前回のブログで、乳がんの手術は温存手術でも全摘手術でも、手術後の~年生存率のような数字はほとんど変わらないらしい、と書きました。

それならば、やはり素人考えでは、温存(=部分切除)できるならば温存する以外の選択肢はないように思えます。
しかし、温存できるレベルの乳がんの進行レベルの人でも現在は全摘をする人も多いらしいです。なぜか。

では、そもそも温存と全摘とでは、健康面以外で何が違うのか?

言うまでもなく、これは見た目が違います。美容の問題です。
全摘よりも温存の方が術後の見た目が良い・・・。
と思っていたのですが、どうやら、条件によっては、全摘の方が「乳房再建」をすることによって見た目が良くなるようなのです。

僕は彼女が検査結果待ちで乳がんの診断が出る前から心配だったので、乳がんについての情報を集めていました。その時に「乳房再建」というものがあると知りました。
そして現在ではそれが健康保険適用で、多くの人が行っていることを知りました。
しかし、この時点ではまだ彼女が乳がんだと確定していなかったので「もし彼女が乳がんだったとしても、手術後に胸をきれいに残すこともできるんだ」という程度にしか認識せず、詳しくは調べませんでした。

乳房再建(以降、「再建」と表記)について、よく知らないまま、時は過ぎました。針生検によって彼女に乳がんの診断が出た後も、次々に検査をしましたが、温存か全摘かの問題は深く考えずに、よく調べもしませんでした。
なぜかというと、温存か全摘かの判断は、当然のごとく医者が判断するだろうと思っていたからです。

レントゲン、触診、エコー、マンモ、血液検査、細胞診、針生検など、非常に多くの項目の検査をしました。
そして一番最後に造影剤を使ったMRI検査をしました。このMRI検査によって、乳がんのしこりの正確な広がりを把握して、そこで温存手術が可能かどうか確定しました。

また、彼女の乳がんがある方の乳房には、もう一つ怪しいしこりが認められていました。そのしこりは「多分良性だろう」と言われていました。
ですが、細胞診2回と、最後にやったMRI検査を総合して、「やはりここは良性だろう」いうことになり、その時に初めて、温存手術が可能なことが確定しました。
そちらのしこりもがんだった場合は温存手術は不可能だということでした。

話が長くなってしまいました。まとめると、要するに、最後の最後まで温存手術が可能かどうか決まらずに、そのために最後まで「温存手術にするか、全摘手術にするか」とは深く考えなかったです。
温存手術ができるならば、当然医者がそう決めて温存手術をしてくれるもの、だと思っていました。

ですが、最後の最後、手術日を決める診察で、主治医の先生に「温存が希望ですか?全摘が希望ですか?」と聞かれて、かなり混乱しながら、彼女と僕で「え、えっと、お、温存でお願いします・・」と答えた次第です。

最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します




にほんブログ村

以前このブログで書きましたが、彼女の乳がんはステージⅠだったのですが、それでも全摘手術か温存手術かを患者自身の彼女が決めることになりました。素人考えだと、乳房を一部分だけ手術する温存手術で済む場合は、全摘手術は普通はしないのでは?となるはずです。ですが現状の乳がんの事情は違っていました。

いろいろ分かったことをまとめてみます。

思った以上に温存にはデメリットがあり、全摘のデメリットが少なかったです。ですが、まずもって一番重要だと思われる「健康面」の、いやな響きである「~年生存率」には、どちらの手術をしてもなんとほぼ変わらないという研究結果がでているらしいです。

がんは全身に転移しなければ、命に係わるような危険なものではありません。そして乳がんは温存・全摘どちらの手術方法でも他の臓器に転移する可能性(=命の危険)はほぼ同じらしいのです。

確かによくよく考えてみると、それも当然なのかもしれません。乳がんの手術後に他の臓器への転移が見つかったとしても、それは手術の前にすでに転移していたものだと考えるのが妥当です。

手術をした後は、密に再発の検査をするはずです。その検査で、例え温存した乳房や手術した乳房と反対側の乳房に新たな乳がんが見つかったとしても、それが手術で摘出した乳がん以上の大きさになっているとは考えにくいです。

例えば手術で2cmの乳がんの腫瘍を摘出したとして、そして手術後1年経って別の1cmの乳がんが見つかったとして、そしてその後に別の臓器への転移が見つかったとします。その時、別の臓器へ転移したがんの転移元はおそらく2cmの乳がんのはずです。1cmの乳がんから転移したものだとすると、2cmの乳がんからは転移していなかったとなります。同じ人、同じ部位のがんで2cmのものが転移しないのに、1cmのものが転移するのは考えにくいのではないでしょうか。がんの転移リスクは腫瘍径と大きな関係があります。血管に触れている部分が大きければ大きいほど、血液を介して転移する可能性が高くなります。

乳がんの他の臓器への転移(=命の危険)は、その転移したがんが手術をした前に転移していたものならば、手術方法と転移は関係なかったことになります。

手術後に乳房内で乳がんが再発し、そしてそのがんが他の臓器へ転移した場合のみ、手術方法で(命の危険)が変わってくるはずです。

全摘がまったく再発の危険性がないものだと仮定しても、温存=部分切除した場合に切除した腫瘍の大きさ以上の大きさの乳がんが再発しない限り、温存=部分切除より全摘の方が(命の危険)=多臓器への転移の可能性が低くなるとは言えないです。そしてそれは原理的にはほぼないはずです。

がんは免疫力との兼ね合いなので、上に書いたことは絶対とは言えないでしょうが、臨床で全摘でも温存でも~年生存率(=命の危険)には変わりがないことが分かっているようです。

最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します




にほんブログ村

「一部分切除」の手術か「すべて切除の手術」か。「温存」手術か「全摘」手術か。乳がんにあまり詳しくない段階の人は「温存」と言えば「一切切らない手術」だと思うはずです。

僕も最初はそうでした。ステージⅠの乳がんでもそれを患者自ら考えて選択するものらしいのです。非常に驚きましたが、今はそういうものらしいのです。

このブログのタイトルの「トリプルポジティブ」というのは、乳がんのタイプのことです。乳がんはタイプによって、症状や予後が変わってきたりするのか? それによって患者が取るべき療養方法などは変わるのか?

そういうことを主治医から教えてもらったり自分で調べたりして、僕はこのブログで書くつもりでした。ですが、まずは、乳がん患者が気にすべきところは、そこではないようです。

そういうことは手術の後で病理診断というものが出た後で、その結果を見てみないと何も言えないようです。

まずは「どう切るか」でした。

まずは「温存」手術か「全摘」手術か、です。

最後までお読み頂きありがとうございます
よろしければ応援クリックお願い致します




にほんブログ村

PAGE TOP