前回のブログで少し触れたのですが、彼女のお母さんに乳がんの疑いが認められました。
視触診、エコー、マンモの結果から、乳がんの疑いが非常に高いらしいです。
乳腺上にかなり硬いしこりがあるらしく、その場所は乳房の脇の下よりの乳がんのできやすい位置らしいです。
今は細胞診をして、その結果待ちの状態です。
非常に乳がんの疑いが高いと思われる状態で、なぜ針生検やマンモトープ生検のような検査をしないのか疑問ですが、何か理由があるのでしょう。
どんなに情況的に乳がんの可能性が高かったとしても、現在では細胞診だけで手術を決めることは一般的ではないです。
なので、彼女のお母さんの細胞診の結果がどちらに出た場合でも、針生検をすると思われます。
その乳がんの可能性が高いと思われるしこりの他に、もう一つ別の小さいしこりがあるらしく、それに対しても細胞診をしたらしいです。2か所細胞診をしました。
その関係もあって針生検を次回の診察に回したのでしょうか?
今度、彼女のお母さんと電話で話す時に聞いてみようと思います。
乳腺上にある硬いしこりの方は、大きさが大体1.5cmくらいらしいです。
この数字だけを聞く限り、もし乳がんだったとしても早期のものです。
脇の下には、今のところしこりのようなものは認められていません。
それらの条件を併せて、もし乳がんだったとしても、十分に完治を望めるものだと思われます。
ただ、脇の下のリンパはしこりが認められなくても、手術時のセンチネルリンパ節生検でリンパ節転移が発見されることがあります。
その心配は手術をするまでは無くなりません。
そして、お母さんはMRIでの検査をまだしていないのですが、MRIでしこりの周りに細かく広がりが見つかる場合もあります。
その可能性もまだ否定できません。
また、エコーやマンモでのしこりの大きさの測定値は、あくまで手術前の予想のようなもので、病理検査の結果で、それよりも大きかったり小さかったりします。
まあ、しこりの大きさや広がりについての不安要素は挙げるとキリがないので、今はあまり考えないようにするのがいいのかもしれません。
高齢者の乳がんは乳管内の進展はあまりない場合が多いらしいですし。
丸く硬いしこりだという所見からも、それが伺えるような気がします。
乳がんになった彼女のお母さんも乳がんが発覚したとなると、遺伝性の乳がんなのでは?と考えてしまうところですが、おそらくこの可能性は低いと思われます。
遺伝でなる乳がんには、遺伝性乳がん卵巣がん症候群という名前がついています。
この遺伝子をもっていると、この遺伝子由来で乳がんになる場合があります。(正確には、DNAを修復するための遺伝子の変異が原因なので、その遺伝子のせいで乳がんになる、というのは間違いなのかもしれません。)
この遺伝子は(遺伝子なので当たり前ですが)遺伝する可能性があるので、血縁者に乳がんにかかった人がいる場合は、遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われます。
ただ、この場合の乳がんはいくつか特徴があるらしく、それらのどれにも彼女の乳がんは当てはまりません。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群での乳がんの場合は、30代などの若い年齢の乳がんが多く、乳がんのタイプがトリプルネガティブの場合が多く、さらに両乳房や片方の乳房に原発で二つの乳がんができることがあるらしいです。
血縁者に卵巣がんや男性の乳がんなどがある場合もあります。
どれも彼女には当てはまりません。
一つだけ心配なのは、現在の乳がんの全体の原因の3%~5%が遺伝性乳がん卵巣がん症候群から来るもので、遺伝とは関係なく乳がんの家族歴がある場合が10%くらいらしいことです。
つまり、血縁者に乳がんがいる人が乳がんになった場合、約1/3~1/4くらいは遺伝性乳がん卵巣がん症候群だということになるのです。
この1/3~1/4という割合は、僕はかなり高い数字だと思います。
たとえ特徴が合わなかったとしても、元々の可能性が高い場合は、例外的に当てはまってしまう場合もあるかも知れないのです。
できれば(自費診療で高額ですが)遺伝子検査をして、彼女と彼女のお母さんが遺伝性乳がん卵巣がん症候群なのかどうかを確かめておいた方がいいのかもしれません。
それによっては、彼女のこれからの乳がんに対する備えも変えなければならないからです。
まあ、70歳に近い彼女お母さんがもしこの歳で乳がんになったのだとしたら、逆に考えると、それはこの歳まで乳がんにならなかったということです。これは遺伝性乳がん卵巣がん症候群での乳がん発症の特徴からかなり外れます。
それも踏まえて、一応は大丈夫だと思っている次第です。
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