実は「主治医に脅されました」の診察で、LH-RHアゴニスト製剤を勧められました。

リュープリンやゾラデックスの商品名で有名なやつです。あの診察の時点では、LH-RHアゴニストを勧められるとは思いもしなかったので、詳しくはLH-RHアゴニストのことを知りませんでした。

卵巣機能を一時的に止める薬だということは知っていましたが、どういう時に使う薬なのかは知りませんでした。単純にタモキシフェンのような抗エストロゲン薬(女性ホルモンとレセプターが結合することを止める薬)の効果を高めるように使うのではないか、と思っていました。

調べてみると、どうやら使えばホルモン療法の効果が高まる、と単純に言えるものではないようです。

 

LH-RHアゴニスト製剤の作用機序から考えると、抗エストロゲン薬と併用すればホルモン療法の効果を高めることは確実なのですが、特殊な状況を除いてはエビデンスがないようなのです。臨床的にはあまり効果が出ない。

AもBも効果があるのに、A+Bの効果がA単体やB単体とあまり変わらない、というようなことは、人間の体ではいくらでも起こり得ることです。

好きな食べ物が2種類1食分ずつあるとして、同時に両方食べても2倍は満足しないです。途中でお腹いっぱいになります。

薬でも同じです。薬も一定以上はお腹いっぱい状態になる可能性があります。

そもそも、抗エストロゲン薬もLH-RHアゴニスト製剤も、2倍の量を服用すれば2倍効果が出るわけではないです。ある程度の量のエストロゲンとセレプターの反応を止めれば、それ以上の薬はルミナール型の乳がんの予防や進行防止にはあまり関係なくなってしまうはずです。

ただ、抗エストロゲン薬とLH-RHアゴニストは作用機序が被らないので、特殊な場合は抗エストロゲン薬単体よりも効果が確実に出るようです。

35歳以下のルミナール型乳がんの場合と、化学療法後に一時閉経状態になった卵巣機能が回復した場合らしいです。

これらの場合は、抗エストロゲン薬とLH-RHアゴニストを併用することで、それぞれの単体よりも効果が上がるエビデンスがあるようです。

どんなに好物であってもお腹がいっぱいになったらそれ以上食べられません。ですがそこにデザートが出てきたならば、お腹いっぱいでもさらに食べられます。主食とデザートの成分が違うからです。満足に対する作用機序が多少違うからです。そしてもちろん、食べたいと思うデザート以外は絶対にいらない。欲しいデザートは限られる。

す、少し強引な例えになってしまいましたが・・・

 

ただ、強いエビデンスがないのですが、LH-RHアゴニストは臨床的にかなり使われているようです。

まずは、遠隔転移した場合です。転移後の治療は転移前の治療と意味合いが違います。転移したとしても、ルミナール型の乳がんならば、理論的にエストロゲンをカットすればがん細胞の増殖を止められる可能性があります。

次に、LH-RHアゴニストは35歳以下のルミナール型乳がんで抗エストロゲン薬と併用されるので、その幅を少し拡大して40歳以下のルミナール型の乳がんで使われることが多いようです。

そして、彼女が勧められて理由がこれに当たるらしいのですが、単に「抗エストロゲン薬だけだと治療的に弱い」と思われる患者に対して処方されるようです。

 

LH-RHアゴニストについて、某精力的にネット上で乳がん患者の質問に答えている先生に質問してみました。

僕の彼女のような乳がんの場合は、まず必要ないと回答をいただきました。

この先生の過去に書いたログをたどっていくと、特殊な状況(35歳以下、化学療法閉経後月経再開、転移後)以外でも処方されることはあるようです(この先生はほぼ処方しないようですが)。それは高リスクのルミナール型乳がんのようです。そして、この「高リスク」に議論があるようで・・・そしてそのエビデンスは確かなものがないわけで・・・

 

話が非常に込み入っているので、無理矢理ですが、簡単にまとめます。

LH-RHアゴニストはルミナール型の乳がんで抗エストロゲン薬と併用すると効果が上乗せされる可能性があります。

LH-RHアゴニストは特別な状況(35歳以下、又は化学療法閉経後月経再開、又は転移後)ならば、使うべきです。それ以外では、ステージⅡ以上で(米国臨床腫瘍学会基準)高リスクの場合に使う可能性があります。

 

「使う可能性がある」と非常にまどろっこしい書き方をしましたが、こうならざるを得ません。確実に効果があるとは言い切れないエビデンスの状況です。

こういう時は、(こういう時こそ)患者の意思が尊重されるべきだと思います。

治療意欲が高く、少しでも効果が出る可能性があることはしたいと思う患者は抗エストロゲン薬と併用して使えばいいはずです。

ルミナールAでもリンパ節転移が多い場合などは、抗がん剤治療が検討されます。抗がん剤治療に抵抗があるけれど、タモキシフェン単剤では不安な人はLH-RHアゴニストを使う価値があると思います。

 

僕の彼女は、LH-RHアゴニストは間違いなくやらないでしょう。タモキシフェンですら、女性ホルモンをカットすることに抵抗を感じると言っているのですから。乳がんの条件的にもほぼ適用されない条件です。

彼女の乳がんの状態にLH-RHアゴニストを勧めてきた主治医に対して、少し疑問を持ちました。乳がんの状態的にも彼女の意思としても、間違いなく必要のない薬だと思ったからです。

以前に彼女は主治医から抗がん剤を勧められました。調べてみると、彼女の乳がんの状態ならば、ほぼ抗がん剤は必要ないものでした。

その抗がん剤の代わりに、今回LH-RHアゴニストを勧められました。

相変わらず過剰治療気味だな・・とは思いましたが、淡々と勧めてくれただけだったので、こちらも淡々と受け答えするだけでした。

この直後に放射線治療を勧めてきた時のような脅しはなかったですので・・・

 

 

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現在、僕は彼女の乳がんの手術後の再発予防に関して、彼女が受ける可能性のある治療法について調べています。

その中でもホルモン療法については調べることを後回しにしていました。

なぜかというと、僕は彼女にはホルモン療法が絶対に必要であり、医師もそう言うだろうと確信していたからです。

実際に行う治療法も当然重要なのですが、今は彼女に必要かどうか微妙なラインの治療法について調べて、その治療法をやるかやらないかを決める時の参考にしようと思っています。

ただ、もしかしたら、ホルモン療法も絶対にやる、という決めつけはよくないのかもしれないですね。

やるかやらないかは、最終的には彼女の判断です。どんなに効果が期待できる乳がんの再発予防の方法であったとしても、その治療法の副作用などに納得できないのなら、やらない選択肢もあります。

ですが、あまりわがままも言ってられない・・・

彼女がどんな選択肢をとろうとも、できればそれに僕も納得したいです。

彼女がよく、「乳がんにおびえて、やりたいことを制限してしまいたくない」と言っています。

僕もその通りだと思います。でも多くの人は、彼女のように思ったとしても、実際には乳がんにおびえてしまうのだと思います。僕もおびえた一人です。

おそらく彼女は本当におびえていません。ただの鈍感とは違う、本質的な強さを彼女はもっています。

もし、彼女が乳がんの術後の再発予防の治療を一切せずに、数年後に転移再発したとしても、彼女はそれを深く悔やむことはないと思います。それで仕方なし、とできる人です。

それを僕は認めたいと思います。それは彼女の美点です。

まあ、僕は彼女が無治療で転移再発したら、悔やみ続けて発狂するかもしれませんが・・・

 

彼女のそういう男以上に男前のところは良いのです。否定するつもりはありませんし、むしろ好きなところです。

ただ、できればもう少しだけ健康意識をもってほしい。

彼女が「乳がんにおびえて、やりたいことを制限してしまいたくない」と言っている「やりたこと」の中に「健康になりたい」を入れてやってほしいのです。

治療をやりたくない、という気持ちは分かるのです。ですが、治療しなくてもいいが治療した方が再発の可能性を下げられて嬉しい、と前向きのとらえ方をしてほしいのです。

僕は男ですから乳がんにはほぼなりませんが、もし似たような状態の別のがんになったとしたら、僕はそのように考えると確信しています。

ある意味で、がんになった自分がスタートの状態で、「これからどうがんを治してやろうか!」とプラスアルファで考えると思うのです。

 

僕は今まで大病は患ったことはありませんが、日ごろから不健康な人生を歩んできました。それと対照的に、彼女は40代になるまでは、本当に健康だったらしいです。それは彼女の家族や友人からよく聞いていることなので間違いないようです。

僕にとっては、健康とは手に入れたら嬉しいもので、彼女にとって健康とはあって当たり前のことなのです。

この辺りの健康に対するとらえ方の違いから、彼女の乳がんに対する向き合い方に僕が納得できないところがあるのだと思います。

彼女が今まで健康であれたのは、間違いなく持って生まれた(親にもらった)天性のものです。

ですが、歳をとってから健康でいられるかどうかは、生まれながらにどれだけ健康な体かよりも、いかに自分の体をケアできるかどうかだと思います。

歳をとればとるほど、健康意識=実際の健康、となっていくのではないでしょうか。

 

彼女の今まで持っていた生まれながらの健康に対するプライドを崩さずに、僕の健康に対するプラスアルファ的な見方も理解してもらえるように、少しずつ話し合って行きたいと思います。

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前回のブログ前々回のブログの補足、というか、お詫びをしたのですが、今回のブログでも、前々回の書きなぐった回の補足をしたいと思います。

今回は本当に前々回の補足です。

まず、始まりで「発破をかけよう」と書きましたが、普通に読んでもこれは何かわかりませんね・・・

これは、僕が彼女に「最小限の治療を望むのならば、その分、生活習慣や食生活を良くする努力の覚悟が必要だ。その覚悟があなたにはあるのか?」という意味合いのことでした。

彼女は乳がんが発覚してから、生活習慣や食生活を改善しようと思う意思はありました。

意思はあったのですが、客観的に見て、あんまり変わってはいませんでした。

いや、変わってはいるのですが・・・

僕から見ると、ちょっと足りないような気がしてました。そして、今月の終わりには、治療方針決定の時が来るのです。そこで決めた治療方針は後からは変えられません。

治療方針と彼女の心がまえは、ある程度合致していなければだめです。

なので「発破をかける」つもりでした。

そうしたところ、彼女から衝撃の言葉、「ホルモン治療もやりたくない」が出てしまったのです・・・

その時の僕の心情はもう存分に書かせてもらいましたので、この話はここで終わりましょう・・・

 

他の補足をします

僕は「彼氏の心情 彼女の心情」というタイトルで2回ブログを書いています。これ以降も何回か続けていくつもりでした。

ですが、もはやそんな内容をすっ飛ばして前々回のブログを書きなぐってしまいました。

もはや、乳がんになった女性の彼氏の一般的な心情も何もあったものではない状態です。

本当に申し訳ありません。

 

もう一つ補足をします

前々回のブログの半ばで、乳がんを「放置」するということを書きました。

これは、このブログで今までは一切書かなかったのですが、僕の中では非常に大きな問題です。

いずれまとめて少しずつ書いて行こうと思っていますが、ここでは詳しい内容は書かないことにします。

非常に大きなテーマであって、簡単には書くことはできないのです。なので、取りあえずは後回しにします。

気になる人は「がん 放置」「標準治療 放置」「放置療法」などで検索してみて下さい。

 

最後にもう一つだけ。

「抗がん剤」についてです。

前々回のブログで「抗がん剤」という言葉を使いましたが、それは化学療法に使う薬のみを指して使いました。

タモキシフェンのようなホルモン治療に使う薬も、広義にはがんに抗する薬なので「抗がん剤」と呼ぶようなのです。

僕が今まで調べて得た知識では「抗がん剤」というと、上記のどちらの使い方もしている感じでした。

今のところどちらの使い方が妥当なのか僕には分からないので、このブログ内では「抗がん剤」を「化学療法を行う時に使う薬」としておきます。

ホルモン療法や分子標的治療などに使う薬は、このブログ内では抗がん剤とは言わないことにします。

多分ですが、皆さん、両方を曖昧に使っているんじゃないかと思います。

 

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