです。

 

まあ、仕方ないことなんですよね・・・

病院側としては、「あの病院はなんでもかんでも抗がん剤を使わせる病院だ!」などと噂がたって欲しくないでしょう。

ですが、抗がん剤を使わずに再発したら「あの病院が抗がん剤は使わなくていいと言ったから使わなかった。そうしたら乳がんが再発した!」などとも噂をたてたくないはずです。

どちらに転んでも、抗がん剤に関しては難しい選択になりますから、医師が言葉を選ばざるを得ないところなのは、僕も承知していたつもりでした。

ですが、「言葉を選ぶ」こともやり過ぎると、それは詐欺的になりますよ・・・

 

抗がん剤の説明には時間がたっぷりかけられました。

彼女と僕は終始「だから、やった方がいいのか?やらない方がいいのか?どっちなの?」と思いながら聞いていました。

「抗がん剤には副作用があります。なので病院としては無理には勧めません。あなたの乳がんは軽いので、抗がん剤を使わなくても治るかもしれません。あくまで確率の問題です。ただ、抗がん剤を使うと治りが良くなると言われています。これも確率の問題です。あなたのような場合、使うか使わないか微妙なところなので、他の先生たちと話し合ってみました。他の先生たちも、使うか使わないかは微妙なところだと言っていましたが、使ったら治りが良くなる可能性があるかもしれないと言っていました。病院として無理にお勧めするわけではありませんが、そういった話し合いでは、使った方が治りがよくなる可能性があるという意見がいくつか出ました。こういった訳で、私から言えることは、抗がん剤を使ったら治りが良くなる可能性があるということです。あくまでも可能性の問題です。」

 

誇張ではなく、このような説明が延々続きました。そして、その最中にチョロっと

「抗がん剤で20%~30%くらい、再発を減らすことができると言われています」

と言いました。

意味が分かりません。

20%~30%も再発を減らすことができる素晴らしい薬を、はっきりとお勧めすらしてもらえないんですか?

そこまで効果が高い薬ならば、どれだけ過酷な副作用があろうとも、やる価値があるはずです。

この数字は完全に嘘です。

だから、最後に「と、言われています」と付けたわけです。いや、完全には嘘だとは言えないかもしれません。嘘ではなくトリックです。

 

何をどれだけ説明されたか、細かい内容は覚えていなくても、彼女は、抗がん剤についてのこの20%~30%という数字をはっきりと覚えていました。

そして、やりたくない抗がん剤を、彼女はやらなければいけないような気持ちになってしまっていました。

 

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