彼女の引っ越しがほぼ完了しました。

 

乳がんの術後の治療法を決める前に、彼女は引っ越しに取りかかりました。

これを僕は当初、信じられない行為だと思いました。

彼女と僕にとって、彼女の乳がんの治療法を考えて選択することは、間違いなく人生の一大事です。

僕から見ると、その一大事を途中で放り出して、彼女が別の重要なことを始めたように見えました。

 

引っ越しもとても重要なことです。人の一生の内でそこまで多くの引っ越しはしません。

引っ越した先の住みやすさによって、精神的にも肉体的にも健康になったり不健康になったりするかもしれません。

僕は引っ越しをそのくらい重要なことだと思っていました。重要だからこそ、さらに重要な乳がんの治療法選択の話し合いと同時平行などして欲しくなかったのです。

 

実際は同時平行どころか、それが原因で喧嘩をして、お互いに引っ越しのめどがつくまでは乳がんの話し合いはしないことにすらなりました。
今その時を思い出しても、当時の彼女の行動は本当に理解に苦しみます。

彼女にはもうついて行けないとすら思いました。

 

ですが、結論から言うと、引っ越しをするために一旦乳がんの治療法の話し合いを休んだことは無駄ではなかったと思います。

良い意味で、一時的に乳がんのことを忘れることができました。

少し間を置いたことで、お互いの意見をスムーズに聞けるようになったようです。

僕の主張する合理的な治療法の選択と、彼女が求める患者本人の彼女の気持ちは相容れないものではないことを、少しずつ共通認識にして行くことができました。

 

僕は彼女になんとしてでも治療をして欲しいとは思っていなかった。それを伝えたかった。

ただ、彼女に治療をして欲しいという感情は当然あった。どちらも僕自身の感情であって、僕自身がその感情をどう扱うかが問題でした。

これは僕が僕自身で解決しなければいけない課題でした。

 

僕が世間知らずだったのでしょう。男女の関係性はそういうものなのでしょう。

理屈で考える僕より、感覚で行動する彼女の方が正しかったということですね。

 

・・・今回は、こういうような前向きな捉え方をしておこうと思います・・・

彼女が引っ越しを決めた理由が「更新時の大家と不動産の態度にムカついて更新料を払いたくなかった」とかいう有り得ない理由だったことは忘れることにします・・・

 

 

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僕の彼女が乳がんの温存手術を受けたのは今年の2月下旬です。

それからもう3ヶ月も経ってしまいました。ですが、まだ術後の再発予防の治療を始めていません。

随分と遅くなってしまいました。まあ、3ヶ月の内の5週間は病理検査結果待ちだったので、その間は治療法を悩んでいた期間ではなかったです。

6月の上旬にかかっている病院の診察の予約をしています。ここで彼女と僕で話し合った結果を主治医に伝えて、術後の治療内容を確定させます。

 

彼女と僕は乳がんに対する考え方がかなり違っていて、それぞれが考える乳がんに対する接し方も違いました。

なので、術後の治療方針について、なかなか話し合いがまとまりませんでした。

その上さらに主治医との話し合いも難航しました。(というか、主治医とはいまいち話し合いになりませんでした。)

彼女は大まかには無治療が希望でしたし、主治医は考え得る治療法をフルコースで勧めてきました。

 

僕としては、効果と副作用のバランスがいい、効率のいい治療法をして欲しかった。偉そうに言わせてもらうと、その治療法の作用機序やエビデンスでやるかどうかを決めたかったです。

ですが、そんなことを言っていられる状況にはなりませんでした。効率がどうなどと悠長なことを言っている場合ではなかったです。

彼女はルミナールAの乳がんだと分かった以降もホルモン療法をしないことを希望しましたし、主治医はルミナールAの乳がんなのに抗がん剤を勧めてくるし・・・

彼女には最低限の治療を勧めました。そして、主治医の勧める治療は過剰気味であると裏を取ることに奔走しました。

今は彼女との話し合いもほぼ終わっています。おそらくタモキシフェンのみをやることになると思います。

なんというか、最後には非常に普通のところに落ち着きました・・・良かったです・・・

局所再発予防の放射線については、僕はどちらでもいいと思っています。彼女はやらない方に少し傾いているようです。

放射線治療の副作用は小さいとは言ったものの、彼女の予想される局所再発率もかなり低いので、相対的な効果は小さくなります。なので、僕の希望の「効率」を考えると、きっちり受けても省略しても、大きくは変わらないところです。

 

今思い返すと、病理検査の結果が出てからいろいろありました。

彼女と何回も喧嘩をしました。喧嘩になった内容に関しては問題なかったと思いますが、喧嘩をしたこと自体は反省しています。

なんというか、彼女があまりに突飛なことを言うので、それがすごく適当に感じてしまって不真面目に感じてしまうのです。

ですが、よく聞いてみると、彼女自身はそれをまったく突飛だと思っていないようなのです・・・なので、粘り強く彼女の話を聞けば、彼女が真面目に考えているを理解できるのです。

それができなかったことを反省し、彼女の話を聞く時だけにとどまらずに、あらゆる粘り強さをもっていけたらいいと、今は思っています。

 

病理検査の結果が出てからはバタバタして大変でしたが、今思い返してみると、彼女の乳がんが発覚してから手術するまでの期間の方が大変でした。精神的にとても苦しい時期でした。

針生検の結果で乳がんだと確定したのですが、その生検によって「ki67が高い」と言われていました。ki67は増殖能であると聞き、それが高いとはつまりどんどん増殖していく乳がんなのか?と、とても不安になりました。

今はki67が高い乳がんであっても、特別に予後が悪いことなどないということを知っています。特別に進行が早いということもない。

ですが、このころは非常に不安でした。しかし、いろいろあって転院までして手術を受けました。転院したことを当時は賭けだと思っていましたし、その賭けは病理検査の結果が出るまでは成功なのか失敗なのか分からないと思っていました。

いろいろ、余計な心配をしていたことになります。

今は乳がんはがんの中でとても進行が遅いがんだと確信をもって言えます。例え腫瘍の大きさが術前の検査の数字より手術後の結果の方が大きくなっていたとしても、それは測り方の違いからくる差です。

乳がんについて正しい知識を持っていたとしたら、このころに不必要な不安を感じずに済んでいたと思います。そして正しい知識がついてきたからこそ、彼女と治療法について少しずつ意見がまとまっていったのだと思います。

 

 

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前回のブログを書いている最中に、テーマに関連して大病院の特徴について考えていました。

前回のブログで僕が言いたかったことは、積極的に治療することも、積極的に治療を最低限度におさえようとすることも、どちらも乳がん治療の選択肢として間違っていない、ということです。

僕と彼女は、治療を最低限度にする選択を取ろうとしています。だからと言って、積極的に効果の出る可能性のある治療を多くやっていくことを批判するつもりはありません。

(「過剰治療」などという言葉を使ってしまうと、すでに批判しているようなものなのですが・・・。しかし、患者がしっかりと理解した上で自ら望んで多く治療を受ける意味と、医者の勧めるがままに多くの治療を受けさせられてしまうのとでは、まったく違うと思います。僕は後者の危険性について「過剰治療」と言っているつもりです。)

やはり、どうしても大病院やがん専門病院では過剰治療に陥ってしまう可能性があるような気がしてなりません。

 

以前のこのブログで大病院のデメリットとして、大病院やがん専門病院では、治療が過剰気味になる可能性があるということを書きました。

そして、大病院では規模の小さい病院より治療が過剰になり、それはデメリットである!と主張してみたものの、よくよく考えると、それはそのまま大病院のメリットでもあるような気もしてきました。

そもそも僕は、患者の意思によって治療が平均的なものに比べて多くなることも少なくなることも、どちらも間違ってはいないと思っています。

ならば、積極的に治療を多目にしようと思っている患者にとっては、(仮に僕が言っていることが正しかったとして)大病院では積極的に治療を多くしてくれる傾向があるのであれば、それは願ったりかなったりです。

僕がこのブログで「大病院では過剰治療を押し付けてくる!」というように批判的になってしまったのは、そのままの意味で「押し付けてきた」からであって、勧められる治療事自体が多めか少な目かは問題ではなかったのです。

どうも見誤っていたようです。押し付けてきたのは、その医師個人の問題であって、大病院であることは関係ないと思った方がよいですね。そう思いたいです。

 

ただ、大病院では、一人の医師の失敗が病院全体の失敗に取られてしまう可能性があるので、医師各々が防衛的になってしまう可能性は高いかもしれません。

この場合は、失敗が少ない無難な治療法を押し付け気味になってしまいます。治療せずに、そのせいで「乳がんが進行してしまった」と患者に言われるよりは、多少多めの治療をして、治ればよし、治らなければ「最善はつくしました」と言う方が医師にも病院にも責任は発生しません。

 

そして、彼女は主治医に抗がん剤を結果として勧められたのに、その主治医は途中で一言も「抗がん剤を勧めます」とか「やった方がいい」などということは言わなかったです。

この不自然な現象は、「ルミナールAの乳がん患者に対してあの病院は抗がん剤治療を勧めたぞ!」などという過剰治療の噂を立てて欲しくないという事情と、なるべく多めに治療をしておいて、もし転移再発した時に「ここまでやってもらったのだから、再発はしたがあの医師と病院は悪くない」としてもらいたい事情がせめぎ合った結果だと思われます。そのくらい不自然な抗がん剤の勧め方でした。

 

この傾向を分かりやすく言うと、大病院ほど大人の事情が発生してしまう可能性が高い、ということです。

医師同士の関係性は、患者の健康には関係のないところで治療方針に影響を与えているはずです。その影響量は大病院の方が確実に多い。悪い意味で、医者同士が気の使い合いをしてしまう・・・

そして、大病院の方が、患者数が多くいろいろな症例があり、患者に訴えられる可能性は高い。それもあってどんどん防衛的になる。これも患者の健康とは関係のないことです。

 

こ、この当たりで止めときましょう・・・

気付けばまた大病院の悪いところばかりを書いていました・・・

 

訂正して、まとめます。

大病院のデメリットは治療が過剰になること、というのを訂正します。

なぜならば、治療が過剰かどうかは患者が判断すればいいことでした。当たり前ですが、患者は自分の治療が多すぎると思ったのならば断ればいいだけです。

多めの治療を望んでいる患者にとっては、それはむしろメリットです。

僕が大病院のデメリットだと思ったのは、治療が過剰になること自体ではなく、過剰気味の治療を無理矢理患者に押し付けてくる可能性があること、でした。

よくよく考えると当たり前ですよね。

大病院やがん専門病院、大学病院などは権威的です。そして、先進的でもあるはずです。その上、治療意欲の高い患者が集まってくる。

そのような環境なら、相対的に治療方針について患者の希望が通りにくくなる可能性も高まるはずなのですから。

 

 

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