前回のブログ「乳がん治療はギャンブル」を自分で読み返してみて、正直、かなり苦しい説明だなと自ら思ってしまいました・・・

なので、今回は前回のブログの伝わりにくいであろう部分を補足したり、説明が足りない部分の付け足しをしたりしようと思ったのですが・・・

それらは止めておくことにしました。

分かりにくい説明にさらに付け足したら、もっと分かりにくいものになるんじゃないかと思い直しました。

むしろ逆に、大元の考え方など説明せずにどんどん結論だけを言った方が、僕の考えが読んで下さる人に伝わるかもしれませんし、その方が文章としても面白いような気がします。

もしかしたら、僕は彼女とのいろいろな話し合いにおいても、ごちゃごちゃ理屈をつけない方が二人の間の理解を深められたのかもしれませんね・・・

まあ、それは置いておいて・・・

 

結論から言います。

乳がん治療はほぼ予防です。なので、すべては確率の問題です。確率の問題とは実は患者の心の問題に直結しています。

僕は確率の問題をギャンブルにたとえました。なぜかといういうと、これが分かりやすいと思ったからです。

ギャンブルはやればやるほど負けます。お金を失います。何回負けても、なおせっせとパチンコ屋に行ったり、馬券を買ったりする人も多いのです。

負けると分かっていると言いながらギャンブルを続けているのです。なぜか?

心の問題だからです。

人には「確率」を正確に感じられる能力は備わっていません。人は基本的に確率というものを錯覚しているのです。

確率を錯覚しているから、確率現象であるギャンブルを負けると分かっているのに?止められないのです。まあ、それはつまり、負けると分かっていない、とも言えるのですが。

 

これ以上具体的に「確率」の説明をしようとすると前回のブログのようになってしまうのでここまでにします。

要するにギャンブルは確率的な錯覚を利用して、客からお金を取ってしまっているわけです。逆に客は確率的な錯覚を前にすると、負けると分かっているのに、お金を差し出してしまうのです。

確率的な錯覚は非常に怖い。

そして乳がん治療においても、乳がん治療がすべて確率の話である限り、確率的な錯覚に陥る可能性があるのです。

 

わずかにでも乳がんの再発をおさえる可能性のある治療法はすべてやる、という選択肢もありますし、何もしなくても乳がんが再発しない可能性があるから、副作用を被るような治療は一切しない、という選択肢もあります。

医者に聞いたり自分で調べたりして、効果と副作用のバランスの良い治療法を選択する方法もあります。

僕は本人が望むならばどの治療方針でもいいと思います。

ギャンブルだって、適度に楽しむ分にはいいと思います。

確率は心の問題です。自分の心のどうすべきか、つまり自分がどういう確率を選ぶかは自分で決めるべきことです。

ただ、ギャンブルは気を付けてないと依存症と呼ばれるレベルにまでハマってしまう可能性があります。

こうなるとギャンブルを「楽しむ」というレベルではなくなります。本人も止めたいと思っているのに、止められないというレベルになります。

錯覚が極端に振れた状態です。あまりにもバランスの悪い状態です。

この状態になったならば、周りの人が介入して助けてあげるべきです。

 

僕はこの状態は乳がんの治療方針を決める時にも起きる可能性があると思います。その場合は周りの人間が止めるべきです。

周りの人間は、患者本人でないからこそ、冷静に客観的に治療法の効果と副作用のバランスが見えるはずです。そして、患者に近しい人ならば、患者の心情や希望する治療方法も理解できるはずです。

患者の気持ちと確率的な治療効果のバランスを取るのが、患者をサポートすることだと思います。

 

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僕から見ると乳がん治療はギャンブルです。

なぜなら、がん治療のほとんどは予防だからです。予防なので、確率的にしか結果は分からないのです。

がん細胞はそれ自体では人間に悪い影響を与えません。がん細胞が増殖して、その結果として重要臓器の機能が落ちることで人間に影響を与えます。

なので、がん治療は将来がんが増殖して重要臓器に影響を与えることの予防として、がんの増殖を防ごうとしているものです。

今ある生活と健康をBET(ギャンブルでコインをかけること)して、将来の生活と健康の改善を確率的に得ようとしているのです。

今の生活と健康をBETして、BETした分以上の将来の生活と健康が戻ってくるかもしれませんし、残念ながら、何も戻ってこないかもしれないのです。

 

がんはどのステージにあっても、無治療で天寿をまっとうできる可能性があります。しかし、どのステージからでも、死の危険はあります。

甲状腺がんや前立腺がんなどは、そこにがんがあっても健康的に一生を送れる可能性が比較的高いらしいです。

実は乳がんも、人間のすべてのがんの中では、大人しい方のがんであり、死亡率の低いがんなのです。

なので、乳がんはどのステージであっても何も治療しないという選択肢はあってもよいのかもしれません。

 

もちろん乳がんが発覚して、何も治療しない人は、現実的にほぼいないと思いますし、僕も彼女にはお勧めしません。

ですが、無治療という選択を選択肢の中の一つとして常に頭に入れて置かないと、がん治療がギャンブル的(確率的)であるという重要な事実を忘れてしまう可能性があるのです。

がん治療の効果はあくまで確率でしか分からないことであるという事実を忘れてしまうのはまずいです。

自分の今の健康をBETする(今は何もがんによる健康被害はないのに、将来の健康被害を予防するために、今副作用の強い治療をやる)のですから、慎重になるべきです。

BETするコインの枚数(副作用の大きさ、何種類のがん治療を受けるか)をよく考え、当たる確率(無治療での再発率と、治療後の再発率)もよく考えるべきです。

 

少しでも再発の可能性を下げるためにやれる治療は全部やる、という考え方は間違っていませんが、それは選択肢の一つです。

他の選択肢の一つとしては、今何もやらなくても将来がんが再発したり、がんが原因で死ぬとは限らないから、今不健康になる治療は何もやらない、というのもあり得るのです。

 

僕はこれらのどちらを取った方がいいのかは分かりません。というか、どちらがいいかは、その人のがんの状態と、その人の人生の価値観で決まることだと思います。

 

ただ、がんの患者に対して(僕は彼女に対して)、すべての選択肢を出してあげることと、その期待値を示してあげることが重要だと思うのです。

期待値とは、成功した時の報酬に、成功する確率をかけ合わせたものです。

がん治療の場合、どんなに効果が高い治療法だったとしても、ごく初期のがんで無治療でも再発の可能性が低いならば、その治療の期待値は低くなります。

逆に、副作用が大きい治療法でやるのをためらうようなものでも、無治療での再発率が高いがんの状態ならば、その治療を試す期待値が高くなります。

 

こういう考え方は、そもそもすでに今の乳がんの標準治療に組み込まれています。例えば、ルミナール型の初期の乳がんには標準治療では抗がん剤を使いません。

どんなに初期だとしても、再発率は0%ではないので、その再発率を0%に近付けるために抗がん剤を使うべきなのでは?と思われる方もいるはずです。

ですが、抗がん剤の副作用大きさと、抗がん剤を使って下げられる再発率を掛け合わせると、期待値が悪くなってしまうので、標準治療では初期のルミナール型の乳がんには抗がん剤を使わないのです。

同様に、転移が起きたがんには手術を控える場合があります。これも手術で受ける患者の体の負担の大きさと、その部分のがんを取り出すことのメリットと考え合わせた期待値が悪いのです。

 

患者が治療の期待値(つまるところ治療のメリットとデメリットのバランス)を考えないと、医者がよく説明せずに勝手に患者の健康をBETしてしまうかもしれません。

僕の彼女の主治医はそうしようとしていました。

僕はその経験から、治療法の期待値は自分でしっかり考えなければならないと思いました。

そして、そのためには、常に無治療と治療した場合の比較が必要だと思っています。

 

多くの人はギャンブルに悪いイメージを持っていると思います。僕も好きではないです。ギャンブルは人間の美点である建設的な行動を壊してしまう可能性があるからです。

一生懸命頑張っても、それが運によってすべてなくなってしまう可能性もありますし、逆に、怠けていても、運さえ良ければ多くを手に入れてしまうのです。

ですが、ギャンブルが好きな人も多く、のめりこまずに適度に楽しんでいる人も居ます。ギャンブルに建設的な心を壊されない人です。

そういう人にとっては、もしかしたらギャンブルは趣味として有益なものなのかもしれません。

か、彼女はギャンブルが好きなのです。

 

まあ、彼女の趣味としてギャンブルを認めるかどうかは置いておいて、ギャンブル好きな彼女とギャンブル嫌いな僕が、がん治療というギャンブルについて意見が分かれるのは当然だと思った次第です。

 

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昨日は彼女と映画を見たあと、家に帰ってから乳がんの治療方針を彼女と話し合うことができました。

再発率などの数字は、数字のまま言われてもイメージすることが中々難しいです。なので紙に棒グラフとして書いてみました。

彼女は少し衝撃を受けるくらい、数字で書かれたイメージと違っていたようです。

僕も棒グラフを見ると、改めて彼女がかかっているがん専門の大病院の説明が不誠実だということを感じました。

その病院で説明された数字を、意図的に並べ替えたりせずに、そのままをグラフにして患者に説明したら、抗がん剤をやりたくなる人は激減するのでは?と思えるくらいの印象の違いでした。

この数値とグラフはいずれ整理してこのブログにのせようと思います。

 

彼女との話し合いの中で、僕としては意外なことを彼女が言っていました。

「あなたは私にホルモン療法や放射線治療をやって欲しいと思っていて、やりたくない私を説得しようと心の中では思っているのでしょう?」と。

僕としては、ちょっと驚きました。僕はそんなつもりは一切なかったですし、そんなつもりはないと、彼女に何度も言っていました。

ですが、彼女から見れば(もしかすると、このブログを読んで下さっている人から見ても)、僕は心の底ではそういう風に考えているように見えたのかもしれません。

僕は以前、彼女がタモキシフェンは飲みたくないと言った時に怒ってしまいました。

それは、彼女が自分の病気に対してあまりに無関心な態度だと感じたからです。(余談ですが、そこまで本人が無関心なものを、他人の僕が支えるのはもう無理だ、と感じました。)

僕としては、彼女が自分の病気に関心がなく、まったく知識を得ようとしていないところがいけないと思っただけで、しっかりと効果や副作用の知識を得た上で、それでもタモキシフェンは飲みたくないと言うのならば、それは尊重します。

 

どうやら、僕も彼女も、お互いが乳がんの治療法についてどう思っているのかを、まだまだ理解できていなかったようです。

彼女の方の誤解は、僕がなるべく治療をやって欲しいと思っている、というものです。これは丁寧に説明すれば誤解は解けるものだと思います。

少しやっかい話なのですが、仮に僕が女だったとして、乳がんになって彼女と同じくらいの状態ならば、タモキシフェンは飲むと思います。

ですが、それと僕が彼女にやって欲しいと思う治療法は必ずしも一致はしません。僕は彼女に後悔して欲しくないだけです。

彼女の性格は一般的な女性の性格よりはるかに豪気なものなので、彼女の基準での後悔を僕が測るのは難しいのです。

なので、とにかく彼女なりによく考えてもらうしかないのです。そうしてくれれば僕は満足です。

 

そして、僕の方が彼女のことを勘違いしていたことは、どうやら彼女がタモキシフェンを飲みたくないと言っているのは、無関心や知識の不足からきていることではないようだ、ということです。

もっと女性として本質的な心の問題のようなのです。

僕が調べた限りでは、タモキシフェンは副作用の個人差が大きいようです。

なので、もし僕が彼女の立場ならば、例え副作用が心配だったとしても、まずある程度の期間を試しに飲んでみます。それで副作用が小さければ続ける、副作用が大きければ止めるか検討する、という方法を取ると思います。

取りあえず飲んでみるという方法を、以前から彼女に提案はしていました。しかし、昨日の彼女との話し合いで、彼女にとってはそういうことではないと強く感じました。

 

がんに限らず病気全般について、僕はあらゆる治療は最小限にすべきだと考えています。そう考える理由はいろいろありますが、ここでは語らないことにします。僕の話は長いので・・・

病気の治療は最小限にする、とは言ったものの、がん治療に関しては話が別なのではないか?と彼女ががんの告知を受けてから考えていました。命に係わることなのですから。

突き詰めると、その答えを出すことが僕が彼女のがん治療のサポートとしてできることのすべてだと思います。

彼女が心理的なことから治療を拒否するかもしれないこととは全く違う視点から、僕は治療を受けないことの意味を探ろうとしています。

 

現時点では彼女がタモキシフェンを飲まないという選択肢を、僕は現実的にあってもよいものだと思っています。ホルモン療法を一切やらない選択肢です。

具体的な僕としての考えは、このブログで少しずつ書いて行こうと思います。

こういう話は、このブログを読んで下さる人が一人でもいる限り、慎重に誤解のないように書かなければならないことです。

「自己責任です。僕の言うことを信じるのは自己責任でお願いします」というのは簡単なことですが、そんな風に割り切ることは誠実ではないと思います。

と同時に、乳がんの標準治療において、ルミナール型の乳がんの場合、何も言わずにタモキシフェン(もしくは同等のホルモン剤)を絶対にやらなければならないものとして、医者が必ず処方するのも誠実ではないと思います。

タモキシフェンは使われた歴史が古くエビデンスも豊富で、ルミナール型の乳がんはタモキシフェンがあるから治りやすいんだ、とすら言える薬だと思います。

そのことを常に念頭に置いて、彼女がタモキシフェンを飲まない選択肢を探っています。

 

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