僕の彼女が乳がんの温存手術を受けたのは今年の2月下旬です。

それからもう3ヶ月も経ってしまいました。ですが、まだ術後の再発予防の治療を始めていません。

随分と遅くなってしまいました。まあ、3ヶ月の内の5週間は病理検査結果待ちだったので、その間は治療法を悩んでいた期間ではなかったです。

6月の上旬にかかっている病院の診察の予約をしています。ここで彼女と僕で話し合った結果を主治医に伝えて、術後の治療内容を確定させます。

 

彼女と僕は乳がんに対する考え方がかなり違っていて、それぞれが考える乳がんに対する接し方も違いました。

なので、術後の治療方針について、なかなか話し合いがまとまりませんでした。

その上さらに主治医との話し合いも難航しました。(というか、主治医とはいまいち話し合いになりませんでした。)

彼女は大まかには無治療が希望でしたし、主治医は考え得る治療法をフルコースで勧めてきました。

 

僕としては、効果と副作用のバランスがいい、効率のいい治療法をして欲しかった。偉そうに言わせてもらうと、その治療法の作用機序やエビデンスでやるかどうかを決めたかったです。

ですが、そんなことを言っていられる状況にはなりませんでした。効率がどうなどと悠長なことを言っている場合ではなかったです。

彼女はルミナールAの乳がんだと分かった以降もホルモン療法をしないことを希望しましたし、主治医はルミナールAの乳がんなのに抗がん剤を勧めてくるし・・・

彼女には最低限の治療を勧めました。そして、主治医の勧める治療は過剰気味であると裏を取ることに奔走しました。

今は彼女との話し合いもほぼ終わっています。おそらくタモキシフェンのみをやることになると思います。

なんというか、最後には非常に普通のところに落ち着きました・・・良かったです・・・

局所再発予防の放射線については、僕はどちらでもいいと思っています。彼女はやらない方に少し傾いているようです。

放射線治療の副作用は小さいとは言ったものの、彼女の予想される局所再発率もかなり低いので、相対的な効果は小さくなります。なので、僕の希望の「効率」を考えると、きっちり受けても省略しても、大きくは変わらないところです。

 

今思い返すと、病理検査の結果が出てからいろいろありました。

彼女と何回も喧嘩をしました。喧嘩になった内容に関しては問題なかったと思いますが、喧嘩をしたこと自体は反省しています。

なんというか、彼女があまりに突飛なことを言うので、それがすごく適当に感じてしまって不真面目に感じてしまうのです。

ですが、よく聞いてみると、彼女自身はそれをまったく突飛だと思っていないようなのです・・・なので、粘り強く彼女の話を聞けば、彼女が真面目に考えているを理解できるのです。

それができなかったことを反省し、彼女の話を聞く時だけにとどまらずに、あらゆる粘り強さをもっていけたらいいと、今は思っています。

 

病理検査の結果が出てからはバタバタして大変でしたが、今思い返してみると、彼女の乳がんが発覚してから手術するまでの期間の方が大変でした。精神的にとても苦しい時期でした。

針生検の結果で乳がんだと確定したのですが、その生検によって「ki67が高い」と言われていました。ki67は増殖能であると聞き、それが高いとはつまりどんどん増殖していく乳がんなのか?と、とても不安になりました。

今はki67が高い乳がんであっても、特別に予後が悪いことなどないということを知っています。特別に進行が早いということもない。

ですが、このころは非常に不安でした。しかし、いろいろあって転院までして手術を受けました。転院したことを当時は賭けだと思っていましたし、その賭けは病理検査の結果が出るまでは成功なのか失敗なのか分からないと思っていました。

いろいろ、余計な心配をしていたことになります。

今は乳がんはがんの中でとても進行が遅いがんだと確信をもって言えます。例え腫瘍の大きさが術前の検査の数字より手術後の結果の方が大きくなっていたとしても、それは測り方の違いからくる差です。

乳がんについて正しい知識を持っていたとしたら、このころに不必要な不安を感じずに済んでいたと思います。そして正しい知識がついてきたからこそ、彼女と治療法について少しずつ意見がまとまっていったのだと思います。

 

 

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前回のブログを書いている最中に、テーマに関連して大病院の特徴について考えていました。

前回のブログで僕が言いたかったことは、積極的に治療することも、積極的に治療を最低限度におさえようとすることも、どちらも乳がん治療の選択肢として間違っていない、ということです。

僕と彼女は、治療を最低限度にする選択を取ろうとしています。だからと言って、積極的に効果の出る可能性のある治療を多くやっていくことを批判するつもりはありません。

(「過剰治療」などという言葉を使ってしまうと、すでに批判しているようなものなのですが・・・。しかし、患者がしっかりと理解した上で自ら望んで多く治療を受ける意味と、医者の勧めるがままに多くの治療を受けさせられてしまうのとでは、まったく違うと思います。僕は後者の危険性について「過剰治療」と言っているつもりです。)

やはり、どうしても大病院やがん専門病院では過剰治療に陥ってしまう可能性があるような気がしてなりません。

 

以前のこのブログで大病院のデメリットとして、大病院やがん専門病院では、治療が過剰気味になる可能性があるということを書きました。

そして、大病院では規模の小さい病院より治療が過剰になり、それはデメリットである!と主張してみたものの、よくよく考えると、それはそのまま大病院のメリットでもあるような気もしてきました。

そもそも僕は、患者の意思によって治療が平均的なものに比べて多くなることも少なくなることも、どちらも間違ってはいないと思っています。

ならば、積極的に治療を多目にしようと思っている患者にとっては、(仮に僕が言っていることが正しかったとして)大病院では積極的に治療を多くしてくれる傾向があるのであれば、それは願ったりかなったりです。

僕がこのブログで「大病院では過剰治療を押し付けてくる!」というように批判的になってしまったのは、そのままの意味で「押し付けてきた」からであって、勧められる治療事自体が多めか少な目かは問題ではなかったのです。

どうも見誤っていたようです。押し付けてきたのは、その医師個人の問題であって、大病院であることは関係ないと思った方がよいですね。そう思いたいです。

 

ただ、大病院では、一人の医師の失敗が病院全体の失敗に取られてしまう可能性があるので、医師各々が防衛的になってしまう可能性は高いかもしれません。

この場合は、失敗が少ない無難な治療法を押し付け気味になってしまいます。治療せずに、そのせいで「乳がんが進行してしまった」と患者に言われるよりは、多少多めの治療をして、治ればよし、治らなければ「最善はつくしました」と言う方が医師にも病院にも責任は発生しません。

 

そして、彼女は主治医に抗がん剤を結果として勧められたのに、その主治医は途中で一言も「抗がん剤を勧めます」とか「やった方がいい」などということは言わなかったです。

この不自然な現象は、「ルミナールAの乳がん患者に対してあの病院は抗がん剤治療を勧めたぞ!」などという過剰治療の噂を立てて欲しくないという事情と、なるべく多めに治療をしておいて、もし転移再発した時に「ここまでやってもらったのだから、再発はしたがあの医師と病院は悪くない」としてもらいたい事情がせめぎ合った結果だと思われます。そのくらい不自然な抗がん剤の勧め方でした。

 

この傾向を分かりやすく言うと、大病院ほど大人の事情が発生してしまう可能性が高い、ということです。

医師同士の関係性は、患者の健康には関係のないところで治療方針に影響を与えているはずです。その影響量は大病院の方が確実に多い。悪い意味で、医者同士が気の使い合いをしてしまう・・・

そして、大病院の方が、患者数が多くいろいろな症例があり、患者に訴えられる可能性は高い。それもあってどんどん防衛的になる。これも患者の健康とは関係のないことです。

 

こ、この当たりで止めときましょう・・・

気付けばまた大病院の悪いところばかりを書いていました・・・

 

訂正して、まとめます。

大病院のデメリットは治療が過剰になること、というのを訂正します。

なぜならば、治療が過剰かどうかは患者が判断すればいいことでした。当たり前ですが、患者は自分の治療が多すぎると思ったのならば断ればいいだけです。

多めの治療を望んでいる患者にとっては、それはむしろメリットです。

僕が大病院のデメリットだと思ったのは、治療が過剰になること自体ではなく、過剰気味の治療を無理矢理患者に押し付けてくる可能性があること、でした。

よくよく考えると当たり前ですよね。

大病院やがん専門病院、大学病院などは権威的です。そして、先進的でもあるはずです。その上、治療意欲の高い患者が集まってくる。

そのような環境なら、相対的に治療方針について患者の希望が通りにくくなる可能性も高まるはずなのですから。

 

 

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僕の彼女の乳がんはステージⅠで、病理検査の結果からルミナールAでしたが、主治医に抗がん剤治療を勧められました。

これは標準治療の範囲の中で考えても、過剰治療気味だと言えるはずです。

そして、僕と彼女はセカンドオピニオンとして、放置療法の著書で有名な某医師の話を聞いてきました。

短い時間のセカンドオピニオンなので深くは言及してもらえませんでしたが、この医師の勧めるがんの治療方針は、基本的に放置することです。

それが例えステージⅠであったとしてもです。

この流れだけ聞けば、僕と彼女はかかっている病院の治療方針に納得できずに、無治療を勧める医師のセカンドオピニオンに行ったように見えます。

ですが、信じてもらえないかもしれませんが、そういう意図ではないです。

放置療法の某医師のセカンドオピニオンは、手術をした病院の病理検査の結果が出る以前から行くことを決めていました。

僕は、積極的に治療をする側の見方と、治療を最低限にとどめようとする側の見方の、両方を聞きたかったのです。

 

どんな治療法にも、効果と副作用があります。効果と副作用の両方を考えて、治療の戦略を立てます。

副作用が強く出てしまう可能性は恐れず、考え得る効果のある治療法をすべて行うことは、戦略として正解の一つです。

副作用が生涯残ってしまう可能性がないかを正確に見極める必要がありますが、それさえ気を付ければ、非常に有効な戦略のはずです。

人間の寿命は長いです。治療に数年間かかったとしても、命の危険をその数年間で回避できるのならば、以降の人生で取り戻せます。

 

乳がんをまったく治療せずに、完全に放置するということもできます。多くの人は、これをただの命知らずの危険な行為だと思っているのではないでしょうか。

ですが、そうではないです。むしろ治療の戦略として無治療を選ぶ人が少なからず存在します。

無治療ならば治療の副作用はゼロです。

そして、がんは放置しても、全てのがんがその人の命を奪うわけではないです。

乳がんを治療する前提として、治療しないと死亡してしまう可能性があるから治療しているのであって、治療しないと確実に死亡するという訳ではないのです。

治療しなくても死亡しない時に治療した場合は、下手をすると副作用だけの丸損になってしまう可能性があります。

 

乳がんは命の危険があるのだから、しっかり治療をしなくてはならない。しかし、その治療法で確実に効果があるとは限らないので、副作用とのバランスを取らなければならない。

そのさじ加減はとてつもなく難しいはずです。現在のところ、専門家の間でも意見は割れています。

転移するより前の乳がんに対しては、転移再発の予防に対するガイドラインが作られていて、それらに従う治療が「標準治療」とされています。

しかし、僕の彼女のような一般的な乳がんの状態ですら、その標準治療内で医師間の意見が違いました。

 

なので、乳がんの治療(がん治療全般)は、患者の意思で治療法を決める割合が多くなってくるのではないでしょうか。

がん以外の普通の病気であれば、医師は患者に対して「こうすれば治る」「そんなことをすれば悪化する」と言い切るだけです。

乳がん(がん全般)に対しては、そういう説明はできない。全ては可能性が大きいか小さいか、可能性があるかないかの説明です。

「可能性が大きいから勧める」「可能性が小さいから勧めない」とはっきり言ってくれる医師は良心的です。

可能性の大小すらあいまいにして、誘導的に医師主導で治療法を決めようとしてくる場合もあるのですから・・・

「患者の意思」とは言っても、それは医師の説明方法に大きく依存してしまうことは明白なのですから・・・

 

今はネットで乳がんの情報を多く集められます。セカンドオピニオンも以前に比べれば気軽にできる時代になったと言われています。乳がん関連の書籍も多く、ネットで検索してすぐに購入できます。

客観的に多くの乳がんの情報を集められる良い時代です。

 

 

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