彼女がタモキシフェンを飲まないかもしれない3
前回のブログで挙げたタモキシフェン使用についての情報を調べています。そして、モロに間違っていたことに気付きました。
オンコタイプDXでは無治療での再発率などのデータは出ないのですね・・・
ということは、タモキシフェンを飲むかどうかの判断にはまったくつながらないことになります。彼女は術後の再発予防として、無治療かホルモン療法をやるかで悩んでいるわけですから。
オンコタイプDXは、主に初期のルミナールタイプの乳がんの人が抗がん剤治療をやるかどうかの判断に使うもののようです。それは聞いていたのですが、まさか完全にタモキシフェン使用の前提だったとは・・・
やはり、ルミナールタイプの乳がんの場合に抗がん剤治療をやるかやらないかは、多くの人が迷うところのようですね。そしてルミナールタイプでタモキシフェンの使用を迷う人は少ないということなのでしょうか。
タモキシフェンとは関係ないことなのですが、オンコタイプDXについて検索していて、一つ驚いたことがあります。
オンコタイプDXをやる場合に患者から提出するデータに、がんの腫瘍の大きさのデータがないらしいのです。
オンコタイプDXは乳がんの(転移)再発率の予測をするものです。つまり、オンコタイプDXを行うアメリカの会社(Genomic Healthというらしいです)は再発率を予測する上でがんの腫瘍の大きさは関係ないと考えているということです。
この事実は大きいと思います。おそらく世界で一番有名で信頼されている乳がんの遺伝子検査を行うメーカーが、乳がんの腫瘍の大きさ(≒乳がんのステージ)と転移再発率は無関係だと言っているわけです。
僕と彼女がセカンドオピニオンを受けてきた、がん放置療法で有名な某医師の言っていることと一致します。日本の乳がんの標準治療とは大きく矛盾することです。日本の乳がんの標準治療は、基本的に早期発見と早期治療を目指すものなのですから。
これについては、別の機会で僕の考えを詳しくまとめようと思います。
取りあえず、今はタモキシフェンに関する情報を集めねば。
前回のブログで挙げた遺伝子検査のもう一つはCYP2D6という酵素に関する遺伝子の検査です。
これはタモキシフェンを代謝する酵素に関する遺伝子の変異を測ろうとするものです。簡単に言えば、タモキシフェンの効き具合を測る検査です。
つまり、タモキシフェンを飲むかどうか迷っている彼女にとっては、これ以上ないくらいに重要な検査なわけです。
そうなのですが、実際は微妙なところです・・・
いわゆる医学的なエビデンスが少ないのです。原理的にCYP2D6はタモキシフェンの効果に直結する酵素であることは確実なのですが、それが臨床的にタモキシフェンの効果=再発率に直接結びついているというデータがまだあまりないのです。まったくないわけではないようなのですが。
日本乳癌学会のガイドラインでは以下のようになっています。
CYP2D6 の遺伝子多型をタモキシフェンの治療効果予測検査として調べることは勧められるか
http://jbcs.gr.jp/guidline/guideline/g1/g10410/
「海外では効果あるっていう意見と効果ないっていう意見といろいろあるよ。でも日本ではほとんど議論されてないよ。」ということです。
原理的にCYP2D6とタモキシフェンの効果が関係のあることは事実ですが、どの程度関係しているのか未知数、ということです。
まあ、彼女が最後までタモキシフェンの使用を迷った時に、どちらにするにせよ、背中を押す要素にするためにこの遺伝子検査を受けてみる価値ならばあるのかもしれません。
ですが、その場合も中間的な数値が出てしまったら判断要素にはなりません。
一定以上高いか、一定以上低いか、どちらかの場合のみ参考にしようかと思います。
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ディスカッション
コメント一覧
またまた通りすがりです。
CYP2D6、やりました。「低代謝」でした。
ただ、病理結果のホルモンレセプターが両方とも90%で「強陽性」だったので、ホルモン治療しています。
試しにやってみるという手もあるのかも。副作用がキツければ、途中で止めることもできるし、止めているひともたくさんいます。どんな副作用がでるかは個人差があるし、やってみなければ、わかりません。
私は副作用では、生理も止まらなかったし、体重も増えませんでした。気分がイライラしたり、疲れやすくなりましたが、漢方薬を処方してもらい、だましだまししのいでいます。
気がついたら、もう、1年半飲んでます。あと3年半。
治療は他に、何もしていません。
夜寝る前に飲んでいます。
一日一回、自分が乳がんだったと
いうことを思い出すために
自戒の意味をこめて飲んでます。
いつもコメントを頂いて本当にありがとうございます。
CYP2D6をやられましたか。かなりマイナーな遺伝子検査だと思っていたので通りすがりさんがやっていたのは驚きです。
日本人が欧米人よりタモキシフェンが効きにくい可能性があると言われているのは、この酵素の問題らしいですね。
試しにやってみる、という提案はすでに彼女にしています。
まったく副作用が出ない人も半分くらいいると某サイトに書いてありました。
取りあえずある程度の期間飲んでみて、副作用を見てから長期服用を考えるというのもありですよね。
通りすがりさんのように、女性的な部分の副作用も出ない可能性もある。
彼女に通りすがりさんに教えていただいたことを報告してみます。
いつもすみません。
こんにちは
私は、2015年の夏に温存手術を受けました。
病理検査ではルミナールA、ステージ1です。
医師から術後5年間のタモキシフェン服用を勧められましたので、自分の判断で外部にCYP2D6の検査をしました。結果、代謝不可との判定でした。
エピデンスは不足していますが、タモキシフェンを服用して再発をした時に自分が後悔するからとタモキシフェンの服用を止めました。医師は私の意志を尊重してくれて、リュープリン2年をまず行い、2年後にその後を検討することになっています。
CYP2D6の検査をしてつくづく良かったと思います。
ちなみに、別の話しですが、通院中の病院は乳がんの治療ではベスト3に入る病院です。
大病院ですが、驚く程に不必要と判断した検査などはせず、患者に寄り添ってくれる良い病院です。
そんな病院で治療ができて幸せです。
こんにちは。コメントありがとうございます。
1か月前くらい前まで、彼女と僕もCYP2D6の遺伝子検査を受けようと思っていました。
ただ、この遺伝子検査をしているのは日本では1つの会社しかないようです。
その会社に電話をして内容を詳しく聞いてみたところ、どうも疑問が残ったので、今は検査を受けるつもりはありません。
タモキシフェンの代謝能力を5段階評価してもらえるというのは非常にありがたいことなのですが、
もし遺伝子検査を受けたならば、これらのデータの蓄積された日本人の統計を教えてもらえるのか聞いたところ、データは保存されていないとのことでした。
タモキシフェンの効果のエビデンスのほとんどは海外のもので、日本人は代謝能力の違いから効きが弱い可能性も指摘されています。
なので、この検査における日本人のタモキシフェンの代謝能力の統計データは非常に重要なものであるはずです。
特にmyuさんのように「代謝不可」のようなデータは重要であり、そのデータ蓄積がされないことは不可解です。
貴重な情報を書き込んで下さってありがとうございます。
一応確認したいのですが、CYP2D6の検査の結果は、ご自分の結果が出ているだけだったのでしょうか?
ご自分の結果以外に、統計データのようなものがありませんでしたか?
この会社の説明によると、
「当社の現時点での解析データでは「高代謝」と判定される方は約5.6%、「平均代謝」は約41.8%、「注意」は約32.8%、「低代謝」は約19.8%、「欠損」は0%です(ただし、この解析データは2013年11月27日時点のものであり、今後の解析数によって変動します)。遺伝子タイプの頻度には、人種差があり、日本人では「注意」「低代謝」と判定される方が欧米等に比べて多いと言われています。」
となってはいるのですが、電話で確認したところ、この2013年11月のデータ以降のデータの蓄積はないそうなのです。
なぜデータを蓄積しないのかが納得いかなかったので、この遺伝子検査を受ける気に今はなっていない次第です。
こんにちは
時間が経ってからの返答で申し訳ありません。
コメントを入れさせていただいたことを失念していました。
私がCYP2D6の検査をしたのはOOMURAさんが電話をされた企業だと思います。
検査の結果が出てから私も電話をしましたが、その時点で代謝不可の結果がでたのは私ひとりのようでした。
OOMURAさんの疑問点であるデータの蓄積の有無ですが、2013年の段階のデータはこちらの企業が無償で検査を提供して得た結果と思われます。
代謝不可0人以外は、比率的に変わらないのではないでしょうか?
私は代謝不可という結果で、逆に納得してタモキシフェンの服用をしないと決められましたが、中間の結果だとかえって悩むことになるのかもしれませんね。
余談ですが、CYP2D6は他の薬剤の代謝にも影響しますので、タモキシフェン以外の薬を使用する時にとても私は役立っています。
追加で失礼します。
こちらの企業はCYP2D6の日本人の割合いを分析しているだけで、タモキシフェンの効果の分析は行っていません。
いわゆる後ろ向きの研究は進んでいないようですね
わざわざ返信をしていただいてありがとうございます。
また、過去の書き込みを読み返していただいたことにも、重ねて感謝いたします。
代謝不可能=欠損がmyuさん一人というのは、興味深いですね。
日本人は概ね欧米人よりも代謝が低い場合が多いという風に言われていますが、この会社が公表していたデータからはそれが伺えませんでした。
ただ、myuさんのお話を聞く限り、はやり2013年以降のデータを蓄積はしていないか、もしくは公表はしないようですね。この検査を受けた場合には他の人を含む全データを知らせてくれるのか?と聞いても、それはできないとのことでした。
僕はどうも大人の事情を感じてしまいます・・・その重要な蓄積データを発表しない理由が見当たらない・・・
とりあえず、彼女はタモキシフェンの服用を開始したので、当分はこのまま様子を見てみることにします。そして、もし辛い副作用が出て、このままタモキシフェンの服用を続けるかどうかを迷った場合に、この遺伝子検査を受けるかどうか、もう一度検討し直してみることにします。
情報を教えていただき、ありがとうございます。
こんにちは
まず、タモキシフェンを服用してCYP2D6の代謝が低い方は副作用が出にくいとのデータはあるようです。彼女さんはタモキシフェンの効果も受容されているとも考えられます。
5年の治療を受けないというのも重い決断です。
彼女さんの治療も(私の治療も)明るい未来に繋がることを願っています。
こちらの企業がデータを公表しないのは検査を受ける方が少ないからかもしれません。
こちらの営業利益を見るとそれが明らかです。
上場廃止になったくらいですから(苦笑)
確かに、代謝の段階で有効物質があまり生産されないのならば、副作用も少ない可能性もありますね。確実とは言えないでしょうが、彼女には取りあえずはエストロゲンをブロックしている作用はあると思っておくことにします。
彼女のタモキシフェンの副作用については、以降のブログでも少しずつ書いて行こうと思っています。
心配して下さってありがとうございます。
あと、あの企業が上場廃止になったということは知りませんでした・・・