今は彼女と乳がんの話し合いをほとんどしていません。

話し合いをしていない隙に、僕の考えを今一度まとめておこうと思いました。自分の考えがまとまっていればいるほど、彼女に伝えやすくなるはずですから。

どうせ、彼女はこのブログを斜め読みするでしょうから、このブログ上で僕の考えをまとめても、押し付けることにはならないことでしょう・・・

 

僕は彼女が乳がんの告知を受けた当初から、彼女のサポートをする方法を一貫させてきたつもりです。

僕としては、まず情報を集めて、それらの情報をできるだけ客観的に吟味して、それを彼女に伝えました。

(ここでの「客観的に吟味」という言葉は非常に重いものだと自覚しています。例えば、ある医者の言っていることが信じられなかったとしても、少なくとも複数の別の医者がそれを否定しない限り、素人である僕が信じられないなどと思うべきではないと思います)

まず、彼女に情報自体とそれに伴った治療法の選択肢を伝える。

もちろん主治医の言うことも情報の一つです。そして、もしセカンドオピニオンを受けた場合に与えらえる可能性のある選択肢などが、ここで集められるべき情報です。

そして、それらの情報にさらに吟味を加えて、①おそらく多くの医者が一番医学的に有効だと言うであろう治療法を彼女に伝えました。

また、それとは別に、②もし僕が女性で乳がんになったとしたら選ぶであろう治療法を伝えました。

最後に、③彼女自身の考え方と、彼女が女性として心情的に選びたい治療法も尊重すると伝えました。

僕は、それらを全てよく彼女に考えて欲しかった。治療法の選択肢と言っても、数多くあるわけではないので、最終的には①、②、③のどれか一つに近い治療法を取ることになってしまう。

でも、①、②、③の三つをよく考えて、できれば、①:②:③を20%:30%:50%くらいの割合で考え合わせて欲しかった。そして結論を出して欲しかった。

自分の意思をまず一番重要なものとして、それに医学的なことや、周りの人の気持ちも加味した答えを出して欲しかったのです。

大切なことを全てをよく考えて、その上で自分の気持ちを最優先に、自分自身で治療法を決定して欲しかった。そう彼女に言いました。

 

どうもこの僕の注文が、彼女にとって荷が重いものになってしまったようでした。

単純に「あなたは自分のやって欲しい治療法を私に押し付けようとしている」というように、彼女は感じてしまったようでした。

僕は、たとえ相手の考えと自分の考えが違っていても、自分の考えを相手に伝えることは誠実なことだと思っています。それは相手に自分の考えを押し付けることとは別の問題だと思っています。

そして、乳がんの治療をどうするかは、彼女自身にとっての最重要な問題であると同時に、彼女の周りの人間にとっても大きな問題であると思います。

彼女が周りの人の押し付けによって治療法を決めてしまうのはおかしいと思いますが、逆に周りの人の意見にまったく耳を貸さないことも、あまりいいことだとは思えません。

だから僕は、彼女自身の意見と医者や専門家の意見と僕の意見を、だいたい50%と30%と20%くらいの割合で考えて、治療方法を決めて欲しかったのです。

こういう心情的なものを無理矢理数字で表すことは不謹慎かもしれませんが・・・

 

僕がもし女性で、ルミナールタイプの乳がんになったならば、タモキシフェンを飲むだろう。それとルミナールタイプの乳がんになった女性のほとんどはタモキシフェンを飲む。

その事実は彼女には伝えなければならないです。それを事実として伝えることは絶対に必要です。

乳がんが再発したらどうなるのか。そしてタモキシフェンを飲むとその再発率がどのくらい下げられるのか。それも彼女に必ず伝えなければならない情報です。

そういうことをよく考えた上で、なお彼女がタモキシフェンを飲むことを拒否するのならば、それは尊重します。僕も腹をくくります。

言い換えるならば、僕は彼女にどれくらいの気持ちの強さでタモキシフェンを飲みたくないのかをよく考えて欲しかった。自分の気持ちがどれだけ強いのかを、自分自身で考えて欲しかった。

それらをよく考えた上での決断ならば僕もそれを尊重して、次善策の情報を集めるつもりでした。

というか、すでにいろいろ考え始めていました。タモキシフェン20mgを5年間服用することに変わる対処方法です。

 

しかしやはり、そういった考え方が彼女の重荷になっていたことは事実です。

要するに、僕は彼女に自分自身の気持ちを合理的に処理しなさいと言い、彼女はそんなことはできないわよと言ったんだと思います。

そう取ればまったく彼女が正しいです。乳がん患者に対して、そう言い放つ僕の心は鬼のようです。

ですが、患者自身が合理的になれない分、周りの人間が合理的な治療法を検討することも必要なはずです。

 

いろいろ考えると、乳がん患者をサポートする側として僕が取っている態度と、乳がん患者自身の彼女の言い分は、どちらも間違っていないような気がしてきました。

そして、僕の考え方が彼女に受け入れられなかったとしても、それは問題がなくて、むしろ当たり前のことなのかもしれません。

多分、そこまでは問題ないはず。

でも、そこからお互いがお互いに無理に自分の考えを認めさせようとすると、状況が変わってしまう。

その辺りのボーダーラインが重要なのかもです。

 

僕の考えやアドバイスに彼女が怒りを示したとしても、アドバイスした僕がおかしいわけでも、怒り出した彼女がおかしいわけでもないのかもしれない。

それだけなのかもしれません。

僕の目的は彼女のサポートをすることであって、彼女に自分の考えを理解してもらうことが目的ではない。

それを忘れないようにしようと思います。

ましてや、彼女と喧嘩した愚痴を、毎日ネット上にアップして憂さ晴らしをするのが目的では、絶対にないのですからね・・・

 

 

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彼女は現在、乳がんの温存手術を終えて、術後の再発予防のための治療方法を悩んでいる状態です。

僕と彼女の治療方法選択の話し合いは難航しました。

話し合いが難航するさなか、彼女が引越しをすることを決めました。

僕にとって乳がんの治療方法を決めることはとても重要です。それを後回しにして、引っ越しのような大掛かりなことに打ち込むのは気が乗りませんでした。

ですが、とても大事なことだからこそ、いったん気晴らしをして、違う気持ちで向き合うことも必要なのではないかという考えにいたりました。

 

彼女の乳がんはルミナールタイプです。ルミナールタイプの乳がんが再発するのは5年~10年後のような長期戦になることが多いようです。

一週間や一か月という単位で焦って彼女の納得のできない治療方法に決めてしまった方が、長期的にみるとまずいことなのかもしれない。

タモキシフェンを飲むのならば、一般的には5年間飲みます。5年間という時間は、簡単に想像できないくらい長い期間です。

そのくらいの長い期間タモキシフェンを飲み続けて、それで乳がんの再発の可能性を彼女の場合は10%くらい下げるというのがホルモン療法です。ゆっくり時間をかけて、やるかどうかを考えることもありなのではないでしょうか。

 

そういった訳で、僕は今は彼女のサポートとして乳がんの情報を集めることをいたん止めています。そして彼女の住みたい地域の物件情報などを検索することが多くなりました。

良さげな物件を見つけると彼女に教えます。そうすると、これがまた面白いくらいに、乳がんの治療法選択の時と同じ構図の会話になってしまうのです。

どうしても僕のアドバイスが彼女に耳に入らない。

もはや、仮にまったく同じ物件だとしても、僕が彼女に教えた物件ならば気に入らないで、自分で見つけたら魅力的な物件に見えるのではないか、というレベルです・・・

彼女は人の話を聞かない。いや、聞かないというか、聞いているのだけれども、聞き入れない。

 

僕は別に自分がその物件を気に入ったから彼女にお勧めしているわけではないのです。僕が自分で住むのなら、もっと違う基準で物件を探します。

彼女の希望を聞いて、それになるべく沿える物件を探す。でも、完全に希望を満たす物件は値が張る。だからいろいろ妥協した物件を彼女に勧めてみる。そうすると、その妥協した部分が気に入らないと却下になる・・・

結局、その妥協部分を彼女が決めるわけで、妥協部分を僕が決めると却下なのです。

そ、それなら、最初からその妥協部分を、探す基準の中に入れて置いてもらわないと探せないですよね・・・

でも、それはできないのです。だって妥協する部分はその時の彼女の感性で決めているようなのですから。

探す基準はあってないようなものなのです・・・

 

と、このように、いつもこのブログは、彼氏が書く彼女の愚痴ブログになって行くのです。

このブログの本来のコンセプトは「乳がんの女性を支える彼氏が、闘病やそのサポートについて、どう感じるのか?どう行動をおこすべきなのか?」を、他の同じような境遇の人に読んでもらって参考にしてもらおう、というものです。

今のところ、彼女の法外な性格による法外な乳がんへの対し方によって僕が右往左往しているだけで、あまり参考になるブログにはなっていないような気がします・・・

僕は基本的にありのままを文章にしているだけです。それだけなのですが、一般的な感性の人から見ると、「そんな女性が本当にいるのか?この人の妄想の彼女なのでは?」と思われても仕方のないレベルだと思っています。

また、僕がブログを読んでもらうために、あらゆる話を「盛って」いるように思えてしまうかもしれません。

自分で読んでも「こんな女の人は他にいないかもな・・」と思ってしまうレベルです。

こういう部分は、僕の書く文章の彼女の性格や態度以外の部分のリアリティーで払拭するしかないと思っています。

精進して行こうと思っています。

 

最後に、彼女がなぜ僕がこのブログで彼女の愚痴(を通り越した悪口?)を書いていても、怒ったり、訂正を求めたりしないのかを話します。

普通の女性ならば、たとえ真実だとしても(むしろ真実だとしたら)、このようなブログで自分の良くない部分をあげつらわれることを嫌うとことでしょう。

ありがたいことに、このブログは僕にとっては出来過ぎなくらい、多くの人に読んでもらえています。

そして、彼女は何を思ったのか、このブログの存在を知人友人に教えているのです。URLを教えて「暇なら読んでね」と触れ回っているのです。

そのブログの中で、僕が(彼氏が)彼女の言動によって、のたうち回って「もう別れるかも!」と口走ったりしているのです。

普通の女性ならば、間違いなく検閲することでしょう。そこは書かないでね、とか。そんなことないから、ここは訂正してね、とか。

彼女はそういうことをまったくしないです。

なぜなのか?

なんと、彼女はこのブログを斜め読みしているのです。

適当にしか読んでいないのです。

「今日も文章が長いわねえ。ご苦労なことねえ。」と。

僕の感覚からすると、あり得ません。

自分の知り合いや友人の多くと、見知らぬ100人の単位の人に、自分の愚痴が日々拡散されていると思うと、発狂しそうです。

その自分に対する愚痴を斜め読みするのです。

凄まじい胆力としか言いようがないです。

見るのも嫌だから、一切読まない。というのなら、まだ理解できます。

適当に読んで、軽く流しているのです。信じられません。

 

まあ、こういう豪胆さは彼女の魅力の一つでもあります。

僕はこのブログを書かせてもらっていることを、素直に彼女に感謝しておくことにします。

しかし、本当に理解できません・・・

 

 

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彼女の乳がんが発覚してから、約半年が経ちました。

ここへ来て、彼女の乳がんへの対し方が、僕の理解を超えている度合いを高めています・・・

彼女への乳がんに対するサポートと、彼女の引っ越しの部屋選びへのアドバイスが、彼女から見るとどうやら同じだったようです・・・

 

僕は、彼女の乳がんの治療法を決めることは、彼女自身にとっても僕にとっても、一生のうちで最も重要な決断の一つになると思っていました。

なので、僕は自分のこと以上に必死になって乳がんの情報を集めて、彼女にアドバイスしました。それが、患者本人である彼女に重荷になってしまった。そして、自暴自棄になった彼女と僕は上手くコミュニケーションが取れなくなり、別れることまで考え出してしまった・・・

と、そういった経緯だと思っていたはずなんですが・・・

「あなたは私にタモキシフェンを飲ませようとしてる」と言われてからの、気分転換の引っ越しで、「あなたは私に某沿線に住まわせようとしている」でした。

「あなたは私に自分の気持ちを押し付けようとしている」というのが、よもやの彼女の口喧嘩テンプレートだったとは・・・

や、やっとれん・・・

 

いや、悪い方向に物事をとらえるのは止めましょう。

ここは逆転の発想です。

これはチャンスです。

彼女の引っ越しでの部屋選択への対し方を見ていれば、彼女の乳がんへの対し方の理解も深められることになるのですから。

だ、だって、同じなんですから・・・

 

僕としては、彼女の自分の乳がんへの考え方と、自分が住む部屋への考え方が似ているというのは驚きです。自分の健康のことと自分の生活のことが同じなのです。

僕にとっては生活と健康ならば、健康が上です。健康でなければ生活は苦しくなるわけですから。

なので、健康に対する時間や手間やお金などの全てのコストは生活に対するものより上にすべきだと思っています。まあ、そうするのが理想であって、現実的にはそうも言ってられない場合も多いのですが。

なので、彼女が乳がんの治療法を決めずに、引っ越しの計画に本腰を入れようとすることが理解できませんでした。

ですが、こういった考え方が患者の心理を理解できていない結果だということも学んだつもりです。特にがんは遺伝子レベルでなる病気であって、健康的な生活を送っていたら必ず回避できるというものでもないのですから。

 

一旦、人に何かをしてあげようと思ったならば、それは、その人にとって本当にありがたいことをするべきです。ありがた迷惑も、まあ仕方ないのかもしれませんが、僕はそうはしたくない。

彼女に乳がんの治療法についてのアドバイスをしようと決めたのならば、彼女の乳がんに対する非合理な部分も受け入れなければならない。それも含めた、彼女にとってのありがたい選択肢を用意しなければならない。

人の非合理な部分は、周りの人には非常に理解し難い。合理的でない考えなのだから、合理的な考えより理解し難いのは当然です。

彼女の非合理な部分を理解できるチャンスが彼女の引っ越しでの部屋選びにあるのならば、僕にとってそれは、彼女の乳がん治療サポートの重要なポイントになるはずです。

 

そ、そう考えておけば、多分彼女と喧嘩にならないはずです・・・

 

 

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