タモキシフェンを飲まないのならば
彼女は乳がんの治療開始の当初から、タモキシフェンを飲みたくないと言っています。
そのことについて、今まで二人で数えきれないくらい何度も話し合っています。まあ、話し合っている、というより、話し合いの末に喧嘩をしているのですが・・・
彼女の乳がんはルミナールAになるので、タモキシフェンを飲むことはかなり効果の高い再発予防になるはずです。
某サイトの医師にお聞きしたところ、乳がん手術後のタモキシフェン服用は無治療に比べて再発率を約40%下げることができるそうです。
そして、この40%という数字は、タモキシフェンの効果があるルミナール型乳がんの全てのトータルでの値です。細かく分類すると、ルミナールAの方がルミナールBよりタモキシフェンの効果が高く見込めるらしいです。
(ただし、ルミナールAとBを分ける境界の数字は、医者の間でもいまだに意見の分かれるレベルのことらしいです。以前にこのブログで書きましたが、ki67という指標の歴史が長くないからです。)
ルミナールBの方がタモキシフェンの効果が多少低くなるならば、ルミナールBが抗がん剤を適用されることは合理的だということになります。
おそらく、ルミナールタイプの乳がんにおいて、ki67の数値とホルモン療法単独か抗がん剤併用かでの再発率の相関関係は、今後多くの研究データが出てくるものだと思われます。
彼女がよく考えた上でタモキシフェンを飲まないと決めるのならば、僕はその意思を尊重するつもりです。飲まない理由がたとえ僕には理解できないものであっても、それは本人の価値観の問題なので、僕が無理にどうこう言うものではないのかもしれません。
ただ、僕が彼女のために一番やらなければならないと思っていることは、彼女の選択肢を増やすことです。
選択肢を増やして、その中で彼女によく考えて後悔のないように決めてもらいたい。その選択肢の存在自体を知らなくて、後から後悔することはないようにしたい。
乳がんの現在の標準治療では、ルミナールAの場合はタモキシフェンを5年間飲むことになります。
もし彼女がタモキシフェンを飲むことを拒んだら、それは標準治療から外れます。治療をするかしないか、という単純な話ではなく、この場合彼女は「標準治療を外れた治療をした」ことになるはずです。
なぜならば、彼女はすでに温存手術をしているからです。手術をすることは(標準)治療です。なので、すでに彼女は治療の枠組みには入っていて、一部分だけ(タモキシフェンだけ)拒否することになります。
ひとたび標準治療を外れた治療を受けようと考えたならば、それは大海に漕ぎ出すことになります。
全て自己責任で、無数の選択肢から自分で方針を選ばなければなりません。進む方向を自分で決めるのです。
(おそらく、抗がん剤治療を拒否することは標準治療を外れることにはならにと思います。その選択をする乳がんの患者は少なくないと思われます。しかしルミナールタイプの乳がんでタモキシフェンを勧めない医者はいません。)
彼女が大海に漕ぎ出すならば、僕はこうアドバイスをしようと思います。
「取りあえず、普通の船について行ってはどうかな?」と。
そのまま自分の船で、普通の船の航路を最後までたどることが出来れば儲けものです。その普通の船の航路がどうしても嫌になったら、そこで初めて自分の航路を決めればいいのです。
タモキシフェンを飲みたくないのなら、自己責任で飲まないこともありだと思います。ただ、取りあえず飲んでみて、自分の体に起こる変化をよく観察してから、それで飲み続けるか止めるかを検討してもいいと思うのです。
そもそも、約50%の人にはタモキシフェンの副作用はまったくないのですから。
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