迷うと面倒なので対処法は正確に決めるべき

彼女のタモキシフェンの服用が始まって3ヶ月くらいになるのですが、今でもよく飲み忘れることがあります。

以前に、このブログの「タモキシフェンを何時に飲むべきか」の回で、医師に聞いたタモキシフェンを飲み忘れた時の対処法を書きました。

それは「飲み忘れに気付いた時刻が、飲む予定だった時刻からあまりたっていなければ、すぐに飲む。飲み忘れに気付いた時刻がかなり遅ければ、飲む予定だった1回分のタモキシフェンを抜いて、次回の分を予定通りに飲む」というものでした。

彼女にはこの方法を伝えていたのですが、それでも飲み忘れた時には必ず僕に「今から飲んだ方がいいのかな?もう飲まない方がいいのかな?」と聞いてきます。

どうやら、この対処法の説明は曖昧だったようです。

なので、今回はタモキシフェンを飲み忘れた時の対処法を正確に書いてみます。

 

タモキシフェンを飲み忘れた時は、飲む予定だった時刻(=毎回飲むと決めている時刻)から12時間以内に飲み忘れに気付いた場合は、直ちに飲む。その場合は、その次の回のタモキシフェンも、いつもの時間に飲む。

飲む予定だった時刻から12時間以降24時間以内に気付いた場合は、その日のタモキシフェンを抜き、次の日の分をいつもの時間に飲む。

24時間以上経ってから気づいた場合は、2回分忘れているので、忘れ過ぎです。直ちに飲みましょう。

ということになります。

毎朝9:00にタモキシフェンを飲んでいる人ならば、夜の9:00(21:00)までに気付いた場合は、気付いた時に飲む。そして翌朝の9:00にも飲む。

飲み忘れに気付いたのが夜の9:00以降ならば、その日はもう飲まない。そして次の日の朝の9:00に飲む。その際タモキシフェンが1錠余る。

といった感じです。

 

医師がタモキシフェンを朝飲んだらいいよ、と言った理由は?

単純に、毎朝飲んでいれば、そこから12時間以内に飲み忘れに気付く可能性が高いからです。

夜に飲めば、寝ている時間は飲み忘れたことに気付けないので、その分対処が遅れる可能性があるというだけのことです。

このことから、タモキシフェンという薬について色々なことが分かります。

このことから分かる一番重要なことは、タモキシフェンは飲む時間によって副作用の程度などが変わるようなことはほとんどない、ということです。

タモキシフェンの副作用は人によっては、とても大きいものになります。また程度の軽い副作用が多くの人に起こる薬です。

キツい言い方をすれば、飲み忘れはしっかりと管理と工夫をすれば、誰でも防げることです。メモをしたり、アラームをセットしたり、やり方はいろいろあるはずです。

ですが、タモキシフェンによる副作用は、小手先の技術では簡単に防げません。人によっては、重度の副作用によってタモキシフェンを中止しなければならなくなります。

飲む時間によって副作用が多少でも防げるならば(例えば、飲む時間によって不眠症が防げたり、日中だるくなる症状が防げたりするならば)、飲み忘れ予防程度の理由で、医師がタモキシフェンの服用時間をアドバイスするわけがないのです。

このことを彼女に伝えた医師は、がん専門の超有名病院の中でおそらく最も多く臨床現場にいる医師の一人です。

そして、乳がんに関して、少しでも効果がありそうな薬は彼女に対して全て勧めてきた医師です。

単に知識不足でそのようなことを言っているとは思えません。

 

タモキシフェンは長い期間飲んで、緩やかに乳がんの再発や進行を抑える薬です

タモキシフェンは何年も飲んで、ルミナール型の乳がんの再発や進行を緩やかに抑える薬です。

がん細胞を直接的に攻撃する薬ではなく、ルミナール型の乳がんが進行してしまう原因の一つのエストロゲンの反応をある程度減らす薬です。

1日飲み忘れたからといって、どうこうなるような薬ではないです。

また、タモキシフェンは飲み続けることによって血中濃度を少しずつ上げるタイプの薬なので、1日飲み忘れたくらいでは、そこまで大きく血中濃度が下がらないはずです。

その意味でも、やはり1日飲み忘れたからと言って、どうこうならないと言えます。

タモキシフェンを飲み忘れたことを、そこまで心配する必要はありません。

 

そうはいっても・・

そうはいっても、心配になってしまうことは仕方のないことだと思います。

そして、乳がんという病気は、そういう心の問題がとても大きいということを、僕はこのブログを書いた経験を通して感じています。

たとえ、それが理屈では大したことがないと説明されていたとしても

「がんの再発を予防する薬を飲み忘れてしまった」

という事実はとても大きいことです。

なので、精神的な健康面も考えて、しっかりと飲み忘れの対処をすべきです。

 

先ほど書いた、1日の半分の12時間を基準として、急いで飲むか、1回分抜くかの対処法が基本になります。

ただ、この対処法だと、気付いたのが12時間後付近だと、どちらにするか非常に迷ってしまいます。

どちらの対処法でもいいのですが、「どっちでもいいよ」などと言われたら不安になる人もいるかもしれません。

そのような人は、主治医に「タモキシフェン(ノルバデックスやタスオミンなど)の10mg錠を飲み忘れた時のために処方してくれませんか?」と聞いてみるのも一つの方法だと思います。

タモキシフェンは1日に20mgが標準の服用量です。なので、多くの乳がん患者はタモキシフェン20mg錠を医師に処方してもらい、1日1回飲んでいると思います。

ですが、多くのタモキシフェン錠には10mgのものもあります。

この10mgが存在する目的はいろいろあるのでしょうが、「飲み忘れた時に、次に飲むまでのつなぎで10mgだけ飲む」ために使うのは、原理的にまったく問題のない使い方のはずです。

飲み忘れたことを気付いた時刻を12時間ではなく8時間で区切って、8時間後~16時間後に飲み忘れに気付いた時には、タモキシフェン10mgを飲む、という使い方ができるはずです。(8時間後までに気付けば、通常の20mg錠を飲む、16時間後~24時間後に気付いたら、何も飲まない)

この提案に対して、おそらく多くの医師は「そんな細かいことをする必要なんかない。」や「そんな細かいことをしても意味がない。」などと思うはずです。

ですが、乳がんの治療は、患者の心の問題が大きいことは、どの医師も認めるところです。

こういう細かい対処をすることによって、飲み忘れた時の罪悪感を少しでも和らげることができると医師に伝えれば、10mg錠を処方してくれる医師もいるかもしれません。

 

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